主人公・サンマンが一目惚れする看護師ヨンス役には、『ハーモニー心をつなぐ歌』『TSUNAMI -ツナミ-』の出演で次世代を担う韓国女優として注目されるカン・イェウォン。透明感ある魅力で、本作に不器用な二人の心温まるラブストーリーの味わいを加えている。

カン・イェウォン演じるホスピスの看護師・ヨンス役は、当初のシナリオでは子供のころに心に深い傷を負った痩せ型の女性で、声だけは誰よりも美しいという設定であった。しかし、撮影に入る前の台本読みでのことだった。病院に担ぎ込まれたサンマンを起こそうと「目を開けて下さい」と言うヨンスの声を聞き、サンマンの「実に美しい声だ」というナレーションが流れるシーンで、カン・イェウォンの予想外にハスキーな声に大きな笑いがおこった。これを機に、キム・ヨンタク監督はシナリオを全面的に修正し、カン・イェウォンの愛らしくすこしとぼけた魅力を生かすべく新しいエピソードを追加。その結果、カン・イェウォンという女優と出会ったことで、暗くふさぎ込んだキャラクターだったはずのヨンスは、よりリアルで愛すべきキャラクターとして誕生したのだ。



Q:完成した映画を初めて見たとき、いかがでしたか?
シナリオの段階で内容は全部知っていたはずなのに、試写では大泣きしました。監督の手腕がすばらしかったのだと思います。終盤のオチは本当に『シックス・センス』を超えるようなオチではないでしょうか(笑)。

Q:脚本を読んだ印象は?
やはりオチの部分がすごく衝撃的でした。ですが、オチというより本当にシナリオの完成度が高かったのです。一気に読んですぐに出演したい、この監督と映画を撮りたいと思いました。私は観客の立場として自分が見たい映画に出演すると決めています。この映画がまさにそうでした。
また、チャ・テヒョンさんはすべての女優たちが共演したいと思っている俳優です。私もずっと共演したいと思っていましたが、こんな形で実現するとは思っていませんでした。嬉しかったです。

Q:どんな役作りをされましたか?
職場がホスピスという設定だったので、実際ホスピスの看護師たちに会いに行きました。1年、5年、10年という別々のキャリアを持つ看護士たちに会って話を聞きました。また、ホスピスを経験した方の本も読みました。また父親に対する恨みという部分は、監督と一緒に具体化していきました。監督が簡単にOKを出すタイプの方ではなく、息遣いや視線、話し方やテンポという細かい部分すべてに指示を出してくれました。Q:ゴーストたちと演技する設定で、俳優たちが目の前にいながら見えないふりをして演技したわけですが、難しかったですか?不思議ですが、見えないふりをして演技をするというのは思ったよりも意識せずうまくできました。監督から本当に何もないように演技しろと指示されたので。NGも出ませんでした。ただチャ・テヒョンさんだけを見て演技しました。

Q:撮影のテンションや感情を維持するため、実生活でもそのような雰囲気作りをするほうですか?
それはないです。私生活にそのような感情を持ち込むとエネルギーを奪われてしまうので、普段は何も考えず、撮影中だけ集中して入り込むよう心がけています。特にヨンスのようなキャラクターは気分の良し悪しがはっきりしておらず、その間をずっと維持していないといけないので、なおさらでした。

執筆者

Yasuhiro Togawa

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=50218