優しい夫が突然豹変し、暴力をふるい始める恐怖……。映画『DVドメスティック・バイオレンス』は、“夫やパートナーが、妻や恋人に対してふるう暴力(DV)”をテーマに、仲のよい夫婦関係が崩れ、暴力に満ちた日常へと変わっていく様を描く。
 今やDVの被害者は、国内でおよそ40万人にのぼるという。そんな現代の闇に果敢に挑んだ『コンセント』『櫻の園』の中原俊監督は、夫から暴力を受ける妻・鬼頭泰子役にモデルとしてキャリアを積んできた英由佳さんを抜擢する。「DV」という重いテーマなだけに泰子役は非常に難しいものだったと想像できるが、英さんは長編映画初主演とは思えない熱演を披露。体当たりで演じるその姿は、DV被害者のつらさ、悲しみはもちろんのこと、物語のキーとなる泰子の“強さ”をも見事に表現してみせた。

$navy ☆『DV ドメスティック・バイオレンス』は、2005年2月5日より、渋谷 シアター・イメージフォーラムにてロードショー公開!他 全国順次ロードショー!$




——長編映画初主演にして、DVの被害者という難しい役を熱演した英さんですが、こういった役はいかにリアリティを生み出すかが大事だと思います。役作りのために何か取り組んだ事はありますか?

役が決定してから撮影まで短い期間だということもあって、どれだけリアルさを出せるか不安もありました。準備のために、本や雑誌を何冊かは読みました。

——英さんは中原俊監督の強い希望で大抜擢を受けたと聞いていますが、康子を演じるに当たって監督から作品の解説をされたり、アドバイスを受けるなどはありましたか?

心理描写を撮っていく過程での表情だったり、感情の表現の演出は細かく始動して頂きました。

——優しい夫からDVの加害者へと豹変する遠藤憲一さんとの共演はいかがでしたか?鬼気迫る演技に刺激されたりも?

遠藤さんは、常にパワーのある方です。目の力がとても強くて、芝居中も遠藤さんの目力に応えることに集中しました。遠藤さんの心、そして空気を感じて演じましたね。

——撮影現場はどのような雰囲気でしたでしょうか? 何か印象的なエピソードがあれば教えて下さい。

どちらかというと不器用なので、現場では一人でいることが多かったです。遠藤さんやスタッフの皆様にも気を使っていただいて、役に集中できる環境を作って頂きました。

——DV防止法ができるなどDVの認知度は高いと思うのですが、作中に登場する警察官、女医のようにDV被害者を責めるような対応をとる人もまだまだ沢山いるのだと感じました。康子を演じられた今、そういった現実をどのように感じていますか?

すごく難しいと思います。法に感情を入れてもいいのか……。でも人間は心を真ん中にもって生きていますから。一人でも心で感じて、きちんと向き合う方が多い社会を望みます。

——最後に『DV』のここに注目して欲しい、見所はここだというのがありましたら教えて下さい。

『DV』を見て、心で感じていただきたいです。事件としてではなく、どうしてそうなるのか過程だったり、空気だったりを。二人の愛が根底にありますので、その部分があるからこそ、生まれたものなので。

執筆者

山本絵美

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