ありそうでなかった、大人の青春映画『ジャイブ〜海風に吹かれて』。
様々な価値観と、あっという間に過ぎ行く日々に翻弄される現代社会。そんな社会に生きる一組の男女が、北海道の雄大の自然の中で、本来の自分を探しゆく。人生は勝ち組・負け組とただ色分けされるものではないはず。人生は一隻のヨットと同じように、大海原の風を捉えて奔走し、時に荒波にもまれたり、呑みこまれたり…。それでも航海の先には必ず太陽の耀きが待っている。

大規模な空撮による雄大な北海道の自然を捉えた大迫力映像による感動が全身を駆け巡る本作は、モントリオール国際映画祭2008招待作品に選出。豪華キャストで綴る本作の主人公である泊哲郎役は、数々のドラマ・映画で幅広い役柄をこなす石黒賢。

今回は、主人公:泊哲郎の部下である川原麻衣子役を演じた上原多香子にお話を伺った。ドラマを始めとし、数々の作品に出演し女優活動も目覚しいが、昨年SPEEDが再結成し歌手活動も再開している。


Q:本作の台本を読まれたご感想は?
(上原さん)この作品は海が主役であり、海の場面が沢山出てきます。その「海」というものをどのように表現されているのか?北海道を一周する場面で、海をどのように映像化されているのかな?早く観てみたいと思いました。

Q:本作の撮影は北海道が中心でしたが、北海道には今まで行かれたことは?
(上原さん)札幌、函館は行ったことがあります。町の方には行ったのですが、海の港町や夏の北海道に来ることも初めてだったので、北海道の違う一面を見ましたね。

Q:撮影中のエピソードはありますか?
(上原さん)とにかく、1つ1つのロケ地に、バスで毎日1時間半から2時間かけて移動する中、共演者の皆さんでよく話していました。それから、北海道って改めて大きいんだなと実感しましたね。

Q:本作の川原麻衣子を演じてみていかがだったでしょうか?
(上原さん)石黒さんが演じられている哲郎を追いかけ、麻衣子は東京から北海道にきてしまった。何かきっかけがあれば、哲郎が東京へ戻ってほしいし、何か自分のやれることはないかという思いがあって…。そんな彼女が北海道へ来たことで色々な出会いがあり、色々なことを感じて、自分の中で納得するという、演じていてすごく切ない役。でも哲郎と清水さん演じる由紀のお二人が、大人になり、色々なことをくっつけて、色々なことを経験したお二人が出せる味には何か共感しますね。本当は由紀さんとは対立するような役柄ではあるのですが、最後は由紀さんの気持ちに、自分が何かひきこまれていくという役どころだったので、女性として共感する面がありました。

Q:上原さんご自身と、川原麻衣子と似た部分はありますか?
(上原さん)そうですね、自分の気持ちを悟られないように、自分の中で昇華していくというところは似ているんじゃないかな?と思います。

Q:逆に似てない部分はありますか?
(上原さん)麻衣子は「自分は若いから、無知だから」って、割と長い期間、由紀さんと一緒に過ごしますが、それは麻衣子の人柄だったりするからなのかな?と思いましたね。見知らぬ、ただ哲郎の幼馴じみというだけで一緒に長い期間過ごすのは…結構私自身人見知りするので…それは私にはないと思いました。

Q:役作りするにあたって、ご準備したことはありますか?
(上原さん)私の演じる役柄がOLさんという役柄であって、そういう職業についたことがなかったので、タツロウさんが好きで恋愛している気持ちではなく、仕事の一面としてタツロウさんのもとへいっているので、しゃべり方やしぐさには最初のほう気をつけましたね。

Q:役を演じるにあたって、監督からのご要望はありましたでしょうか?
(上原さん)監督は自分で感じたことや思ったことを、台詞だったり動きだったり、自分でよく考え動いてほしいという方でした。例えば女同士でいるシーンで、お互いが気にしている雰囲気とか、台詞以外のお芝居を気にしたりしましたね。

