先ほど日本に到着したばかりだという監督。
「2003年にも東京国際映画祭にこの作品を持って3泊4日で来日したけど、東京を見る暇が全然なかったんだ。今回もすごくスケジュールがきつくて遊びに行けなさそうだな〜。もう少し日本の日常的な所を見たかったんだけどな。」とちょっと寂しげに語る監督。
しかし、2003年東京国際映画祭「コリアン・シネマ・ウィーク」にも出品され大好評を経た本作は、韓国で520万人が泣いて笑って圧倒的な支持率を受け、なんと年間興行成績No.1の大ヒットを記録!!
主人公を演じるのは視聴率57.4%を記録した「パリの恋人」で憎めない可愛らしさを披露したキム・ジョンウンと、ドラマ「LOVE・サラン」「グッバイ・マイ・ラブ」と幅広い役をこなすチョン・ジュノ。この2人&周りのちょっと強面だけど憎めない極悪3兄弟が繰り広げる愉快でとってもキュート、しかも最後はほろっと感動のラブストーリー。その面白さは、ハリウッドにまで届き、遂にはワーナー・ブラザーズがリメイク権を購入するなど、数々の話題を振りまく映画となりました。
映画に負けず劣らずとってもおちゃめで、真っ直ぐ目を見て色々なお話をしてくださる監督はとても印象的で人柄の良さを感じました。

さて、そんな『大変な結婚』が日本でも遂に劇場公開されます!
2005年7月23日(土)より銀座シネパトス、池袋シネマ・ロサにてロードショー!
ぜひお楽しみに!!!





—- まず本作を監督することになった経緯を教えてください。
まず最初に自分で企画を上げて脚本も1人で1年半位かけて書いていたのですが、その脚本を映画会社を回って売り込み、その内の1社が手を上げてくれたので制作に入ることが出来ました。

—- では、脚本も書いているということですが、監督としての自分と脚本家としての自分に何か違いはありますか?
特に自分の中で違いはありません。と言うのも、今まで劇場公開の作品を3本作り、全て監督も脚本も自分でやっていて、基本的にシナリオを書く段階で既に自分が監督をするということを前提としているので、その点においては多分シナリオを専門に書いている人に比べるともっとディテールの細かい部分まで書き込みがあったりしたかもしれませんが、特に使い分けがあるということではないです。強いて違いを言うなら、シナリオを書いている段階ではこの台詞をどの俳優さんが喋ると想定して書いていないけど、監督という作業に入る段階になると自分が書いたものであってもこの役者さんがこのように喋るだろうと想像して作業しないといけない部分があるのでその辺でスタンスの違いはあると思います。

—- 冒頭のベッドシーンは丸一晩撮影に時間を費やしたそうですが、どの点に一番苦労したのですか?
ベッドシーンの部屋はセットだったのですが、ロングテイクでカメラが人物を追っていくという過程の中で、カメラとの位置的な問題によりセット自体を色々と動かしながら撮影したので時間がかかってしまったのです。

—- キム・ジョンウンさんとチョン・ジュノさんを起用した理由は?
キム・ジョンウンさんについては、当時彼女はCMでキュートでコミカルな役で人気を集めていた人だったんですよ。当時の韓国の若手女優の中でキュートかつコメディが出来る人というのは自分の中で彼女しかいなかったのです。そこで彼女の事務所に話をしたところ、向こうも乗り気になってくれ結構話がスムーズに進んだわけです。チョン・ジュノさんに関しては少し面白いエピソードがあって、元々は花嫁側の3兄弟の次男役でキャスティングされていたのです。でも製作上の諸事情でクランク・インが8カ月程空いてしまい、その間に彼は別の映画の主役に選ばれたのです。そこで彼は大ブレイクし、これはイケる!と思って急遽本作でも主役にキャスティング変更をしたのです。
だからお2方共この映画を通して1つの転換期を迎えたということが、自分の中で誇れることです。

