ヒットメーカー倉科遼原作×主演、松方弘樹!
異才監督、和田秀樹が男と女の銀座ネオン街を描く

ネオン街モノとしてヒット作を世に送り続けている倉科遼の実写最新作。
銀座でも数少ない男性支配人奥澤を演じるのは日本映画界屈指の名優、松方弘樹!
監督は精神科医・大学教授の顔を持ち、「受験のシンデレラ」「わたしの人生〜わが命の TANGO〜」などモナコ国際映画祭でも評価も高い和田秀樹が大人の愛を描く。
華やかな世界を描く俳優陣には元宝塚トップスター姿月あさと、江口ナオ、渡辺大、木村祐一、鶴田さやか、他が花を添える。人間味溢れる大人のヒューマンドラマ。

和田秀樹監督に話を聞く。







Q. 精神科医で受験アドバイザーでもあるという異色のご経歴をお持ちですが、ご自身のご経歴について、お教えください。

学生時代から受験産業に関わっていて、87年に「受験は要領」という本を出したら30万部ちょっと売れてベストセラーになり、受験の世界で有名になりました。医学部を出た後、元々文系的な発想の人間だし、大学の勉強と関係なく、人を殺しそうにないところということで、精神科を選びました。それは、その後もたくさん本を書くことのベースになっています。

Q.映画好きの金持ちが道楽で映画を作っていると間違われてしまうこともあるかと思うのですが、映画製作費を効率的に稼ぐ手段として医師を志したとのことですが、本当ですか?

効率的かどうかはともかくとして、僕が高校2年生の時に映画監督になりたいと思ったんですが、ちょうどその高校2年生の時に、日活が社員助監督の採用を止めたんですね。ATGが1000万で映画を撮る時代だったということもあり、自分で金を貯めて撮るというのが一番やりやすい方法だと思って医学部を受験しました。

Q.今は、助監督から映画監督になるのが難しく、CMディレクターから映画監督になったり、自主映画からそのまま商業映画の監督になる方が多いので、先見の明があったんですね!?

メジャーが映画監督の育成法を変えてしまった時代でした。自分で金を集めて撮るというのがこれからの時代だとはぼんやりと思いました。
大学時代に当時一番の早撮りの監督と言われていた、富本壮吉さんに助監督として付いたんですね。ある程度テクニックを身に着けて、1年間べたで映画監督をやるのではなく、1か月で撮れるような技術を身に着ければ、他の仕事をしながらでも映画が作れるということがわかりました。

Q.医師や受験アドバイザーをしながらの監督業について、良い点と悪い点をお教え頂けますか?

テクニカルなことを言えば、プロの監督みたいに経験は豊富ではないだろうし、色んな技術を持っているわけではないと思うけれど、映画を作るときに、監督の仕事が演出、カット割りをしてつなぐ、現場を仕切るなど色んな要素があるけれど、監督1作目の受験の映画(『受験のシンデレラ』)であれ、2作目の介護の映画(秋吉久美子、橋爪功主演の『「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ』)であれ、現場で1番自分が色んなことについて詳しいというのは、説得力を持つと思います。他の監督よりは人生経験が豊富なのではないか。精神科医をやっているため、いろんな人の話を聞いているというメリットはあると思っています。

Q.1作目は受験の話、2作目は認知症の父親とその家族の話で、ご自身のお仕事を活かした内容だなと思っていたのですが、最初は、なぜ銀座のクラブの映画を作ったのかと思いました。けれど、この映画を観て、銀座のクラブはキャバクラと違って一見(いちげん)さんお断りということを初めて知って、銀座のクラブに行っているような和田監督のような方でしか描けないのではないかと思いました。

銀座のクラブは、ある年代より上の人にとっては、一度は行ってみたい世界だと思います。キャバクラと同じではつまらない。僕自身もそこまで詳しいわけではないけれど、ある程度、そういうところに行ける身分であったか、たまたま倉科さんと仲良くなっただとかがあり、伊丹十三監督と似ているところがあって、ある世界があった時に、それをなるべく掘り起こしたいと思います。普通の人が見ても、銀座の世界を知れたと思える映画になったのではないか。映画としての娯楽性と情報性をくっつけていくというのが伊丹監督もうまかったけれど、そういうものを作ってみたいというのがあります。
脚本家の方が銀座に詳しくなかったということも含めて、最初の脚本はあまりよくなかったけれど、僕が原作の倉科先生に確認して、自分が知っていることをくっつけて、直したんです。

Q. 原作者さんは、TOKIOの松岡昌宏さんが主演したTBSドラマ「夜王」や、加藤ローサさん主演のテレ朝のドラマ「女帝」や、テレ東の深夜ドラマ「嬢王」シリーズの原作者である倉科遼さんですね。原作者さんは、ご自身の作品にこだわりがあるので、別物として客観性が必要となる映画化の際は、スタッフとして入っていただかない方がいいという考え方もありますが?

