「横溝正史と文芸エロスをブレンドした感じ」(及川中監督)。伊藤潤二原作『うめく排水管』に続き、『東京伝説 蠢く街の狂気』(9月上旬渋谷シネ・ラ・セットにてレイトショー!!)の公開が控える及川監督が文芸エロスに初挑戦する。タイトルはフランス語で手錠を意味する『メノット』。舞台は海辺の別荘、主人公は上流階級の美人姉妹。ここにリフォーム工事の男が現れ、男女関係が複雑に交錯、やがては「一家の呪われた秘密」に辿り付くのだが…。主演は美人姉妹の姉に『東京伝説〜』の国分佐智子、妹に本作で本格的な活動再開となる藤本綾。男性陣に金子昇、魚谷輝明、阿部進之介、甲本雅裕ほかフレッシュな顔ぶれ。作品のクランクアップとなる8月某日、都内の撮影スタジオにお邪魔すると…!?





撮影最終日。この日は夫婦役の甲本雅裕と国分佐智子のショットのみ、隠し部屋での緊迫のシーンだ。けれど、現場は和気あいあいとしたもので、「ブルーベリーの原液、飲むと目に一発で利くよね〜」などの雑談も飛び交う。『東京伝説 蠢く街の狂気』をわずか5日間で撮りあげた及川監督だが、今回の撮影は2週間。それだけに余裕も出るのだろうか?「というより、自分なりのやり方ははっきりしていて…。人を追い込んでいく作業は好きじゃないんですよ。リラックスしていても迫力のあるシーンは撮れるものだと思うし」(及川監督)。
迫力のあるシーン。かつては菅野美穂に素手でゴキブリをつかませ(『富江』)、つい最近は国分佐智子の顔にゴカイを浴びせた(『東京伝説 蠢く街の狂気』)ばかり。当の国分は「あのシーンは現場で言われたんですよ(笑)。その後の海中シーン(激しい乱闘でズブ濡れになる)もそうでしたけど、閃き型の監督なんですね。だから、今回も何を言われようと覚悟は出来ていました(笑)」のだとか。ゴキブリ、ゴカイに続く生物は登場するのか?「いえ、今回は…。蛇を使おうかとも思ったんですけど(値段が)高いってことでね、やめました(笑)」(及川監督)。
「横溝正史と文芸エロスをブレンドした感じ」、及川監督は『メノット』をこう形容する。そして、次のようにも形容する。「『白いドレスの女』のイメージ。『細雪』の姉、妹の話も」。
監督は続ける。「『細雪』っていえば、山本富士子や佐久間良子やらいわゆる正統派の美人女優が出てくるじゃないですか。『メノット』にも国分さんみたいな美人女優が絶対必要だと思った。藤本綾さんはアイドルでデビューして、少し前まで仕事を休んでいたんですけど、彼女の中でいろいろと葛藤もあったことと思うんですね。この役には逆にそれがいいんじゃないかと」。2人のヌードシーンもあった。実際には国分はセミヌードだがレイプという苛酷なシーンにチャレンジもしている。彼女は言う。「出演場面はモニターでチェックしてたんですけど、とっても綺麗に撮ってもらえたんですよ。『フランス映画みたいに』と監督が最初に言ってくれたんですが、その通りだと思いました」
さて、気になる公開は?まだ未定。及川監督が類似のテーマでメガホンを取り、二本立て興行にする案もあるそうだが。「『メノット』(の尺)が長くなりそうなので、それはどうなるかわからないですけど…。何にせよ、公開が決まったら女性客に見てもらいたいですね。ベッドシーンも布越しに撮るような感じで女性が見て“美しい”と思えるエロスをイメージしました」。なお、撮影は全て24P。早ければ来年にもお目見えしそうなので、それまでしばしの辛抱のこと。

執筆者

寺島万里子

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