$#E07070 “スターなんて馴染めない。それより、よき夫でありたい”$
2000年は11年に一度のオーロラ大量発生の年。最良のタイミングで公開された「オーロラの彼方へ」は全米で7週連続トップ10入りし、スマッシュヒットを記録しました。時空を飛び越えたファンタジーであり、未来が変わることで生じるサスペンス劇であり、父と子の絆を描いたファミリー映画である本作が12月9日、日比谷映画ほか全国東宝洋画系でついにロードショーとなります。公開が押し迫った4日、主演のジム・カヴィーゼルが来日。落ち着いた物腰が印象に残る32歳、パークハイアットでの質疑応答も淡々と。ハリウッドスターらしからぬ人柄が伺えるなか、聞かれもしないのに「何より妻を愛してます」とオノロケの場面も。『シン・レッド・ライン』に次ぎ2度目の来日となったジムですが、応援に駆けつけた女優の藤崎奈々子に抱きつかれ、ちょっとドギマギしていました。





「今のジョンはこういう過去を持っているからこういう風に演じよう、そして次の場面ではこういう過去になっているからこういう風に演じよう。頭のなかにCDチェンジャーが入っている感じでしたね」。ジム・カヴィーゼルが『オーロラの彼方へ』で演じたジョンは30年前の父親と無線で交信する。死ぬはずだった父の命を助け、それによって変わってしまう未来に翻弄されつつ家族の絆を再確認していく役ですが、シーンごとに過去が変わってしまうので役作りは大変だったはず。気になる質問にジムは冒頭の答えを返してくれました。
“もし、無線で過去の人間と話ができるとしたら?”、”もし、過去の自分に何かアドバイスができるとしたら?”。ジムの答えは順に「イエス・キリスト」、「過去を変えたいとは思いません」。2番目の問いかけでは「若い頃、嫌な経験をして、その時は人生を変えたいなと思っていたに違いないのですが…。でも、そういう過去がなければ僕は今の自分になってない。俳優にもなっていなかっただろうし、こうやって皆さんにお会いすることもなかったと思うんです」。
“共演のデニス・クエイドは?”「第一級の人物。他のみんなとコラボレーションしながら映画づくりを進めていける人」。”グレゴリー・ホブリット監督について”「『真実の行方』のエドワード・ノートンもそうですけど無名の役者に素晴らしいチャンスを与えてくれるひとだと思う。『シン・レッド・ライン』がまだ公開されていない時期に今回の話を頂きました。今ではすっかり友人ですが、私生活の彼はいいお父さん。”いいお父さん”であることは”いい監督”であることよりずっと大切なことだと思う」。
ハリウッドスターという呼ばれ方にどうも馴染めないというジム。理想はよき父、よき夫、よき人であることだそう。「富とか名声には興味がありません。僕にとっての人生の中心は妻ですから」。淡々とした口調で熱い発言をする彼に誰も突っ込みは入れられません。けれど、会見はじめに「聞きたいことがあればなんでも答えます。そうだ、聞かれる前に言っておきますけどまだ結婚しています(笑)」と断っていたくらいだから、本当は奥さんのことを話したくて仕方がなかったのかも。

執筆者

寺島まりこ

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