ジェニファー・ガーナーはニューヨークで舞台のキャリアをスタートした後LAに拠点を移し、『スピン・シティ』や「Law and Order」(原題)などのテレビシリーズに出演しました。2000年、人気テレビシリーズ『フェリシティの青春』へのゲスト出演で注目を浴び、同番組のプロデューサーJ・J・エイブラムスがその後、ABCの新ドラマ『エイリアス』の主役にガーナーを抜擢しました。『エイリアス』の成功により、映画でのキャリアにも火がつき『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』、『デアデビル』、『13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ』、『エレクトラ』そして「Catch And Release」と、数多くの作品に出演を重ねています。『キングダム‐見えざる敵』はガーナーにとって初のアンサンブル映画になります。



−−−撮影は中東でも行われましたね。あなたも行きましたか?
ジェニファー・ガーナー:いいえ、私はアリゾナで撮影しました。他の人たちはサウジアラビアでの撮影がありました。それから彼らはアラブ首長国連邦にも行きました。でも私は行く必要がなかったのです。映画の中でサウジの王子が大晩餐会を開く場面があるのですが、私はそのシーンに出ていません。だから行かなくてもOKだったのです。

−−−これはあなたにとって、初の大型アンサンブル映画ですね。
ジェニファー・ガーナー:意識的に選択したのです。何よりも私はこの映画に出演したかった。ピーター・バーグと仕事をしたかったし、私が素晴らしい俳優だと感じているジェイミー・フォックスと共演したかった。彼に対する私の評価はますます高くなりました。クリス・クーパーも素晴らしいし、ジェイソン・ベイトマン も好きです。ですから、こういった人たちと一緒に働くということ、そして映画の中で私一人が前に出なければならない状況ではないということに、とても魅力を感じました。重荷を一身に背負わなくてもいいのですからね。

−−−あなたは娘さんを出産したばかりでしたよね。
ジェニファー・ガーナー:ええ、娘はこの映画の撮影中、8,9,10ヶ月というところでした。ですから私はたくさんオフをもらって娘と一緒にいる必要がありました。娘とはよく一緒に過ごしましたし、それで仕事とプライベートのバランスが取れていたと思います。でももちろん、私が撮影でボロボロになったまま帰宅して娘を抱き上げたりすると、彼女は汗やニセモノの血まみれになってしまいましたね!かわいらしい洋服が真っ赤に染まってしまった。娘は何もわかっていなかったけど、ご機嫌でしたよ!

−−−あなたは『エイリアス』ではCIA、今回の『キングダム‐見えざる敵』ではFBIの捜査官を演じているわけですね。政府関係者を演じるのは好きですか?
ジェニファー・ガーナー:(笑い)ピーターに最初に言ったのがそのことです。私は政府の捜査官ばかり演じている。もう嫌だわ!って。でも、それくらいのことで、こんなに素晴らしいメッセージを持った映画、こんな素晴らしいキャストとの共演のチャンスを見逃してしまっていいのかしら、と思いました。だから最終的には満足して出演を決めました。この話を断っていたら墓穴を掘ることになっていたでしょうし、観客が似たような役だなと思ったとしても気にしません。私としては、二つのキャラクターはかなり違うと思っています。今回のジャネット役は少しも漫画的なところがないです。誇張されたところもなく、大人の役です。

−−−この映画のメッセージが好きだとおっしゃいましたね。メッセージについてどう思いますか?
ジェニファー・ガーナー:それについてあまりよく考えてみる時間はなかったけれど、この映画が問うているのは「私たちは何を得るのか?暴力は暴力を生み出すだけなのに」ということです。報復は何ももたらしてくれません。世界中の人たちは皆同じように感じて、同じものを欲しているのです。それは子どもたちが安全で幸せに暮らせること、自分の家が守られていること。(今の中東の状況は)人類の歴史上の大きな間違いだと私は思います。やられたから、やりかえす、というのはね。胸が痛みます。

−−−その点から言えば、この映画のエンディングは少し希望がないと感じたのではないですか?
ジェニファー・ガーナー:ちょっと暗いですよね。でも観客が両方の観点に目を向ける、というのがいいと思います。それがこの映画について私が気に入った点のひとつで、ぜひ出演したいと思ったのです。ただ「乗り込んでいって、奴らを打ちのめせ」というものではないですよね。この映画が伝えているのは、アメリカは完璧ではない、ということです。私はそう信じていますから、この映画でそういうメッセージを発したことを誇らしく思っています。アメリカは素晴らしい国ですが、私の友達では誰も、アメリカが世界の他の国の問題をすべて解決できるユートピアだとは考えていません。今起きていることを考えると、身がすくむ思いがします。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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