史上最強の転校生、アリス。史上最強のひきこもり、花。
二人が出逢ったとき、世界で一番小さな殺人事件が起こった——

 今も愛される名作『花とアリス』(04)から10年。花とアリス、ふたりの少女の出会いと冒険の物語という前日譚となるエピソードを描いて大ヒットした劇場公開作品『花とアリス殺人事件』。本作は岩井俊二初の長編アニメーション監督作品で、主人公の花とアリスの声優には、『花とアリス』(04)同様、アリス役を蒼井優、花役を鈴木杏が務め、ファンの感動を誘いました。

このたび、この話題作がついにブルーレイ、DVD化されることが決定。
岩井俊二監督のインタビューが到着!

$red Q:今回の“前日譚”である『花とアリス殺人事件』は、どのような経緯で生まれましたか? $

普通映画の場合、あるテーマがあって、物語があって、起承転結があって、始まりがあって終わりがあるものですよね。その途中経過と、どうやり遂げていくかが常なるテーマで、完成すれば自分の中で終止符が打たれます。そして、次に行く。でも“花アリ”だけは、映画が完成しても終止符が打たれなかった。それは初めての体験で、まだ普通に、元気に、あのふたりが自分の中にいるんですよ。登場人物たちが終わってないと言わんばかりで、自分の中にいるという体験も初めてで。そのモチベーションが残っているうちに、エピソードゼロを書くことになりました。




Q:岩井監督の世界では、『花とアリス』(04)の物語が、終わってはいなかった、わけですね。

そうですね。ふたりは小学校くらいで出会った感じで、小学生のストーリー設定にして、今回の映画に近いストーリーは最初に書いていました。その時点で蒼井優、鈴木杏にお願いすることは無理だろうということで、だったらアニメーションにということになった。そういう経緯があります。アニメーションにするって自分の中で定まってからは、一気にアニメーションよりのストーリーになって、走り回ったり、駆け回ったりするような絵にもなった。前作の映画では歩いているふたりですが、今回はアグレッシブなシーンがほしくなったので、よりアニメーション仕様になっていると思います。

Q:実際、アニメーションを手がけてみて、何か想ったことや、気づいたことはありますか?

今回はアニメーションでしたが、自分の中ではそれほど境界線がなくて、アニメーションで動かれても、つながった世界の中で、いろいろな出来事が起こっている感じですね。前回もコミックにもしていたので、自分の場合は、その当時から実写と絵の世界を、わりと自由に往来していた。

Q:また、3D CGという技術も採用しています。使用したことについて、感想はいかがですか?

いままでとは違う技法に魅力を感じたので、アクション性の高いアニメーションを作ってみたいとは思いましたね。もっと激しく動かしてみるとか、普通のアニメーションでは絶対にしないカメラワークとか実践はしましたが、今回はなかなか思い描いたところまではいかなかった。今までアニメーション界で実践してこなかった、できなかった技術でもあるので、意外と簡単にいろいろなことができてしまうこともわかりました。それも選択肢だなと思いますね。不思議と、アニメーション界ではやってこなかったことではありますが、“ロト”は破たんが出にくい。作品の最低レベルが上がる感じがしましたね。

Q:実写版続編の構想はありますか? いまのふたりでまた観たい、という声も多いですね。

どうなんですかね(笑)。まあ、思いつけば、あり得るのかもしれないですけど。これを作っている時は、実写化のことは、想定をしていなかったですよ。いま、何をしているかな? とは思いましたけど、花とアリスのふたりが大人になって、それぞれどうなっているのか、想像はしますけどね。僕は意外と普通に結婚して子どもを作った主婦の日常風景などを描いたことさえなく(笑)、サラリーマンをしていて普通に父親している主人公を描いたこともない。僕はそこにリアリティーを感じないまま生きてきちゃったので正直、よくわからないんです。だから敬遠してきた感もありますが、成長した花とアリスの日常には興味がありますね(笑)。

『花とアリス殺人事件』

2015年8月12日(水) ブルーレイ&DVDリリース!
※レンタル 同時リリース!

【セル】DVD【2枚組】 ¥4,700(本体)+税
【セル】ブルーレイ【2枚組】 ¥5,800(本体)+税

全アイテム 販売元・発売元:ポニーキャニオン
(C) 「花とアリス殺人事件」製作委員会

執筆者

Yasuhiro Togawa

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