—- 現場の雰囲気はどうでしたか?また、撮影中のエピソードについてお聞かせください
いっぱいありすぎて困るなぁ…(笑)。じゃ、ヘビ事件を!映画に出てくるヘビは本物を使っていたので男性スタッフも皆噛まれない様に手袋を付けてスタンバイしてたんです。でも、キム・ジョンウンは素手で鷲掴みにしキスしたりしてかわいがりながら演技していたのには周りは皆びっくりしてましたよ!そのシーンではNGが沢山出てしまったので長時間撮影が続いたのですが、それにヘビが疲れたのでしょうか。撮影終了と同時位にお亡くなりになってしまって…。近くにあった花壇に皆で埋葬しに行ったというエピソードがあります。
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—- 男同士の乱闘シーン、女同士の言い争うシーン、ほのぼのしたシーン色々ありましたが監督は1番どのシーンが好きですか?
色々好きなシーンがあるから難しいな(笑)。でも1番キュートなシーンとして好きなのは、主人公の女性(ジンギョン)が水溜りを避けながら歩いていて、主人公の男性(デソ)がそんな彼女を横目で見ているという所ですね。あそこから2人の恋が芽生え始めるというシーンでもあるので。あと笑えるシーンでは、男性(デソ)のフィアンセが女性(ジンギョン)を呼び出して言い争いになるシーン。あそこはジンギョンが方言になって物を投げる振りをしたり、キレて乱暴な口調になる所がすごく好きなんですが、字幕では標準語になっているかなぁ。あそこは実際はものすごく訛っているんですよ。だからそこのニュアンスが出ていればもっと面白くて笑えるシーンになっているのにな。(通訳さん曰く、日本で言うなら関西弁とかではなく土佐訛り位の感じだそうです(笑))

—- 本作は本国(韓国)での反響もとても良く年間興行成績No.1の大ヒットを記録し、この評判にハリウッドのワーナー・ブラザーズ社からリメイク権を購入されたということですが、これについてはどう思いますか?
嬉しい限りです!まだ詳細は聞いてませんが、どうやらヒロイン役がジェニファー・ロペスになるとか?でも原作者の立場から言わせてもらうとジェニファーは少し違うかなと(笑)。10年前のメグ・ライアンならぴったりだったかもしれませんね。

—- ラストで3人の兄弟が妹の為に敵と戦うシーンはとても感動しました。本作では男女間の愛も感じましたが、それ以上に家族愛というものを強く感じました。本作を作る上でそういった家族愛というものに重点をおいて作ったのでしょうか?
シンプルに言うと本作の一番の要となっているのは“家族愛”です。なので当然ラストのあのシーンは本作の中で1番大事でありクライマックスになるシーンでもありますね。個人的にすごく残念なのは大事なシーンだったのに、既に公開日程が決まっていて撮影がこれ以上押せないということで、時間をかけて作れなかったということです。だから今観ると自分でも突っ込みたくなる部分が結構見えてくるんです。あと2〜3日あれば何とかなったんですけどね(笑)

—- ラストは時間を巻き戻す感じで冒頭のベッドシーンへと繋がる経緯が描かれていて、このように仕組まれていたのか!と。でも仕組まれて始まった2人だけど、チョン・ジュノ演じるデソが選ばれたのは何かの運命だったのかな?と感じました。監督はそういった運命の出会いや赤い糸といったものは信じますか?
最初にシナリオを書く時にパートを10個位に分けていたのですが、最後のシーンは自分が分けた10パートの中では“縁”という部分に入る所だったんですね。なので、どちらかと言うと運命というよりは、“人の縁”と自分では捉えています。

—- では最後に、これから本作を観る方へどういった所を注目して観て欲しいですか?メッセージをお願いします!
この映画を観て考えてもらいたいな、という所は日本も韓国もそうですが、現代化が進むにつれ、血の繋がりとか家族って何だろう?ということについて段々希薄になってきているような気がするのです。だから、本作はコメディだけど、観終わった後に自分の家族のことや自分と繋がっている人たちについてもう1度改めて振り返ってもらえたら嬉しいですね。

執筆者

Naomi Kanno

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