類稀なる頭脳の持ち主である本郷猛は、将来を有望視されていた青年だった。
だがその将来はある組織によって潰えてしまう…
組織の名はショッカー。
彼らは様々な実験によって生み出した“改造人間”を使い、社会を意のままにしようとする秘密結社である。

第一作目から35年近く経ち、現在もなお系譜を絶やさすことなくシリーズとして展開。さらに多くの人々を魅了し続けている、国民的ヒーロー、仮面ライダー。

『仮面ライダーTHE FIRST』では第一作目の仮面ライダー1号である本郷猛と仮面ライダー2号の一文字隼人が復活。しかし、今作は今までは描かれなかった2人の青春の息吹や仮面の下に隠された悲哀といった、深みのあるテーマに焦点をしぼられた、現代にふさわしいヒーロー映画となっている。

35年振りの本郷猛を演じるのは、『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌 』や『GACHAPON!』、TV『不機嫌なジーン』などで着実に活躍の場を広げている、黄川田将也。彼に、映画や、役に込めた思いなどを語ってもらった。

$orange ☆2005年11月5日(土)より全国にて公開! $




— 完成した映画を見てどうでしたか

「客観的に観て凄く面白かったです。ライダーとショッカーのバイク上での戦闘シー
ンが、生身の人間でやってるんだよなあと思うと、凄いと思いました」

— 出演することになった経緯は

「プロデューサーから話がありました。初アクションだったので、出演するかどうか悩んだのですが、台本を読ませて貰ったら、単にヒーローのカッコ良さだけではなく、人間臭さも描かれている作品だったので、やってみたいと思いました」

— 35年続いているシリーズですが、プレッシャーや不安はありましたか

「決まった当初は全然ありませんでした。仮面ライダーという存在も、藤岡さんが演じていたというのも知っていましたが、凄い作品に出演できるということでとても嬉しいという気持ちでした。でも、撮影が終わった後に、当時の作品を知っている方の話やネットを見てみると、マスクから髪が出ている部分など、自分が予想もしてなかった部分まで細かく注目されていることを知りました。その時初めて、ファンのこだわりの深さを知って緊張しました。撮影前に知らなくて良かったです。(笑)」

— アクションの為にトレーニングはしたのでしょうか

「アクションの稽古が数回しかありませんでした。八誠君は何度かアクションをしていたので、僕よりも何段階も先のステップに進んでいて、それと自分とを比べてしまって焦りました。でも、“負けてられない”と良い意味で刺激になりました。あとは、普段ストレッチをしたり、 “格好良いポーズってなんだろう”と思い、買い物中にビルのウィンドウに映った自分の姿を見て、ポーズをとったりして、友達に「え?何今の動き!?」とかって気持ち悪がられたりしました(笑)アクション監督には、“自分が思う格好良いポーズを考えてきて”といわれ自分なりに考えたりもしました」

— 監督は初期から仮面ライダーに携わっている方ですが、演技指導などはありまし
たか

「全くなかったです。(笑)監督に、「どうやればいいですか?」と聞いても「いいからやってみて!」と言われるだけで。(笑)そんな感じだったので、ある程度自分で本郷猛を作り上げないとキャラクターが定まらなくなってしまうと思い、自分なりに作り上げてゆきました。唯一監督に言われたことといえば、芝居を大きくやれということ。僕は子供から大人まで観れる、ナチュラルなカッコよさを演じたいと思っていたので、その点では監督とぶつかっていました。ただ、監督の言っていることも理解できたので、監督からOKがでる程度のナチュラルさで演じました」

— 本郷猛と自分との共通点や、こだわった点はありますか

「本郷猛は水の結晶の研究をしていて、美しいものが好きなのですが、自分も綺麗なものを見るのが好きなので、そういう感性は似ていると思いました。僕は水の結晶を見たことがなかったので、本で水の結晶を見たり、美術品、絵画などの美しいものを鑑賞して役作りをしました。こだわった点でいうと、陰と陽でいうと、仮面ライダー2号が陽で、1号が陰でなのですが、あまり重過ぎないように気をつけました。生活している中で、「あ、今の部分は本郷猛だ」と思うと、それを使うようにしたりしました」



— 撮影現場での思い出は

「長時間、船での撮影シーンがあったのですが、監督は船に強いんだな。と。(笑)監督
より若いスタッフでも結構船酔いでダウンしていたのに、一日中船で撮影していたにもかかわらず監督は全く平気な感じだったのが思い出です(笑)」

— 印象深いシーンは

「自分としてはアクションシーンが印象深いです。映画としては、本郷猛と一文字隼
人が話している浜辺のシーン。特殊な能力を持ってしまったが、今は守れるものを守れば良いというメッセージが込められており、持ってしまった能力を前向きに捉えることができたシーンという意味で大切なシーンだなと思います」

— 本郷猛としての一文字隼人の存在は

「本郷猛は、持ってしまった能力について一人で悩んでいた。そんな時に、一文字隼人という、もう一人の改造人間が現れ、仲間というよりも、同じ痛みを分かち合えるヤツという感じだと思います」

— 共演者とは現場ではどうですか

「僕と八誠君はお互い違うことを話していて、違うところで盛りあがっていました。(笑)八誠君は宇宙と交信系というか(笑)、不思議なところがあって、すぐにボーっとし出すので、僕が“だめだよ!”という感じで。(笑)。麗奈はありがとうと思うくらい、話しかけてきてくれて、仲良くしていました」

— 最後に、映画で注目してもらいたい所や、ファンへのメッセージを

「すごく格好良い作品になっています。今の時代CGが使われすぎていると思います。でも、この作品はCGを使いすぎず、人間の動きだからこそ表現できる暖かさがあるかと思います。今の時代だからこそファーストに帰った意味があると思います。2005年版の本郷猛と一文字隼人に注目して下さい」

執筆者

Tomoko Suzuki