13歳という大人の階段を上り始める多感な時期を題材にした『サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと』は、驚きが連続して襲ってくる作品だ。主人公の少女トレーシーがメイクやボーイハントにはまり、ドラッグやセックスの世界に浸かっていく様をみて、無邪気だった13歳の女の子がここまで変わるのかと驚き、しかも物語はトレーシーを変貌させる張本人・イーヴィを演じたニッキー・リードの実体験に基づいていると聞いてまた驚き、脚本はそのリードが14歳の時に共同執筆したと聞いて更に驚く。本作で監督デビューを果たしたキャサリン・ハードウィックが、リードと信頼関係を築きながら脚本を作り上げ、思春期の少女たちが持つ危うさを鮮明に描き出している。
 
 13歳で『サーティーン』の脚本を書き始め、14歳で同作にて映画初出演をし、15歳でインディペンデント・スピリッツ・アワード最優秀新人賞を獲得したリード。本作で過去の体験を明かしたことになるが、本人は「後悔していないの?とよく聞かれるけど、一切していません。今の自分があるのもこれまでの積み重ねだから」と笑顔を見せる。彼女が放つポジティブな言葉には、自身の過去を丸ごと受け入れた強さが感じられた。

$deeppink ☆『サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと』は、4月16日から5月13日までシブヤ・シネマ・ソサエティ 他にてロードショー!!$




━━まず、自らの体験を映画化しようと決めた理由を教えてください。
 監督のキャサリン・ハードウィックと3年間一緒に暮らしていたんですが、その間に私は道をそれてしまって。それを見たキャサリンがもっとポジティブな方向に行きなさいということで、いろいろな刺激をくれたんです。その中でものを書いて、映画を作ろうということになりました。最初はハイスクールライフといったコメディだったんですが、私の実体験が一番人を惹きつけるということになって、今のストーリーになったんです。

━━かつての自分をエヴァン・レイチェル・ウッドが演じているのを見て、どう思いました?
 自分の実体験が基になった映画を自分が見るということは、ぎこちなくて不思議な体験をするんじゃないかと思っていたんですが、でも実際はそういうのはまったくありませんでした。もちろんスクリプト上は私の実体験が基になっているわけですが、レイチェル・ウッドはかなり演技派でして、彼女くらいの俳優になると彼女自身の個性やキャラクターというのが演技の中にでてくるんです。なので、トレイシーだけれども自分ではないトレイシーという感じでした。

━━リードさんは危険な魅力を持ったイーヴィを演じましたが、ファッションセンスなど参考にしている人はいるんでしょうか?
 セレブ的に取り入れてみたというのはまったくないですね。イーヴィが率いる学校の仲間と、あと映画を撮影したときに流行っていたファッションを参考にしています。

━━本作以後も女優として仕事をされていますが、今後脚本を書きたいという思いは?
 脚本家はこれで終わりだと思っています。ハリウッド映画に向かないような気がしているので…。ただ何か書いたりはしたいと思っているので、小説に取り組むかもしれません。ディレクターにも興味がありますし、大学にも行きたいと思っています。これらはキャサリンの影響を受けていますね。彼女は女性ながらいろんなことにチャレンジしているんです。女性がいろんなジャンルで活躍しているとはいえ、女性監督はまだ少ないのが現状です。私もそういうものにチャレンジをしてみたいと思っています。

━━エヴァン・レイチェル・ウッドやホリー・ハンターとの共演はいかがでしたか? 何かアドバイスを受けたりも?
 具体的にアドバイスというのは一切受けていませんね。ただ、撮影に入る前に3週間リハーサルがあって、そこで撮影中の二人の振る舞い方を観察させてもらいました。例えばスタッフの人たちとどう接するかなど、演技以外のことでも見ているだけですごく参考になりました。旬の女優さんと共演するのに不安があったんですが、このリハーサルのおかげで自然に演技をすることができました。

━━ちなみにキップ・パルデューとのキスシーンがありましたが…。彼とのキスはどうでした?
 (笑)! まさか文句は言えないですよね(笑)。撮影当時、彼は27歳で、私は14歳でした。現場に来ていた両親もあのシーンには興味津々で、私は「あっち行って!」という感じでした(笑)。

━━現在17歳のリードさんですが、今『サーティーン』についてどう感じていますか?
 後悔していないの?と聞かれることが多いですが、私は一切後悔していません。というのも、ああいう経験があって、今の自分があると考えているから。もちろんああいう道に走らなければ別のティーンエイジャーとしての楽しみもあったとは思います。でも、それはそれ。そういう意味では後悔はありませんし、今の自分があるのもすべての積み重ねだと思っています。

━━最後に、あなたにとって13歳とは? 
 どの少女にとっても13歳とはとてもスペシャルな年頃。いろんなことが体にも心にも起こって、大人の女性に変わっていく歳です。そして多くのことが女の子に起こるのに、精神的についていけない時期でもあると思います。そんな時にアドバイスをくれる人が傍にいるかというと、そういうわけじゃない。私はキャサリンがいてくれたおかげで人生が大きく変わったので、恵まれていたと思います。

執筆者

yamamoto

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