現在公開中の映画『アレクサンドリア』は、アカデミー賞監督であるアレハンドロ・アメナーバルが初めて光を当てる、ある“歴史に葬られた事件”。
それは、かつて一度もスクリーンに登場したことのない、ローマ帝国末期に伝説を残した実在の天文学者の物語。

主人公は、実在の女性天文学者ヒュパティア。
今回ヒュパティアを演じた、アカデミー賞女優レイチェル・ワイズは、情熱を学問に捧げ、誇り高く生きた女性を圧倒的な存在感で演じ、物語を更にドラマティックに盛り上げている。




——あなたが演じた役について、教えてください。
『アレクサンドリア』では、私は実在の人物、ヒュパティアを演じるの。分かっている事実は、彼女が4世紀のアレクサンドリアに生き、哲学者、天文学者、数学者だったということ。アレクサンドリアの図書館の館長テオンの娘で、教師であり、処女だったのよ。

——ヒュパティアとは、どのような人物だったのですか?
彼女は、アレクサンドリアが地球上すべての知的学習の中心だった時代の終わりに生きた女性なの。人々が世界中から集まり、演劇や哲学、数学や天文学について議論したわ。驚くべき学問の在り方だし、人々の学びへの情熱も強い時代だったのね。

そして、学問に夢中になり、取りつかれたように情熱を注いでいる。彼女は歴史上もっとも素晴らしい恋をした人物だと私は思う。宇宙との恋よ。

——撮影現場の様子を教えてください。
実際にマルタにアレクサンドリアの都市のセットを作ったの。アレクサンドリアが出来上がっていき、都市として完成するのを見るのは普通ではあり得ない感覚だった。セットはとても威厳があり、想像をかきたてるもので、もちろん当時のその場所に実際にいるように感じたわ。(「アレクサンドリア」はヨーロッパ映画史上最大級の製作費を投じて制作された。)

——監督について、教えてください。
アレハンドロ・アメナーバルはとても様々なタイプの映画を作っているわ。それに技術的にとてもしっかりしていると思う。他の監督たちが彼をナンバーワンに挙げるのよ。彼の映画はどういうわけか…技術的に完ぺきなの。それが、彼の持つ偉大な情熱、人間性、それに、何と言うか…人間への深い愛と組み合わせられる。そんな要素がミックスされたカクテルのような映画なのよ。とてもステキだと思うわ!

——観客へのメッセージ。
この映画ではアレクサンドリアという街を舞台に、人間の最も美しい面と最も醜い面が描かれる。その2つの面は、1つの時代のこの1つの都市に存在し、しかも強いパワーを放っているの。

そして時の霧の中に埋もれていた彼女の物語は、この映画で初めて語られることになる。わくわくするわ。恋愛の要素は少ないからラブストーリーとは言えないかもしれないけど…。彼女の波乱の生涯を、是非みなさんに観てほしいわ。

執筆者

Naomi Kanno

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