Q:上原さん自身、「表現をする」というお仕事として、最近再結成したSPEEDでの「歌手」という一面、また「女優」の一面もあるかと思います。上原さんにとって、「歌手」、「女優」とはどのようなものでしょうか?
(上原さん)お芝居は自分とは違う、別人になってお芝居をするということで、まったく違うことにチャレンジするっていうイメージですね。でも、SPEEDとして歌を伝えるというのは、その中に主人公がいたり、設定があったりがあっても、でも自分を通して何かを伝えるものですね。自分を伝えるということは女優も歌手も変わらないと思いますけど。それが何か違う人になって、演じてやるのか、本当に自分の中にある引き出しからだすかの違いかというものですね。

Q:演技をなさる時の、役作りはどのようにされていますでしょうか?
(上原さん)「自分だったら、どうするかな」という気持ちや、「相手が言われたらどうするのかな」ということを捕らえて演技していますね。やっぱり相手の人の気持ちになるほうが、このように言ったらその人がどういうふうに動くということがわかることがあるので、「自分だったら…」「相手だったら…」って言うのを考えて役作りしていますね。

Q:上原さんにとって、「表現」するということにおいて、歌手活動においても、座右の銘のような基盤はありますか?
(上原さん)4人でいる時もそうなんですけど、やっぱり「自分らしさ」ですかね。同じことをしていても、それぞれ個性がちがうので、「自分らしさとは何か?」ということをまず考えてやることですね。

Q:女優業においてもそうですか?
(上原さん)同じ役でも、色々な方が演じられて、違う色になっていくように、私はどういうふうにやるのかな、やりたいのかな?というのを自分でみつめがら演じますね。

Q:今回この作品に出演されたことで、考え方が変わったこととありますか?
(上原さん)この作品は大人の30代の色々なことを経験された2人が、新しいスタートをして新しい思いで進むというお話です。私は今20代半ばですが、これからこういう色々な幅な役の幅というか、大人の恋愛とか、又今まで演じたことのない役にチャレンジしたいと思いましたね。

Q:今後女優業の活動は、重点的に行いたいとお考えでしょうか?
(上原さん)はい、そうですね。お芝居することはとても好きなので。結構私は、何か真面目な役とか、正統派の役が物凄く多いので、殻を破って、自分とは全然違う役をやってみたいですね。

Q:この作品を通して伝えたいことはありますか?
(上原さん)段々大人になってきて、当たり前とおもってやっていることは、間逆のことをしてみると、実は全然違うように見えたりするというのが、人生にはあるとおもうんですよ。人にとって変わることって、なかなか難しいじゃないですか?でも、この作品はある程度自分の基盤が出来てたものを、タツロウさんみたいに、全く違う方向に自分でもっていき成し遂げてまた新しくスタートをすることにすがすがしさを感じます。なかなか出来ないことを、自分がやりとおそう・やろうと貫く強さを作品を通して感じたので、いくつになっても、やろう・やりたいと思うことを、最後まで自分が納得するまでやり遂げることをしてほしいなと思います。

Q:今回の作品を通して学んだことはありますか?
(上原さん)今回この作品は北海道の「海」というものが大事なものになっていました。セットではない、リアルな自然と一緒にやるということで、そこにいって、感じることとか…。私は今回東京から来たという役柄であり、北海道の人じゃなかったので、本当に北海道にいって自分で経験しているみたいな気持ちになったし、そういう風に感じながらお芝居をすることは大事なんだなと思いました。

Q:今後の上原さんの活動は?
(上原さん)今はSPEEDの活動として、お芝居からは少しはなれているので、でも、機会があったら、色々な役にチャレンジしたいなとはおもいますね。SPEEDと女優業は、全く違うものなのですが、それはそれで両方に刺激があって、すごく楽しいですね。

執筆者

大倉真理子

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