1970年代の後半、全国の小学生を震え上がらせた都市伝説こそが口裂け女である。その口裂け女にスポットを当てた映画『口裂け女』が映画として製作された。

 そこで今回はその映画の主演を務めるふたり、加藤晴彦さんと佐藤江梨子さんに映画のお話を伺うことにした。実際も仲のいい友人同士というだけあって、息のあったやりとりが楽しいインタビューとなった。





口裂け女に関して思い浮かぶことがありますか?

加藤晴彦(以下、加藤)「口裂け女が流行ったのが1978年ごろの美濃加茂市あたりからだと言われていますよね。うちの母方が美濃加茂市に近いんですよ。
 それと僕は1975年生まれなんですよ。だから母方が近いということと、流行った時期と生まれが近いということで、そういう広い意味では近いものを感じますね」

では今回オファーされたのは運命的なものが

加藤「そこまではないですけどね(笑)」

楽しい現場だったそうですね。

加藤「映画の現場とかはそうですけど、楽しいといっても、くだけるために楽しいということが多かったりしますよね。
 でも今回は地方ロケが長かったこともありまして、楽しい以前に、気を使うことがなかったんですよ。映画の内容が怖かった分、撮影以外の時はワーっとやりたいという気持ちが強かったので、気分が楽でしたね」

とはいえ撮影は大変だったそうですね。

加藤「スタッフも含めてものすごくタイトなスケジュールだったんですよ。僕らなんかまだいいけど、スタッフの方なんて本当に大変でしたね」

佐藤絵梨子(以下、佐藤)「寝てないし。寒いし、本当にそうですよね」

加藤「撮影しているうちに、だんだん音声さんが持ってるマイクがカクン、と落ちてくる時もあったりして」

佐藤「ライトとかも動いていたりして(笑)」

加藤「ただ、これは今回に限らず毎回そうなんですけど、撮影がきつければきついほど、終わってから、皆さんに作品を観ていただくことは救われますよね」

口裂け女役の水野美紀さんはどうでしたか?

佐藤「本当に怖かったですよ」

加藤「真剣な、気合の入った特殊メイクですよね」

この映画には家族の愛情といった側面もあると思うんですが、どうでしたか?

佐藤「いじめとかDVとか、今、社会では弱いものが弱いものをいじめるというのが多いじゃないですか。それについて説いている映画だと思うんで。ホラーが苦手な人も、ホラーだけじゃないんだよ、というところを見てもらいたいですね」

加藤「もちろんストーリーを追うのは大事なんですけど、それと同時に、映画を観たあとに、それぞれ観た人なりのストーリーが出来てくる作品なんだと思うんですよ。だからお子さんを連れていったら、親のありがたさとかね、存在の強さを感じると思うし、親も子供を抱きしめたくなると思います」

佐藤「お子さんと一緒に観てもらうといいですよね。お子さんはお子さんと一緒の視点で見るだろうし、親は親の目線で観るだろうし。PG-12の指定がある作品ではありますけど、ちゃんと観てもらいたい作品ですよね」

執筆者

壬生智裕

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