『死霊館』の監督は、『SAW』シリーズと『インシディアス』(’11)で世界中を震撼させた若き鬼才ジェームズ・ワン。実在するゴーストハンター夫妻を演じるのは『マイレージ、マイライフ』(’09)のヴェラ・ファーミガと『インシディアス』(’10)のパトリック・ウィルソン。
家族へのあふれる愛ゆえ人生最大の危機を迎えることになる一家の夫婦を『酔いどれ詩人になる前に』(’07)のリリ・テイラーと『長距離恋愛 彼女の決断』(’10)のロン・リビングストンが演じている。

$red Q なぜ、この映画を作ろうと思ったのですか? $

ワン監督 長い間、ウォーレンズ(夫妻)の大ファンだったんだ。彼らが住んでいた世界や、彼らが成し遂げたこと、彼らの人生の生き方にとても魅了されたんだよ。そして彼らの映画を作る機会が巡ってきて、是非やりたいって思った。誰かの人生の実話を基にした映画に取り組むのは、最高だって思ったんだよ。怖い映画に変化をもたらすことができるからね。僕はこれまでに、ホラーというジャンルで多くのことをやり遂げてきた。でも、この映画では実在した人物の物語を描くことで、新たな領域を開拓できると感じたんだ。






Q 実際に、ロレイン・ウォーレンさんにお会いしたんですよね? どんな印象を持ちましたか?

ワン監督 最初にロレインに会ったとき思ったのは、いかに彼女がチャーミングで普通の人かってこと。とてもラヴリーで素敵な人なんだ。彼女がしてきたことを考えると、すごく矛盾を感じるし、なんだか奇妙だけどね。彼女が関わっていたことはとても恐ろしくて、時にネガティヴ(悪い)な面も多かったけど、彼女はとても幸福な人なんだ。でも、彼女がどんな人生を送っているかを見ることができて、とてもよかったよ。少し驚いたけどね。この映画を作る上で、僕もパトリックもヴェラも、二人が演じたキャラクターだけじゃなく、ロン・リビングストンとリリ・テイラーが演じた両親も含め、これらのキャラクターをリスペクトし、敬意を払い、リアルな人間を描くことを心掛けた。だって、彼らは実在した本物の人物だからね。

Q 演出のアプローチについて教えてください。

ワン監督 この映画の恐怖シーンとサスペンス・シーンへのアプローチは、すごく根拠に基づいたものだった。彼らの物語に忠実になるよう心掛けたんだ。最高だったのは、この映画は彼らの物語と数々の調査を基にしているから、二人の過去の数多くの物語の中から、その一部を取り上げるができたってこと。ウォーレン夫妻いわく、二人は生涯で10,000件以上の事件を調査したんだからね。取り上げることができる素晴らしい題材が、無数にあったってことなんだ。

Q 撮影に入る前に、お清めなどの儀式は行ったのですか?

ワン監督 あはは(爆笑)。アジア人のジャーナリストはみんな必ず、“神様の祝福を受けたり、お清めはしましたか?”って質問するんだよね。でも、一般的にハリウットの映画製作では、そういうことはしないんだよ。もちろん、リサーチの一部で神父と話したりはした。でも、こういう映画だから神様の祝福は薄れていることを願っているけど(笑)。

Q 撮影中に、心霊現象などスーパーナチュラルな出来事は起こりましたか?

ワン監督 いやあ、イエスって言えたらいいんだけど、恐ろしいことが目の前でたくさん起こっていたとはいえ、撮影中はなにも起こらなかったよ。とてもハッピーで快適な撮影だった。恐ろしいことは、カメラの前だけで起こっていて、カメラの後ろで僕らは「ワーイ!」って楽しんでいたんだ。でも、それでよかったと思う。映画を作るのはとても難しいことなんだけど、特にダークで恐ろしい題材を扱った映画を作るのは本当にハードなんだ。だから、カメラの後ろでも怖いことが起こっていたら困る(笑)。“カット”と言ったら、その場所を離れられないとね。

Q この映画の一番の見どころは、どこだと思いますか?

ワン監督 怖い映画が好きな人にはもちろん、そうじゃない人も、この映画の良さがわかるんじゃないかな。伝統的な人間ドラマの映画だし、パトリックとヴェラの二人のキャラクターのラヴストーリーでもある。あと、つらい時期に一つになる、ある家族の物語でもある。誰もが共感できるストーリーだと思うよ。しかも、そんな困難な時期を過ごす家族が心霊現象に見舞われるんだからね。怖い物語が好きな人にとっても、すごく恐ろしい映画だと思うし、間違いなくエンジョイできると思うよ。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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