9/14公開!「可愛くて心がキュッとする映画」我妻三輪子・津田寛治が大絶賛!竹葉リサ監督が放つノンストップ☆恋愛ターミネーター映画『さまよう小指』インタビュー
ここ数年で一番ファンタらしい作品が出揃ったゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014のオフシアター・コンペティション部門。審査委員特別賞『女体銃 ガン・ウーマン』(光武蔵人監督)、北海道知事賞『リュウグウノツカイ』(ウエダアツシ監督)の公開に続き、いよいよグランプリ作品・竹葉リサ監督『さまよう小指』がいよいよ9/14〜26テアトル新宿にてレイトショー公開となる!
竹葉監督はゆうばり国際ファンタスティク映画祭のショートフィルムショーケース部門部門において、2012年に『世界で一番美しい辞書』(11)、2013年に『〜さすらいのエイリアン〜私立探偵ロビン』(12)の短編が上映された新星。満を持して長編作品に挑み、見事グランプリを獲得した。
映画『さまよう小指』は、好きな男性に何度振られてもアタックし続けて、とうとうその小指からクローンを作ってしまった恋愛ターミネーター“桃子”が繰り広げるパワフルポップなデートムービー!。アニメで始まるオープニングから一気に竹葉ワールドに観客を引き込んむ構築力、これぞファンタスティック映画の醍醐味に溢れた作品となっている。
3月2日の映画祭クロージングではオフシアター・コンペティション部門グランプリに選出され、歓喜の声を上げた監督・キャスト・スタッフ陣だったが、インタビューの時点ではまだコンぺの結果待ちの状態。桃子を演じた主演・我妻三輪子さんとインテリヤクザを演じた津田寛治さんが心から愛した作品の魅力と、パワフルな竹葉監督が完成した今だから語る爆笑現場秘話とは!?
■ミラクルキャスティングだった我妻三輪子さん、津田寛治さん!
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——キャストの皆さんがとてもはまっていますが、キャスティングは最初からイメージされていたものですか?
竹葉:ミラクルですね!鬼のように探していたんですが、1番見つからなかったのがヒロインの桃子役。ビジュアルイメージはあったんですよ。青文字系雑誌に出てくる原宿っぽい女の子。我妻さんのようなビジュアルの子何人かに当たったんですけど、何のエネルギーも感じない。桃子みたいにフラれても何回も行くようなストロングな子がいないんですよ。
途方にくれるいたら、知り合いの我妻さんの事務所の宣伝プロデューサーが「いいのがいます!」って(笑)
「本当っ!?」ってなって、お会いしてすぐに頼み込みました。
——我妻さんは可愛いけど恋愛ターミネーターのような極端な役ですが、脚本を読んだ印象はいかがでしたか?
我妻:すぐやりたいと思いました。元々にある感情は理解できるんです。行動しないだけで(笑)。近くにいたいし、自分が好きな人が自分を好きじゃないのは凄く辛い。好きな人には自分のことを好きになって欲しいから。脚本を読んでいて楽しかったですね。読んだだけで楽しいのって凄いと思うんです!観てみたいなと思ったし。面白いものがぎゅっとなったイメージ。
——それでは、津田さんが出演されたきっかけを教えてください。
竹葉:普通に考えて出てもらえる訳ないじゃないですか(笑)。このヤクザの裏設定が、牧師の息子で抑制されているが故に万引きをしていた子供時代で、ダーティな世界にいるインテリヤクザ。私、津田さんのファンでしたし、脚本の上では津田さんなんだけど、「無理でしょう」と思いながらお声掛けしたら奇跡的に(笑)
——数え切れないほどの作品に出て来られた津田さんですが、脚本を読んでいかがでしたか?
