温暖でのどかな四国・香川の港町。蒼い空、碧い海をバックに、しょーもない4人の青い奴らがシャウト&セッションする青春ストーリー『青空ポンチ』。 

昨年公開された衝撃作『おそいひと』で注目を集めた異才・柴田剛監督が、いま人気再燃中のバンド・ジッタリンジンの音楽にのせて紡ぎ出した同作で、究極のKYだけど、どこか憎めないヤンチャな主人公カツヲを演じたのが、初主演となる新鋭・石田真人。そして、妹萌えなコスプレで魅了するドラム担当の中学生・玉枝役の小池里奈。

全編香川ロケ&ガチンコのバンド演奏で、ひと夏の青春を一緒に突っ走った2人に対談インタビューを敢行した。




ちょうど1年前の8月に撮影されたそうですね。

小池里奈(以下、小池):はい。この9月で15歳になるんですけど、撮影したときは13歳でした。

石田真人(以下、石田):僕は24だったから……うわ、11も年が離れてたんだ。でも、僕のほうがぜんぜん子供っぽかったなぁ(笑)。

お二人の第一印象はいかがでしたか?

小池:最初にお会いしたのがオーディションで、なんだかのほほんと(笑)、マイペースそうでした。

石田:第一印象は・・・・・・顔ちっちゃいなぁ、これが女優さんなんだ。やべえ!若い子だなぁって。10代の子とか、あまり見ないんで。

小池:あまり見ないって、街に普通にいませんか?(笑)。

石田:いや、あまり目が行かないというか、アイドルとかもよく知らなくて。

小池:でも、メイド喫茶には行ったことあるんですよね?(笑)。最初お会いして、お昼を食べてる時に『メイド喫茶よく行くよ!』って話になって。『え〜?!』って思いましたもん。『エヴァ(新世紀エヴァンゲリオン)』も好きだって話にもなりましたね。

石田:よく覚えてるねぇ……。前にちょっと芸人っぽいこともしていたんで(笑)、ネタ作りに行ったんですよ。そのときに友達とハマってて「行かなきゃ!アキバに」ってマイブームになりました(笑)。

「エヴァ」が好きでしたら、今回の小池さん演じる玉枝のコスプレはうれしかたのでは?

石田:あれはビックリしましたね。でも、写真抑えられなかったんですよ。

小池:よく待ち時間に、一緒に写真を撮ったんだけど、『エヴァ』の衣装のときだけ、撮り損ねちゃいましたね。

待ち時間も和気あいあいとした、充実したロケだったようですね。

石田:はい。とても恵まれた、楽しい現場でした。みんなで本当に楽しかったよね。共演者の方も柴田(剛)監督もスタッフも、みんな親切な人で。

小池:でもカツヲって、つかみどころのない役で、けっこう大変そうでしたよね。

石田:うん。最初の撮影の前、監督にコンビニへ連れてかれて。そこに、オオカミが座ってるポスターがあったんですけど『おまえは、これでいいから』って言われて、何を言ってるのか、さっぱり分からなくて(笑)。『おまえはこれでいいから!』って念を押されて『あ、はい。……はい』って感じで。オオカミみたいにボォ〜っとを心がけて。

小池:えっ!? それって、ぜんぜん意味がわからない(笑)。

小池さんは玉枝役について、どう指導されたんですか?

小池:とにかく元気な娘なので、『大げさにやっていい』って言われていました。

石田:……なんか、分かりやすい、いい説明ですね。オオカミよりも(笑)。

小池:でも、リハーサルの時とか、監督ともっといろいろ役のこと話されてなかったですか? そんなポスターの話じゃなくて。

石田:監督、そん時そん時で言うこと変わりますし(笑)。演技はホント悩みました。『自分自身のそのままでいい』とも言われたんですが、考えていくと、自分自身もよく分からなくなって。一度撮影中、本当に分からなくなったんですよ、カツヲっていうキャラクターが。その夜に監督やマスオ役の板倉(善之)さん、ヒデジ役の内堀(義之)さんにお願いして、寝たいのに起きててもらって、ずっと特訓してもらったりして。

