福井晴敏のベストセラー小説を阪本順治監督がメガホンをとり、真田広之、寺尾聰、佐藤浩一、中井貴一といった豪華オールスターキャストで骨太に描いた『亡国のイージス』。幹部の反乱によって奪われたイージス艦を取り戻すべく孤独な戦いを繰り広げる先任伍長・仙石役の真田と、祖国の再生を図り、さらに戦争の真の残酷さを日本人に知らしめようとする某国対日工作員・ヨンファ役の中井の壮絶な戦いを軸に、防衛庁、海上自衛隊、航空自衛隊の全面協力のもとイージス艦、戦闘機という全てが空前のリアリティの中での撮影は圧巻だ。
 なかでも、ヨンファを阻止すべく果敢にも1人イージス艦にもぐりこんだ如月行(きさらぎこう)役の勝地涼の堂々たる演技は、錚々たるメンバーの俳優陣の中においてもひけをとらないどころか、互角に渡りあう熱演をみせている。ドラマ、舞台、映画と役者として幅広く活動を続ける勝地にとって、本作は大きな挑戦だったという。

★『亡国のイージス』は7・30(土)より丸の内ピカデリー1他全国松竹・東急系にて超拡大ロードショー!








−原作はベストセラー小説ですが撮影前に読んだりしましたか?
「もちろん読みました。小説と一緒にシナリオの準備稿をいただいていたので、どちらかというとそっちをメインに読みました。よくできているなと思いました。いろんな伏線がちゃんとあって、すごく面白かった。」

−真田広之さんをはじめ、佐藤浩一さん、中井貴一さんなど錚々たるメンバーの中、ストーリーの鍵となる人物を演じていますがプレッシャーは?
「この役に決まったとき、もちろんすごくプレッシャーを感じました。福井さんの原作もベストセラーになっていて、如月行という役はすごく重要だということはひしひしと感じていました。でも自分は自分なりに一生懸命やるしかないと思いました。」

−彼らに囲まれての演技には堂々としたものがありましたね
「やっぱり素晴らしい方たちですし、そこでお芝居をするのは恐れ多いっていう気持ちもあるんですが、それをいっていたら芝居にならない。カメラの前に立ったら役者同士でなければいないので、一旦カメラの前に立つと自分も変わるところがありますね。弱い気持ちになっていたら相手の方に対して失礼だと思いますし。」

−阪本監督の印象は?
「じーっと人の顔をみる方だと思いました。オーディションのときに初めてお会いして、「10秒間、悲しい顔でみつめてくれ」といわれました。すごく真剣なのが伝わってきました。撮影に入る前に、1時間か2時間くらい二人で話す機会があって、その時は役についてというよりは自分が今まで生きてきたなかでのこと、例えば一番嫌だった出来事とか、色んなことを話しました。現場に入ってからも、監督はカメラの横にずっといらしたので、僕も色んなことを教えていただきました。」

−多くの先輩方と共演されてみていかがでしたか?
「真田さんや寺尾さんとは、同じシーンが多くて、寺尾さんは「将来この仕事をずっと続けていきたかったら、自分の趣味や誰にも負けないぞってものをひとつみつけてそれを伸ばしていくといいよ」というお話をしてくださいました。真田さんは、最初はすごく厳しい方なのかと思っていましたが、いい意味で厳しく、とても熱い方でした。例えば僕がアクションシーンでうまくいかなかったりすると、直接的な言葉でアドバイスをするのではなく、だったらこういう動きにしようかと自分の方から動いて僕がやりやすいようにして下さって、すごくありがたかったです。」

−今回のように本格的なアクションは初めてだと思いますが、トレーニングはどのようにされてましたか?
「夏休みの間にアクション訓練は、日活のスタジオで基礎体力づくりを毎日していました。銃の扱いも、以前に持ったりしたことはあったんですが、撃つシーンがあるのは今回が初めてで、タイミングに苦労はしました。」

−水中での撮影も大変そうでしたね。
「泳ぎはもともとやっていたので問題なかったんですが、潜ることが大変でした。5メートルの深さのプールを用意していただいてそこでの撮影でした。力が入ってしまうとすぐ酸素がなくなってしまって苦しくなっちゃうので、力を抜いて楽にしないと潜れなかったです。息と水中での動きが大変でした。」



−これまでの出演作品の中でも一番の大作になりますが、勝地さんにとってこの作品はどういう存在ですか?
「すごく大きな役をいただいているし、僕ら役者だけでなく本当に色んな人が関わっている作品なんです。とんでもない人数の人たちがこの映画に関わってて、自分が実際にお会いした人以上に、多くの人がこの作品に関わっていると思うとすごく身のひきしまる思いです。すごく勉強にもなりましたし、これだけの作品に出演させていただいたということが自分の自信にもなりました。」

−これからもどんどんと活躍されていくことと思いますが、今後挑戦してみたいことはありますか?
「どこか心に何かを秘めている役とか、そういう役の方が魅力を感じます。一方で今までやったことのないぶっとんだ役にも興味があります(笑)。監督では、石井克人さんがすごく好きなので、一緒に仕事ができたら最高ですけど単純にお会いしてみたいというのはあります。」

−仕事以外で夢中になっていることとかありますか?
「最近読んだ本は、向田邦子さんの「寺内貫太郎一家」です。ちょっと古い時代の話だけどすごくわかるわかる!といいながら読んでいます。あと漫画では「花田少年史」とか好きです。漫画はよく読むほうだと思います。」

−今後の予定は?
「秋に公開する塩田明彦監督の『この胸いっぱいの愛を』と、豊田利晃監督の『空中庭園』に出演しています。」

執筆者

綿野かおり

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作品紹介『亡国のイージス』