深夜0:00に立つクラシックな趣のある列車に乗り込んだ5人の悩みを持った旅人たち。その中の一人、化粧品会社で働く都会のキャリアウーマンの由香を演じているのが櫻井淳子さん。年下の恋人に浮気され、その現場から逃げ出した足で乗り込んだ列車の向かう先で、彼女は少しづつ癒され、心が洗われていく。

「ショムニ」、「おみやさん」シリーズ、昼ドラ「美しい罠」のヒロインなど、数々の大ヒットドラマや舞台で活躍してきていた彼女が、初主演を飾った『旅の贈りもの -0:00発』。一ヶ月の間、実際に旅をしながらスタッフ・キャストで作り上げた作品の魅力をうかがいました。






——主演の映画は今回が初めてですね
今までも映画には出たかったんですよ。ただ、テレビの仕事が多かったので、なかなかタイミングがなくて。映画にはゲスト的な役等で出ていましたが、主演は今回が初めてです。

——脚本を読んで見てどう思いましたか?
化粧品会社に務めているキャリアウーマンが失恋をきっかけにある旅に出、人とのふれあいによって心情が動いていく、あったかいなあという感じの本で、私自身も忙しく働いているので、同じ気持ちになれる、等身大だなというのはありました。

——ドラマと舞台の現場と比較してどんな印象を持ちましたか?
映画とドラマの違いは特になくて、やっぱりみんなで物を作るという意味では同じだなと思うんですよ。ただ、今回まるまる一ヶ月間本当に旅をしていたので、スタッフ、キャストのみんなとも仲良くなるし、ある意味舞台と一緒というのはありましたね。

——お気に入りのロケ地は?
一番、思い出に残っている好きな場所は、最後に一週間以上いたこともある大崎下島です。ゆっくりする時間はちょっとしか無かったんですけれども、一緒に出演していた正司歌江師匠が釣りをしに行くというので、私も連れてってください!と言って、桟橋で一緒に釣りをしました。そのとき私は釣れなかったんですけど、師匠はちゃんと釣って、ほかにも一般の人が釣っている魚を頂いたりしました。ホテルの人に頼んで、獲れたてのお魚で鯵の南蛮漬けを作って頂いて食べたりしました。おいしかったですね。

——今回、実際十数時間列車に乗ってみてどうでした
列車の中でずっと撮影をして、休憩で寝て、起きて芝居して、そのイスからなかなか離れなかったですね。さすがに十数時間だと腰が痛くなりました。(笑)

——列車の中はどうでした?
随分昔の列車なのに、全然居心地はよかったですね。腰がフィットしてたんですよ、私。腰は痛かったんですけど、フィット感があったのでよかったです。また乗ってみたいと思いますけど、今度は本当の旅行で乗りたい!

——徳永英明さんは演技初挑戦でしたが、櫻井さんから見てどうでしたか?
徳永さんとは、現場に入ってからはメイクをしながら何となくセリフの言い合いをしながら、すんなりすんなり入っていましたね。徳永さんの演技は素晴らしかったです。歌い手というよりもアーティストなんだなぁと思いました。アーティスト性が強く、作品の中でも、素晴らしい太一先生を演じています。

——映画にはたくさんエキストラの方が出演していますが、現地の方とのふれあいはあったんですか?
撮影終了後に打ち上げという形で地元の方達が手作りのいろんなものを持ってきてくれてもてなしてくれました。みんなで食べながら「本当にいい島ですよね。あったかいし」と、本当に由香と同じ気持ちで、食事をして、最後終わりました。

——映画初出演の多岐川華子さんと共演してみてどうでしたか?
今回初めて芝居をするっていう話を聞いていたので心配していたんですけど、撮影初日を迎えて、全然、心配する必要がないじゃない!と思いましたね。目を見ているだけで吸い込まれるような、すごい存在感を感じました。

——撮影中に共演者の方達とはどのように過ごされていましたか
夜は食事が一緒なので、細川俊之さんと一緒にお酒を飲んでいることが多くて、徳永さんはツアー中で、行ったり来たりしていたので、戻ってきたら一緒に飲んでください!って過ごしていました。お酒はそんなに強くはなくて、量は飲まないんですけど好きですね。細川さんも好きみたいで、夕方に終われば、夕方からお酒を飲んでもOKの人だったので、ずっとおつきあいしていただきました。

——原田監督は撮影が終わって、帰るときに場所を離れたくないとおっしゃっていましたが、櫻井さんはどうでした?
その気持ちは分かります。やっぱり心が洗われていたので、また東京に戻って、せかせかした時間に追われる毎日を過ごさなくちゃなららいのかぁっていう気持ちもあったんですけど、でもやっぱり一ヶ月間家を離れていたので、家のベッドで寝たいなぁ、帰れるんだなぁっていう両方の気持ちがありましたね。

——どんな旅がお好きですか?
私自身、目的地にすぐに行きたいタイプなので、海外だったら飛行機、日本で、もし京都に行くことになれば、新幹線の「のぞみ」を選んでしまうんです。でも今回、実際十何時間列車に乗ってみて、こういう旅もいいなぁと実感しました。

——映画には今後も色々出てみたいですか?
映画はずっと残っていくものなので、お話があれば、どんどん色々な役をやりたいなと思っています。

——映画はご覧になりますか?
見れるときは見てますね。最近忙しかったので、全然見れていないんですけど。そういえば『世界の中心で、愛をさけぶ』以来、ちゃんと見てないですね。日本映画を見たくてしょうがないですね。

——好きな監督や共演してみたい俳優さんは?
大林監督の作品が昔から好きなので、ご一緒したいなと思っていますし、ベット・ミドラーにも惹かれるものがあって、すごく好きです。日本の俳優ですと大森南朋さん。『ヴァイブレーター』を見てすごく惹かれちゃって、こんな俳優さんがいたんだぁと思って、お会いして共演してみたいなと思った矢先に、昼ドラでお父様の麿赤兒さんとご一緒して、それも途中まで知らなかったんですよ。そこで紹介してほしいなと思ったけど、それも言えないしと思って、そのままになったんですけど。共演に恵まれればいいなと思って。監督さんに呼んでもらえたらなと思いますね。

——映画を見た感想は?
この映画を見たら、心が本当に洗われました。ゆったりと時間が流れて行く町の中で、なくしかけていた何かを見つけられたような、そんなこの映画が大好きです。自信を持ってお奨めしますね。

——大変だったシーン、苦労した部分は?
役柄については、すんなり入れて、等身大で演じられましたが、撮影場所の移動が多かったので、撮影順序で気持ちを繋げなくてはいけないっていう部分では苦労しました。歩きのシーンがいっぱい出てきているんですけど、歩きで心情の変化も出していて、そこが大変でしたね。

——映画ではスローライフを扱っていますが、櫻井さんのリラックス法があったら教えて下さい。
一番リラックスするのは川の流れを見ているときですね、何となく落ち着くんですよね。水の流れは偉大だなと思うんですね。普段もロケで川に行けるとうれしいなって思うんですけど、川を見ていると、落ち着いちゃってセリフが飛んでしまうこともあるんですけど(笑)。今回ロケが海の側だったので、だから良かったのかもしれないですね。

——映画を見る方にメッセージをお願いします。
日頃時間に追われている人や、ゆっくり旅行に行けない人にはぜひこれを見て旅に出ている気分になって欲しいですし、旅行好きの方にも自然の溢れている街並や素敵な風景がたくさんでてくるのでオススメです!ぜひ多くの方に見てもらいたいです。

執筆者

Miwako NIBE

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