『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』オリヴィエ・ダアン監督、インタビュー
再び蘇る謎と恐怖
ジャン・レノ×リュック・ベッソンが挑む最大の衝撃
『クリムゾン・リバー』から3年。完全犯罪を見事に暴いていく二人の刑事の活躍を描く作品は大ヒット作となった。ジャン・レノと『レオン』でタッグを組んだリュック・ベッソンが再び脚本を担当する事で、『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』では全てにおいてスケールアップして誕生。
2004年5月29日より日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー
Q.このプロジェクトに参加することになった理由を教えてください。
まず何より、脚本に関心を持ったから。本作の話を持ちかけられた時、自分の脚本、首謀者でないプロジェクトに身を投じることに非常に興味を持ち、大ヒット作の続編を作るという考えにも惹かれた。良いものが作れるという確信めいたものがあったんだ。前作の世界観を尊重しつつも、自らの個性を表現することが何よりもチャレンジングな体験だったよ。
Q.リュック・ベッソンの脚本を読んで何を感じられましたか?
リュック・ベッソンの脚本には、彼独自の要素を含みつつも、私が自由に表現できるようなシーンも沢山用意されていた。リュックを裏切ることなく可能性を広げる為に、アクション・シーン、説明的なシーン等をふさわしいものにしつつも、いくつかのシーンや台詞を脚色し直す作業を行っていったんだ。
Q.宗教的美学がこの映画随所に見られます。この面をどのように扱いましたか?
私はずっとキリスト教のイコノグラフィーが好きだった。建築や絵画の特に中世から18世紀までで、木材に描かれたものを評価しており、それが自分の装飾の選定に影響を及ぼしている。
さらに私の始まりは映画学校ではなく美術学校からであり、特に絵画に5年間を費やしてきた。私が宗教的美学に惹きつけられて来たのはごく自然のことだったのではないかと思う。
Q.ジャン・レノとの仕事はどうでしたか?
私は俳優が演じる役だけではなく、俳優のありのままの姿も撮りたいと思っている。ジャン・レノは控えめな中に驚くほどの正確さと有能さを秘めている。その演技は決して大げさではないので、観客は微妙な表現効果も感じ取ることが出来る。また自分の役柄を完全に自分のものにしているため、役作りのために演出をする必要は全くなかった。
これこそが真の技術であり、大きな努力の成果だと思っている。
Q.ブノワ・マジメルについては?
彼とは初めて一緒に仕事をしてから6年が過ぎ、彼はさらに演技に磨きをかけ、感性を伸ばす術を身につけていた。彼はジャン・レノとは別の抑えた演技をする。
この映画で初めての経験となるアクション・シーンのトレーニング中も、撮影中も、普通の演技とは肉体的に異なる動きを求められるが、ブノワは全力で取り組んでいた。
Q.カミーユ・ナッタとは?
彼女がこれほどの大作で役を得るのは初めてだったこともあり、ジャンとブノワとの間に居場所を見つけることは決しては簡単な事ではなかった。しかし私がより多くの時間を彼女と一緒にいることで非常に上手くいったと思っている。
Q.撮影中の雰囲気はいかがでしたか?
最高だった! お互いを良く知り10年間仕事を共にしている人たち、そして役者と撮影チームのおかげで非常に楽しく撮影することが出来た。
さらに、クリストファー・リーやジョニー・アリディといった脇を固める特別な役者たちを多く迎え、彼らが醸し出す独特の雰囲気を掴み、演出をするのは大変な喜びだった。
Q.この映画はあなたにとってどのようなものになると思われますか?
間違いなく印象深い作品となる。
依頼された作品であるが、これまで手掛けてきた作品と同じように大切だ。まだ多く映画を作ってはいないが、毎回スタイルを変えながらこの危険を用心深く避けてきた。各々の作品からはそれぞれ得るものがある。
この作品では私はアクションに取り組み、違った空間の使い方へ移行することが出来た。とても素晴らしい経験だったよ!!
執筆者
Yasuhiro Togawa