倉科さんは、銀座の帝王で、自分自身が相当の体験をなさって、銀座のことを書かれているので、入っていただいてよかったです。嘘くさくない映画を作りたいと思っていて、娯楽なんだけどありそうなリアルみたいなものがあった方がいいと思っています。題材についてわかっている人が観ても、嘘くさくない映画にするということは、こだわったところです。

Q.渡辺大さん演じる、今までキャバクラにしか行ったことがなく、初めて銀座のクラブデビューをするIT企業の32歳の社長を通じて、銀座のクラブとキャバクラの違いを描いていますね。

ホステスさんが銀座と六本木と比べて、銀座の方が圧倒的に美人かと言われたらそうかわからないし、昔銀座のホステスさんの会話のレベルは高かったけれど、知的なホステスさんも減ってきているから、クラブとキャバクラの違いは、一つはお客さん。来ている客が、「あそこにあの会社の社長がいる」とか、「あそこに医師会の会長がいる」とか、芸能界でも歌舞伎の世界の人がいるとかがクラブ。行くようになってわかったことは、ホステスさん目当てで行く人もいるけれど、お客さん目宛で行く人もいる。知らない人たちなのに、場所が共有できるということもあるし、客同士の紹介で仲良くなるということがある。
銀座は座って幾ら、キャバクラは一時間幾ら。
あと違うのが黒服。黒服は脇役に見えるけれど、重要な要素。ホテルがホテルマンがいいかで質が決まるようなもの。
“黒服王”と呼ばれた実在の人物をモデルにして、黒服がオーナーの店を映画に出しておくと、例えばホステスさんがこの映画を観ても、「こんなオーナーがいたらいいな」と思ってもらえる。この映画を女性が見ても楽しめるものにしたい、多くの女性が見て素直に憧れるような役にしました。

Q.松方弘樹さんが演じているのは、銀座でも数少ない男性支配人ですね。

男性支配人が数少ないというのは事実です。銀座のクラブのオーナーというのは、ナンバーワンのホステスとかママとかで金を作って自分の店を作るか、ある程度のお金を持っている人が雇われママの人に「お前、店持たせてやる」と言って、持つ人が多いです。

Q.渡辺大さんが夢中になる、ミステリアスなアラフォーのホステス役に、元宝塚のトップスターの姿月あさとさんをキャスティングされています。宝塚と銀座のクラブは、両方とも女性がトップの座を競う場所で、宝塚のトップになった方が、昔売上トップだったベテランホステス役というのは合っていると思いました。

姿月さんは舞台に立った時や歌を歌ったとき、本当にトップだった人だからオーラが違います。銀座のホステスさんに憧れる理由の一つは、ただ綺麗なだけでなく、オーラ・風格があるからだと思ってキャスティングしました。

Q.渡辺大さんは、渡辺謙さんの息子さんで、真面目な役が多かったと思いますが、今回はIT企業の社長ということで、ちょっとチャラい役に挑戦されていますね。

チャラいなりに品位を保ち、ちょっと知性を感じさせる雰囲気を出せればと思いました。映画なので、チャラい人が会いに目覚めるなど、ラストにみんながホロリとくるような流れが必要だと思います。
センスがいい役者さんでした。撮影日数が短い映画だと、何度もテストをする時間がないから、前半部と後半部の芝居の違いが、脚本を読んで上手に理解している人でないと、演じ分けられないです。頭の良さ、勘の良さを感じました。

Q.体当たりの演技を見せた江口ナオさんの役も、悪役に見えながら、成長物語になっていて、最後には観客が好きになるような役ですね。

江口さんは、こんなに芝居ができるとは思っていなかったので、収穫でした。(「アンダルシア」と違い、枕営業なども行う別のお店「エレガンス」のママ役の)あいはら友子さんや(「エレガンス」のホステス役の)佐藤乃莉さんが一番悪い役なんだけれど、それを嫌がらないで「面白いじゃん」とやってくださった。あいはらさんは昼ドラで意地悪をやりつくした人だけれど、上手いですよね。恭子が待つ藤崎役の阿部祐二 さんも、真面目さが伝わって来てよかったです。

Q.最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。

今のご時世、シネコンでかかるような映画と単館系という二極化の形になった時に、誰にでもわかる大衆娯楽映画がなくなってきていると思っています。映画館で観る大衆娯楽という当たり前の原点に帰れればいいなと思いました。娯楽映画的なものはテレビでみるものだと思われているけれど、こういう映画を小屋で観てほしいです。小屋で観ると、その時だけでも銀座に来たような浮き立った気分になれます。伊丹監督の映画でも、小屋に入ってみると、その世界に入ったような気がします。この映画は、古典とまではいかないけれど、日本映画らしいところがあるのではないかと思っています。観てよかったと思ってもらえるような、みんなの成長物語になっているのではないかと思っています。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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