「グリーン・デスティニー」でチョウ・ユンファが今年2度目の来日を果たしました。11月1日、新宿パークハイアットで行われた記者会見で終始ニコニコ顔だったユンファは場仕切りもお上手なようで…。質問者を当てるのも本人なら、通訳前に「うん」やら「ああ」やらと頷くのも本人。会見終了後には「皆で集合写真を撮りましょう」と徹底した気さくぶりに、仕事のはずのマスコミ関係者はみーんな、にわかユンファンになってしまいました。ユンファ同様、癒し効果もあるアクション大作「グリーンデスティニー」は3日から全国ロードショーになります。

#当日は会見中・前後の写真撮影絶対禁止(司会者いわく「もし、撮影を見つけたらワイヤーワークを駆使してでも取りやめさせますからね!!」)になり会場脇にフォトスペースが用意されたものの、カメラマンは少々イラつき、ユンファ入場の際は場所取りで怒鳴り合う声も。しかしながら……雲行き怪しい会見をアジアの大スター自らが仕切り直してしまうのです。質疑応答は元気よく「ハイ、どぉぞー」(もちろん、日本語!)、ユンファの司会進行でスタートしました。
——ワイヤー吊りは大変でしたか。
ユンファ 高さは60フィートくらいありましたよ。でも怖かったのは私ではなくて妻だったでしょう。何故なら私が落ちてしまったらジュエリーを買ってくれる人がいなくなってしまうからです。
——共演者の印象は。
ユンファ チャン・ツィイーは聡明、ミシェル・ヨーは立ち居振舞いが素晴らしい。チャン・チェンとは以前も仕事をしたことがあり、よく知っていました。
撮影中、互いに意見を必要としすごく勉強になりましたね。
——ユンファさん演じるリー・ムーバイはイェン(チャン・ツィイ—)に師弟以上の感情を持っているような気がするのですが。ユンファさんはどう解釈されましたか。
ユンファ 解釈はあくまで…監督の解釈に従っていますよ(笑)。私が「彼女に片思いしていいか」と聞くと監督は「いいよ。でも顔には出しちゃ駄目だ」と言ってましたね。
——映画の続編の話もありますが。
ユンファ 撮るとしても3年くらい後になるでしょうね。でも、大丈夫、私もあなたもまだまだ若い。十分待てる長さです。
#——本作はトロント映画祭で賞を取りました。アカデミー賞も狙っているとの噂がありますが。
ユンファ 私にとって映画は撮影のみです。まぁ、コース料理にたとえるならメーンが撮影ですね。メーンを食べ終わってしまったら、デザートを取るかどうかは重要ではありません。でもアン・リー監督は甘いもの大好きですから重要かもしれませんね。彼の撮った『ウェディング・バンケット』という映画でもたくさん料理が出てきてますからね。彼が狙ってるのはそう、多分、オスカーティラミスです。
——デザートに興味のないユンファさんですが、日本にはプロモーションに来てくれました。 
ユンファ 会社側の手配とアレンジです(笑)。ミシェル・ヨーさんは今ごろヨーロッパやアメリカでしょう。私は数時間で着く日本に来ることが出来ました。福がある、という気がしますね。配給側は私が日本のラーメンを大好きだと知っていて配慮してくれたのでしょう(笑)。
——来日中に行きたい場所はありますか。
ユンファ 夕べさっそく九州ラーメンを食べに行きました。オイシイネ(日本語で)。あのこってりとした味!あれさえ食べれればもう何処へも行かなくてもいいと思っています。
——日本の俳優で共演したい人はいますか。
ユンファ もうこの世にいない方も入ってしまいますけど。まず、黒澤映画で憧れた勝新太郎さん、中学生の頃、僕のアイドルだった小林旭さん、仲代達也さん、山口百恵さん、丹波哲郎さん。それに高倉健さんと木村拓哉さん。でも共演するには日本語を勉強しなくてはなりません。そのためには何年か日本に住まなくてはなりません。あなた(質問者に向かって)家に下宿させてくれますか。(質問者『大丈夫です』と返答。ユンファ、日本語で『ホントおー、どうもー』と感激を表す)

ジョークを交じえながらの返答に記者団もすっかりリラックス。最後の質問に答えた後、「私の方からお願いがあります。どなたか15ミリのワイドカメラを持っている人はいませんか」と発言。「たくさんの方に来て頂いてせっかくですから、皆で集合写真を撮りましょうよ」。これには会場がア然、そしてなにやら感動。知る限りでは本年最も盛り上がった会見になりました。

執筆者

寺島まりこ