1977年にアメリカで出版され、児童文学界のノーベル賞と言われる国際アンデルセン賞など数多くの小を受賞。以来、世界24ヶ国で読み継がれ、500万部以上の売り上げを記録し愛され続けてきた「テラビシアにかける橋」が完全映画化。

いじめられっ子の小学5年生・ジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)は、家は貧しく女ばかりの兄弟で、学校でも家でもつらい日々を送っていた。架空の生き物やストーリーを想像してスケッチブックに描くのが唯一の楽しみ。
そんな彼の家の隣に引っ越してきた同い年の少女・レスリー(アナソフィア・ロブ)は、活発で個性的。それゆえに周囲にうまく溶け込めないレスリーは、すぐにジェスと意気投合。二人の溢れる想像力で、森の中に想像上の王国「テラビシア」を創り上げていくが、突然の悲劇がおとずれてしまう・・・。

厳しくてつらい現実と、ワクワクする冒険の詰まった夢の国。二つの対照的な世界を描きつつも、決して非現実的な物語ではない。ここに描かれているのは、人生の困難に立ち向かっていく子供たちの成長の姿でである。
長年世界中で読み継がれてきただけあって、映画化が決定した当初は原作ファンが反対するも、公開後はその忠実さに納得して収まったという。

思春期の繊細な心情を表現した『ザスーラ』のジョシュ・ハッチャーソンと、明るく気の強い性格が板に着いた『チャーリーとチョコレート工場』のアナソフィア・ロブの二人に、映画『テラビシアにかける橋』についてインタビュー。




——長い間、世界中で親しまれてきた物語だけに、演じるにあたってプレッシャーはありませんでしたか?

ジョシュ・ハッチャーソン(以下、ジョシュ):
プレッシャーは、僕たちよりもむしろ脚本・製作トームが感じていたのではないかな。物語を映像化しなければならないからね。原作のキャサリン・パターソンは脚脚本家としてよく現場に来ていたので、負けないようなキャラクターを作らなければならないと思ったんだ。

アナソフィア・ロブ(以下、アナソフィア):
公開前は、予告編を見ただけでは原作に忠実だということがよくわからなかったので原作ファンの間で映画化に対して嵐のような論争が巻き起こっていたの。WEBサイトや、ブログなどでボイコットするよう動きがあったわ。
でも、公開されてからはそのような声も聞かなくなって、原作ファンも満足がいくぐらい原作に忠実な作品に仕上がっていると思います。

——お互いの第一印象は?

アナソフィア:
初めて会ったのは、ニュージーランドの空港でした。映画で競演するということで面白いのは、今初めて会った人と、これから三ヶ月間毎日顔を合わせることになるというところなんだけれど、彼とはすぐに仲良くなったわ。

ジョシュ:
その仲の良さがスクリーンににじみ出ていると思うよ。

——テラビシアというのは、誰の心の中にも存在しうるものだと思いますが、あなたたちにとってのテラビシアとは?

ジョシュ:
自分の人生に抱えている問題から逃げられる場所、それがテラビシアなのではないかな。
今の僕にとってのテラビシアは、サッカーです。「ゴールを決めてやる」とか考えながら、没頭することができるんだ。

アナソフィア:
テラビシアというのは、実際に現実で起きている問題を、凄く安全で自分のコントロールできる環境で対処できる場所なのではないかと思います。
その対処の仕方というのも、楽しくすることができるし、友達と一緒に解決する事もできるし、サポートがある。
私の今のテラビシアは、家族、本、時によっては演技ね。

——原作を読んだ時の感想は?その時感じたことを、どう演技に生かしましたか?