小池:あれですよね。コンビニの前でも、板倉さんとかと練習してましたよね。

石田:うん。コンビニばかりだ(笑)。

今回、お二人は“ポンチッチーズ”としてバンドにもチャレンジされていますが、そちらも見どころですね。

小池:ですね。ドラムは撮影の1ヶ月前くらいから猛練習して、『夏祭り』は叩けるようにしてから、(ロケ地の)香川へ入りましたよ。

石田:僕はベースでドレミファソラシドが弾けばいいって聞いてたので、ホントそれしか練習せず、『まあいいかな!』みたいなノリだったんです。ところが里奈ちゃんがウマ過ぎてビックリして! 『やべぇぞこれは!』って思いました。

小池:リハーサルまでにバンド練習があるって聞いたので『みんな演奏上手な方なんだ。どうしよう』と思ってたんです。それで、まだ譜面見ないとできないけど『下手なんでごめんなさい!』って謝って行ったら……。

石田:一番うまかった(笑)。

小池:本当にあせりました。オーディションの時、ギターと『夏祭り』の歌声が聴こえたので、主演の人は、本当にギターとかできる人が選ばれてると思ってたので。

石田:え、違うよ? オーディション受かってから音楽練習するって聞いてたけど。演奏してたの? ……あれ? なんで俺知らないんだろ? そうだったの?(笑)。

香川でのロケ中は、遊ぶ時間とかありましたか?

石田:一度みんなでカラオケへ行きました。

小池:あ、その時、私のシーンは終わってなくて行けなくて。『終わったら行く〜』って言ってたら、本当に終わらなかった(笑)。

石田:僕と内堀さんと、戸田(比呂子)さんとかと。戸田さんがめちゃくちゃ歌上手かったんですよ! 板倉さんは電気グルーヴの『Shangri-La』を歌ってて爆笑して、内堀さんは僕のマイク奪って、戸田さんにGO!GO!7188の「こいのうた」を歌ってくださいってマイク渡したのに、始まった瞬間奪って歌って、みたいな(笑)。

小池:行きたかったなぁ。でも、石田さんの歌は撮影で何度も聴いているんでいいかな(笑)。

石田:でも映画での歌い方で、撮影前にカラオケで点数計ったら89点だったんですよ!それで満足して撮影で同じように歌ったら『これ全然ちげぇ!』とか言われて。あの89点は何だったんだって(笑)。この前もイベントで大阪へ行ったとき、点数計ったら90点台だったんだけどなぁ。

小池:撮影前に、歌が上手になる飴を舐めたとか、言ってましたよね?

石田:そう、マグネシウムが入ってる飴があるんですよ。歌が上手くなるとかで(笑)。それを買って舐めて挑んだにもかかわらず、あの結果……。

小池:(笑)。それ、恥ずかしくって買えないですよ〜。

石田:店員さんに小声で「これください」って言ってた。全然効かなかったよなぁ(笑)。

最後に、お互いが「いいなぁ」と思ったシーンを教えてください。

小池:里奈は、ケガをしちゃったマスオさんに、カツヲがいろいろ言うシーンがよかったです。部活ノリの友情というか、同じ夢をもった男同士の絆が強いというか、言ってることメチャクチャだけど、気持ち的にすごく良かったと思います。

石田:ありがとうございます! 照れますねぇ。僕は玉枝が、叔父さん役の蛭子(能収)さんにうどん投げつけて、鉄塔に昇って絶叫するシーン。里奈ちゃん、あの時体調を崩してたんですよ。でも、うどん投げるのも鉄塔登るのも全部一発オッケーで。具合悪そうに全然見えないんですよ。あの根性というか女優魂が、すごかったです!

(c)2008 月眠
取材・文/大場徹
撮影/内堀義之

執筆者

Naomi Kanno

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