津田:最高に面白かったですね。会話がセンスがいいし、ヤクザが詰めた小指が何処かに転がって、それを見つけた彼を好きな女のコがクローンを作る。誰に説明しても、「それ面白いね!」「観たい!」って(笑)。
脚本は相当面白い。でも今までの経験上、脚本は凄い面白いのに予算が全然なくて脚本にあるイメージの十分の一くらいしか実現できてないってことがあったりするので、そういう風になってしまう可能性は大だなと。危惧してたんですが、現場に入ったらその可能性はもっと大になって(笑)(一同爆笑)
竹葉:何も語れない(笑)
津田:あんまり上がりを楽しみにしても傷付くのもなって。ゆうばりに参加するってことで見せていただいたんですね。
そしたら最初のアニメーション!あれで掴まれますよね!
我妻:凄いビックリしました!
津田:アニメとか好きなので尚更引き込まれて。それから『仁義なき闘い』みたいになって。タイトルは『仁義なき闘い』だけど音楽はキッチュな感じで小指が旅をしていく始まり方とか。内容に関しても予算とか一切感じさせない感じになっていてビックリでしたね。あれだけの凄い現場で(笑)
■百均ビーチボールで爆弾テロ!?竹葉監督、過酷な現場を語る!
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——現場の状態は一体どんな感じだったんですか!?(笑)
竹葉:プロと言える現場ではなくて。立て込みした現場で寝てたら、コンコンって音で誰だろと出たら「多摩警察だけど」「は!?」「あなたは不法侵入罪ですよ」って。
実は撮影の数日前に現場に行ったら荒らされていて、三輪子さんが作る花火の玉を百均のビーチボールに紙を貼って作ってたんですが、めちゃめちゃにされていて。何でだろうと思っていたんですよ。
後で分かったらそこに住んでる人らしくて。オーナーさんから住人に連絡がついてなくて、使っていいと言われたところが正式な許可を取ったことになってなかったんですね。確かに爆弾テロ犯みたいで怖かったんでしょうけど。
それで連行され(笑)私はどうしても外せない用事があったのでスタッフさんが警察で事情聴取を取られて。人生初の体験で一筆書かされたんですけど、犯罪者ってこういう気持ちなんだって。
まず、「○○署って書いてください」って言われて。その通り書いて読みやすいように線を引いたら、
「僕は○○署って書けって言ったんですよ。線を引けなんて言ってない」
——もう完全に犯罪者扱いなんですね(笑)
竹葉:「あんた人に迷惑をかけてんのに、その態度なんですか!」
北野武映画かっていうようなダークな世界で、頬をピクピクさせながら言われて。
「私、一線超えちゃった」と思ったんですよ。でもそれは氷山の一角で(笑)。闇に葬り去りたい、全員に口止めしたいことがあり過ぎました(笑)
津田:打ち上げで「現場は凄かったけど僕は楽しかったですよ」って言ったら、「津田さんの知ってる現場なんて氷山の一角ですよ」って(笑)
竹葉:そうなんですよ!(笑)トラブル対応99%でしたね。演出1%でした(笑)
津田:出来上がってこれは行ける!と思った瞬間はありましたか?
竹葉:編集ですね。ゆうばりの常連の蔭山周さん(監督・ポーラーサークルプロデューサー)が天才で、撮影で撮れなかった部分を「ここ追撮しよう」とか話してどんどん面白くなって行ったんですよ。
ポスプロが一番楽しいんですよ。アニメや音楽、効果音をつけると、自分が撮影でままならなかった部分を補完することで想定外の面白さが出て来た感じですね。今、初めてまともに監督らしいこと言いましたね(笑)
——楽しい作品の裏にそんなエピソードが!それでは、我妻さんから見た現場はいかがでしたか?
竹葉:やめましょうよ!(笑)
我妻:大変でした(笑)。全部夏だったせいなんですよ。ずっとカツラだったし、火傷のある役だからぜんぶ長袖。オーバーオール着ていたし。暑かったせいですね。主演の小澤亮太くんとずっと一緒だったんですけど、いい人でしたね。
竹葉:サウナみたいなところで撮ってたんですけど。小澤さんは何度スタッフが飲み物を勧めても、自分が汗かいたら撮影が止まるからって。
津田:すごいなあ!
