「かごめかごめ」「はないちもんめ」「ずいずいずっころばし」……。成立過程や歴史などに不明点が多く、その歌詞には多義的な解釈の余地がある童謡。時に不穏な意味を読み取ることも可能なこの不思議な“うた”の世界に深く潜行し、民俗学者・長野隆之氏の監修の下、物語の旋律が流れ始める。まずは次々に起こる凄惨な事件とともに、謎が深まるばかりの【表の章】。

 ホラー初主演となる多部未華子さん。凶事の渦中に翻弄されながら、一人、謎に立ち向かう姿に強い存在感が漂う。





○ホラー映画は観るほうですか?
興味はあったけど、ホラーを観には行かない方でしたね。霊感もないんです。
童謡や童話って怖いものが多いのに、『こわい童謡』のような映画が今までなかったのが不思議ですね。

○初ホラーです。演じてみてどうでしたか?
台本には「キャー!」とかは書かれていなくて、「!!」が多かったんです。叫ばないホラー。そこにリアリティがあると思います。日常では驚くことってなかなかないんですけど、そういったシーンが何度もあって。驚く表情が全部違うように演じ分けようと思ってやっていました。監督に相談はあまりしていません。仕事を始めた頃からずっとそうなんです。考え込まないし、前もってやっておくこともない。緊張もないですね。こんな感じなので、よくマイペース、淡々としてるって言われます。

○では、撮影中の現場はどうでしたか?
現場では、ホラー映画の裏側のトリックを見ることができて楽しかったです。死体役の人がまばたきを必死にこらえていたり、ひたすら誰かを刺しているふりをし続けるとか、画面で見ると怖いシーンでも現場でその撮影の様子を冷静に見ていると、私たちはいまいったい何をしているんだろう?と可笑しくなってしまうこともありました。それから、現場でよく道に迷いました。撮影場所の学校がとても大きくて。トイレに行くのが怖かったです。

○作品を観ていかがでしたか?
「表の章」は自分が出ていて、「ここはこうで、そしてこう思ったんだ」、と思いながら見ていました。安さん主演の「裏の章」は、どう撮っているのかわからなかったので、「いつ何がでてくるのか…!」とドキドキしながら観ていました。「そろそろ来るぞ!」って思っていたら、何も起こらなかったり。「そう来たか!」と驚かされたりしました。

○多部さんにとって怖いものとは?
ゴキブリ。あとセミです。セミは歩いているときに私に向かって飛んできたのがきっかけで、形、鳴き声、全部ダメなんです。

○これからどんな女優としてやっていきたいですか?
いろいろなことに挑戦しつつも、マイペースに、自然体でやっていきたいです。

○最後に本作のみどころをお願いします。
叫ばないホラーです。
表と裏、それぞれ違うホラーなので、ぞれぞれ違う驚きがあると思います。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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