アナソフィア:
原作、脚本を読んだ時から、ストーリーに一目ぼれしてしまったわ。原作の持っている感覚が、映画でも再現されていて嬉しいです。
その時の感動をキャラクターで表現する時には、凄く自由を持っていて、境界線を持っていなくて、心をいつもオープンにしているということに気を付けながら演じたわ。

ジョシュ:
この作品は、名作と呼ばれていて沢山のメッセージがこめられていて、ファンタジーの世界もあるので、監督たちがどう視覚化するのか凄く楽しみだった。
そんな中、僕が表現したのは、ジェスという男の子を、はみ出し者であると同時に愛される役であるという両方のキャラクターを持ち合わせたものだったんだ。

——演じたキャラクターと自分自身、似ているところと似ていないところは?

アナソフィア:
似ているところは、ファッションが好きだというところ、読書が好きだというところね。
自分も冒険心はあるけれど、彼女ほどではないし、彼女は私がなりたい女の子なんです。誰に対しても、何事に対してもオープンでとても強い女の子で、どの女の子にも男の子にも理想的なキャラクターだと思うわ。

ジョシュ:
違うところが多いキャラクターで、だからこそ面白いんだ。まったく違う人物を演じることが俳優の醍醐味だからね。
似ているところを挙げるとすれば、出身地が同じケンタッキー州という田舎なのと、外で遊ぶことが多いところかな。
違うところは、家庭環境だね。僕は家族とも仲がいいし、兄弟は弟が1人だけど、彼は女の子が5人もいる。やっぱりそれは不利な状態だよね(笑)
あと、彼は裕福ではない家庭だし、そういうところも違うので演技する時には気を付けました。

——それについて、お互いはどう思いますか?

アナソフィア:
映画の中の彼は自身がない性格なのは、実際とは違うと思うわ。
あと、二人ともアーティスティックなんだけれども、絵と演技で表現方法が違うのよね。絵も映画の中のようにうまくはないのよ(笑)

——映画の中で、二人だけの秘密の場所を見つけて作り出しますが、これまで実際にそういう場所はありましたか?

アナソフィア:
年を重ねてきて、自分の部屋で過ごすことが増えてきて、宿題も部屋でやるようになったし、学校から帰ってきてもまず自分の部屋に行きました。
小さい頃は、ずっと両親としゃべりながら過ごすことが多かったけれど、今は自分の部屋が一番平和な場所になっています。

ジョシュ:
小さい頃は、弟とイスとかシーツを使って秘密の要塞を築いていたんだ。ところが、それは居間で作っていたから、僕たちだけの秘密のつもりが全然何の秘密ではなかったんだ(笑)

——映画の中の二人のように、想像力を持ち続ける為には何が大切でしょうか?

ジョシュ:
体と同じで、ある程度のエクササイズが必要なんだ。僕は俳優としてかなり想像力を使っているから、かなりビビッドな想像力を持っていると思うよ。

アナソフィア:
オープンでいることね。世間に対しても、人に対しても、人も持っているアイディアに対しても。そこからびっくりするような想像もしなかったアイディアが生まれることもあるし、色んなことを自分で考えて発想を広げていくことが重要なのではないかしら。

——尊敬する俳優は?

ジョシュ:
どんな俳優も同じようにリスペクトすべきだと思っているけれど、個人的に尊敬しているのがジェイク・ギレンホールで、彼のキャリア、演技がとても好きなんだ。
そして、ポール・ベタニー。彼のちょっと皮肉めいたところや、コメディーもできるところが好きだよ。

アナソフィア:
私も、どの俳優もリスペクトしているわ。何といっても、この業界はとてもタフさとガッツが必要だからね。
その中でも、私のロールモデルとなっているのは、友人でもあるシャーリーズ・セロンよ。とても強い女優さんで、凄くサポートしてくれるの。
それから、ナタリー・ポートマン。どの演技も素晴らしくて、大学にも行きつつ女優としても活動しているし、作品もどれも違うタイプもので好きなんです。
(似てると言われて)
たまに言われるんですよ、自分ではそう思えないんだけどね(笑)

執筆者

池田祐里枝

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