土曜日公開『FURUSATO〜宇宙からみた世界遺産』にかけた思い 

いよいよ今週土曜日から全国の3D映画館で順次公開される短編・実写映画『FURUSATO〜宇宙からみた世界遺産』。公開を前に、構成を担当した小山薫堂氏が作品に込めた思いを語った。
 各地の世界遺産を地上700㌔の宇宙に浮かぶ地球観測衛星「だいち」と地上での実写3Dで映し出したネイチャー・ファンタジー。ニュージーランド、エジプト、広島の自然・文化・負の遺産を中心に、“地球模様”のような美しい遺産の姿や、普段は足を踏み入れることが出来ないエジプトの王の墓や広島原爆ドームの内部などの貴重な場所を3Dで収めるなど、迫力の実写映像で見せている。

 
 





この作品に込めた思いとして小山氏は、「人間という存在のちっぽけさと、そのちっぽけな中の尊さ。ちっぽけさというのは、悩みを吹き飛ばすきっかけになる。こんな(大きな)地球の中の、こんな「点」でしかない自分の悩みなんて世の中や歴史の時間軸で考えたらなんでもないんだな、と思うと楽になる。しかし、その(ちっぽけな)人間が作り上げたピラミッドの様な(壮大な)文化遺産もある。文化遺産を見ると人間って、すごく素晴らしい能力を秘めているんだな、と思うところと、そのちっぽけな人間の存在という2つが交わる。上手く交わっていることにいろんな学ぶべきものがあると思う」と、熱く語った。

「FURUSATO、そして地球という星にみんなが生きているという、国境を越えた連帯感、共感をしてもらえたら嬉しい」とも語る小山氏は冗談めかして茶目っ気たっぷりに、壮大な平和論として次の様なアイディアも披露。「いっそ宇宙人が攻めてきたらいいのに、って思います。そうしたら地球が一つになる。自分たちが争っている場合じゃないな、みたいな。2000年に一度くらい、宇宙人が攻めてきて、地球人が結束して知恵を出しあう。ひとつにまとまる。それがFURUSATOという地球が一つになるきっかけになるんじゃないかな。」
この仰天アイディア、ひょっとすると次回作のきっかけになるかも?小山版「インデペンデンス・デイ」誕生?!

また、この作品では「プレゼント」を一貫したテーマとしている。これは小山氏の好きな言葉である「現在は過去からの贈り物」を表現し、世界遺産の街に暮らす子供たちへ贈られた過去からの贈り物=世界遺産、そして子供たちが生きる現在は未来への贈り物である、という両方を柔らかなストーリー仕立てにしている。そしてこのストーリー製作の過程で、小山氏たち製作陣は思いがけないプレゼントを手にすることになる。それは広島パートに出演している子役・内田伽羅。彼女は偶然、監督の日下宏美氏が見つけてきたCDジャケットからキャスティングされたのだか、実はなんと偶然にも、小山氏が『おくりびと』で一緒に仕事をした主演俳優・本木雅弘の愛娘だったのだ。全くの偶然からキャスティングされた内田の存在を見た小山氏は「子供なんだけど、大人。不思議な魅力がある」と大絶賛。父親似の静かなる力強さを持った芝居の存在感に、スタッフ誰もが魅了され、宮島では予定に無かった野性の鹿までもが魅了されたように撮影現場に飛び入りし、内田と共演するハプニングも起きたほど。本人に今後、芸能活動の意思はないとのことだが、小山氏は「もし役者になるとしたら、まず世界デビューしてもらいたい」と力説する熱の込めようだ。

今回の作品では「自分にとっての故郷=FURUSATOはどこなのかを考えるきっかけになったらいいかなと思う。」と語る小山氏。家族、街…、それぞれが持つ故郷のイメージの中で何が拠り所になるのかを、国境を越えた地球という「星」に生きるすべての人への思いを込めて、宇宙からの映像や壮大な遺産の存在から感じて欲しいという。が、これを見た私たちは、もう一つの新たなる大きな新「星」=内田伽羅の存在も十分に感じられそうだ。
 
 

執筆者

Yasuhiro Togawa

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