——そんな大変な中であの二役を。
竹葉:お金もないから服も着回しで、汗でびちょびちょになるのに嫌な顔ひとつせずに。素晴らしかったです。小澤さんは。
ボランティアスタッフの方にお力頂いていたので、首輪の付け忘れがあって、繋がらないとなったら「さっき付けてがなったから襟立てるね」って。スタッフなのかなと思うような気遣いでした。
■津田寛治さんが惚れ込んだ『さまよう小指』我妻三輪子さんの魅力!
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津田:我妻さんもね、素晴らしかったなって(笑)
——津田さんから観てどういったところが魅力でしたか?
津田:いやー、我妻さんね…。(しみじみと)俺ファンになっちゃいましたね!(笑)。最初の気を失うところから全部ですね。下手したらキャラが立ち過ぎになるのに、リアルにこういう風に育った女の子なんだって思わせるのが素晴らしいなって。この映画で桃子ファンというか我妻さんファンが増えると思います。
竹葉:私の志なんですけど、今スピルバーグになったつもりで言いますね(笑)。我妻さん史上一番可愛い我妻さんを撮る映画にしたかったんです。我妻さんファンとして言えば、いままでトリッキーな役が多いので、ルックスの可愛さを出してもっと普通に女子女子して欲しいなと。女のコが応援したくなる女の子というストレートなキャラに。
津田:一番俺が印象に残ったのは、ラストのセリフの時のあの表情最高ですね!
我妻:凄い顔してましたね。
津田:嫌に見えないんだよね。ちょっとプンプンしてるけど悲しさもあったり、日本人ぽくないのも素敵に見えて素晴らしかったです(笑)
我妻:そうですね!こんなに女子女子してる役もなかったですね。
竹葉:乙女不思議ちゃんみたいな。
我妻:ギリギリのラインで嫌われるかもしれないからすごく怖かったんです。受け付けられない方は見るのが苦痛かもと思ったりしたんで。
津田:違う人がやると暑苦しいだけだったかもね。逆になったら大ファンになっちゃうけど。「あのあのあの!」って行くあの感じがねいいよね(笑)。
竹葉:絶対あの役は我妻さんでないと出来なかったと思います。恋愛のスポ根だから、みんなが応援したくなるような片思いしてる人のヒーローになって欲しかったけど、見事にその通りになりましたね。私はトラブル対応で何も出来なかったけど(笑)。ご自身で桃子を開花させてくださったという感じです。
——監督はそう仰ってますけど、演出はなかったですか?
我妻:嫌な時は絶対に「嫌だ」って言ってくれる。それが凄く助かりました。「いいですよ」って言われてもなかなか信じられなくて。本当にいいと思ってくれているのかなって。諦めずに、嫌なところは「嫌だ」ってずっと言ってくださったので。もうちょっと、もうちょっとって私を粘ってくださったので、私を諦めないでいてくださるのが伝わって、「私も諦めないぞ」ってなるし、凄く幸せでした。
竹葉:打てば響くじゃないけど演技が何パターンも出てくるし、若い役者さんだけど我妻さんは場数を踏んでるし、コピーライターで3案しか持ってこないようなレベルじゃなくて「100案書いてきました」。そういうような役者さんでした。
■津田寛治さん、竹葉監督との化粧&方言バトルを語る!
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——津田さんは竹葉監督の演出はいかがでしたか?
津田:最初打ち合わせの時に化粧しましょうって話になって。それは面白いなと。「ガングロでやりましょう」って言ったら(笑)。
「潔癖症で神経質な人なんで、さすがにそれはないと思います」って(笑)
——津田さんが描いたのはどんなイメージだったんですか?
