観る人全てに、脳裏にこびりついて離れなくなるような恐怖のトラウマを埋め込み続けてきたホラーコミックの第一人者楳図かずお。彼の禁じられたプロジェクトが今…
『楳図かずお 恐怖劇場』は楳図かずお原作の6つのホラー短編をもとに製作されたオムニバスで、どれもが映像化不可能と言われていた作品ばかり。それが今回CGなどの技術が発達してきた今だからこそ完成した作品もあれば、心理的描写を丁寧に描き精神的な部分を追い込むといった作品もあったりで多種多様。
今回はその中の1つ『プレゼント』で映画初主演を果たした高橋真唯さんを直撃!物語は、聖なる夜を冒涜するような行為を続ける若者たちに、サンタクロースが復讐の牙を剥く…といったスプラッタームービー。
「手の平で蠢いているうじをずっと眺め、友達みたいな感じで、お前たちも生きてるんだよね、気持ち悪くないよね、って言い聞かせながらやっていました(笑)。」そんなグロテスクなシーンを体当たりで演じながらも笑顔で答える真唯さんの今後に期待しつつ早速お話を伺ってみました!

※『楳図かずお 恐怖劇場』の『プレゼント』は、2005年7月2日より、渋谷ユーロスペースにて“戦慄”のロードショー





——-台本読んでの感想は?
原作は読みましたが、この優子という女の子は今の時代ではありえない位清楚な子なので演じるのは難しいのでは?という印象でした。

——-山口雄大監督について。何か指導はされましたか?
山口雄大監督は最初顔合わせした時からこういう撮影をするんだよ、など細かく指導してくれましたね。私が演じる優子がたばこを吸うシーンではごく普通に、わざとらしくならないようにシンプルにやりましょう、といったアドバイスをくれたりして。それで不安が和らいだというか、頼もしい感じの人だなぁと思いました。それと同時に作品に対する熱意をすごく感じました。

——-須賀さんはじめ同年代の方との共演については?
最初は私すごく人見知り激しいのでやっぱり不安はあったんです。舞台などで若い人たちと一緒にやったことはあったけどいきなり現場からお会いすることは初めてだったから仲良くなれるか、うまく打ち解けられるか不安でした。でも最初のシーンがみんな で和気あいあいと仲良くしているというシーンだったので撮影に入る前から色々みんな話しかけてくれて、そこから仲良くなれました。今でもメールしたり一緒にごはん行ったりしますね。

——-撮影時のエピソードがあれば教えてください。
撮影は、千葉の使われてないホテルで行ったのですが、休憩中に外へ出ても周りに何もなくて、トイレもなくて…。そのためにコンビニへや駐車場で借りたりしていましたね。その為だけのトイレ休憩もあったりとか。それが思い出深いですね(笑)

——–苦労した点は?
たばこを吸うシーンがあるんですが、普段自分はたばこを吸わないので難しかったです。吸わない人がそういうお芝居すると吸う人にはばれてしまうと聞いたので1ヶ月前からたばこの形をしていて煙は出るのですが喉のお薬になるようなものを2箱位頂いて鏡の前で練習してみたりとか、喫煙者の前で吸ってみて意見聞いたりとか。あとは見よう見真似ですね。

——–お気に入りのシーンなどありますか?
仲間が次々とサンタに殺されてしまうシーンがあって、追われて追われて常に逃げているんですけど、そこで須賀さん(良介)と三津谷さん(カナエ)と私(優子)が会話をするうちに、実はサンタは見る人によって姿が違うということがわかるんです。その事実がはじめて明らかになるシーン。そこが気に入っていますね。

——-楳図かずおさんの漫画を読んだ事はありますか?
また、トラウマになったホラー漫画や映画は何かありますか?

楳図さんの漫画は読んだ事はないと思ってたんですが実は昔に読んだ事があってオムニバスにも入っている『ねがい』という作品なんですけど。それを最初忘れていて後で思い出しましたね。それから、いつもはホラーはあまり観たり読んだりしないのでトラウマになった経験はありませんが、撮影前に監督から“テキサス・チェンソー”という映画が一番これ(『プレゼント』)に近いから見てみてと言われ、見たんですけど精神的なホラーというよりグロテスクな…(苦笑)

——-本作の中でも爪を剥いだり、脳みそが取り出されたりかなりおぞましいシーンが出てきますが…。
気持ち悪いですよね(笑)。うじを手に乗せるシーンがあるんですけど、監督にできる?と言われいきなり本物のうじを手に乗せた時はすごく気持ち悪いと思いましたね。予定よりもうじの数を少なくして5分位手の平で蠢いているうじをずっと眺めていて。友達みたいな感じで、お前たちも生きてるんだよね、気持ち悪くないよね、って言い聞かせながらやっていました(笑)。脳みそは豆腐で出来ていると聞いてたからあまり気持ち悪いとは思わなかったですね。

——-本作観た感想は?
初めての映画主演だったのでとても緊張しました。観てすぐは自分が出ているから照れくさくてまともに見られなかったんですけど、でも振り返って見るとホラーではあるけれどその中にメッセージが入っていてすばらしい作品に出演できたと感謝しました。

——-では、最後に今後はどのような映画に出演したいですか?
ちょっとホラーから離れて、(笑)今までの役は少し普通と違うというか、死後の世界から来た人の役などが多かったので今後は自分に近い等身大で普通の女の子の役や現実的なお話の作品に出演したいと思っています。

執筆者

Naomi Kanno

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作品紹介『楳図かずお 恐怖劇場』の『プレゼント』