津田:化粧って言われたときに清志郎さんみたいなのもかっこいいけど、今まで男性の化粧で見たことないものにしたいなと思って。ガングロの化粧してる女装の男性ってあまりないなと思って言ってみたんですけど(笑)。それが初対面の時だったんで、ちゃんと強い意志を持ってやられているなって感じましたね。その後すぐ読み合わせに入って、そこでも動きを一つ一つ言っていただいたりして。
一番衝撃的だったのは、台本は関西弁で書かれていたから関西の友達に電話して聞いたりして現場へ入ったんです。
「リアルな関西弁の方がいいんですかね」って聞いたら、「それなんですよね。津田さん出身はどこですか?」「福井ですけど」「福井の言葉でやってもらっていいですかね」(笑)。「関西弁って聞いたから練習して来ましたけど」って言ったら、「関西弁でにこだわりないんで」(笑)。福井弁でやっててみたら「それで行きましよう!」となって。
ビックリしたけど、それでまたイメージがわいて。家でいろいろ考えて翌日現場に行ったら、「津田さんやっばり方言はやめましょう」って(笑)。(一同爆笑)
竹葉:すみません!
——明確なイメージがあって、ベテランの俳優さんにも臆せず言える方だったんですね。
竹葉:いやーもう。びびりまくってましたよ。もともとファンだし。どうしよう、今日衣装合わせだよね。服を着て出てきたら、津田さんが発狂しそうなくらいかっこよくて(笑)
——全体で一番上手く行ったシーンはどこですか?
竹葉:商店街のシーンでしょうか。時間ない!みたいな状況でしたが。
津田:だんだん電気消えてきましたもんね(笑)。 商店街の親父さんが電気消すぞって(笑)
竹葉:津田さんと末永遥さんのシーンはカット割忘れるくらい見入っちゃって。お芝居をこんな近くで見られるなんて、監督っていい仕事だなと思いましたね。
——あのシーンは思わず息を呑んで見てしまいますね。
津田:エネルギー使いましたね。生汗がタラーといいタイミングで流れてくる。ああいうのを見るとこの映画は映画の神様に愛されてるなぁって。
竹葉:キレイに流れてましたね!編集していて何回も見るんですけど飽きなかったです。
後は、時間がない中皆さんワンテイクでやってくださって撮れたんですけど、1人だけNGを出した人がいて、塩田さんなんですね。「お前、マナミを愛してるんか」っていうシーンで「お前、マユミを愛してるんか」って(笑)。何回も「塩田さん、マナミです」って言うんですけど、毎回間違えるんでこれは“マユミ”がいるなって(笑)。(一同爆笑)
津田:あと、衣装も凄かったですね。
竹葉:衣装、素晴らしかったですね。美術も色合いも。
我妻:美術、可愛かったです!
——スタッフはいつも一緒にやられている方ですか?
竹葉:メイクの元木さんと特殊メイクの北落さん、編集の蔭山周さんと、美術は片桐真理子さん。
今回ラッキーなのが音楽の藤永憲太郎さんと奇跡的に出会ったことですね。音楽が見当つかなくて中学生日記みたいな音楽がついたらどうしようと思っていたんです。
藤永憲太郎さんが活動しているAndersonsの『Young Love』をモデルの酒井 景都さんに紹介していただいて。
聴いた瞬間この映画のために作られたような曲だ!と思って。何から何までミラクルな出会いでしたね。
■デートで観ると二人の距離が縮まる映画です!
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——それでは最後に、観客のみなさんにこの作品の見所を一言ずつお願いします。
竹葉:全員ハマり役の映画になっております。キャストさんが素晴らしい映画なのでぜひ楽しんでください。
我妻:みんなで凄くがんばって作った映画です。パワーもあるしテンポもいい。観やすいけど凄く残ると思うんで。気軽に観に来たけど、グッと来たぜ!と思って頂けたら。
津田:こんなに可愛くて心がキュッとする作品はないんで、俺だったらデートコースで見たいなと思います。デートするとなったら洋画が定番であまり邦画ってイメージがなんですけど、これはデートで見たいなと。
観た後におしゃれな可愛い作品を観たねということで2人の距離がキュッと縮まるような気がします。たくさんの方に観て欲しいですが、やはりカップルの方に観ていただくと嬉しいかな(笑)
執筆者
デューイ松田