「特攻隊っていうとある種の宗教的なイメージを持っていたんですけど、やってみると全然違いましたね。生半可な気持ちじゃできませんでしたよ」(杉浦太陽)。「ウルトラマンコスモス」でのブレイク以後、いまや若手ナンバー1の座をひた走る杉浦太陽。昨年は舞台に挑戦し、また、ファーストアルバムをリリース、その合間には特攻隊の若者たちを描いた青春映画「零 ゼロ」(井出良英監督作品)で一本気で正義感に溢れるパイロットに扮した。本作で髪を切り(小学校2年生以来の短髪だったとか)、現場に挑んだという杉浦。短髪に軍服姿の杉浦太陽もファンにはまたたまらないのでは?公開に先駆け、当人にみどころを教えてもらった。

※「零 ゼロ」は1月31日、テアトル池袋でロードショー!!



ーー戦争映画には以前からチャレンジしたかったそうですが。
杉浦太陽  そうですね。ただ、台本読んだ瞬間はできるのかなって思いました。僕が演じた龍太郎は高野八誠くんのイメージで、逆に八誠くんがやった久我少尉の方が自分っぽい感じがしたんです。まぁ、それが逆だからいいのかもしれませんけど。実際、やってみたら楽しくて、こういうオレもありかなって。

 ーー普段は龍太郎とは正反対?
杉浦 喧嘩っぱやいところとかは全然違いますね。でも、この撮影の後、実家に帰ったら「性格変わったね、どうしたの」って親に言われましたよ。喋り方も大阪弁ちゃうし(笑)。

 ーーこの役をやる以前、特攻隊にどんなイメージを持っていましたか?
杉浦  ある意味、宗教的な感じがしましたね。でも、実際にやってみると宗教とは違うなって。撮影の前に特攻隊関連の本を何冊か読んだんですよ。特攻で亡くなった人の写真も見たんですけど僕と同じような年齢の方もいて。劇中で僕が着た軍服を着ててね。やっぱりショックは受けますよね。生半可なことじゃないですか。僕も演じるなら気合入れてやらないとダメだって思いました。

ーー髪も切りましたよね。
杉浦 実はちょっと迷いましたけど(笑)。髪の毛、小学校2,3年くらいから短くしたことなかったし、バラエティ番組の仕事とかもどうしようかなって。自分で切って現場に入ったんですけど「もっと短く」って言われてさらに切られたんですよ。若くなったって感じでしたよね、すごく(笑)。あれで持ってた服が全然似合わなくなっちゃったんですよ。撮影終了後は髪が早く伸びるシャンプーとか使ったり、帽子かぶったり、サンバイザーでごまかしましたけど。




ーー長野県上田市の山荘に泊り込んでの撮影だったとか。
杉浦 3週間、ですね。ナイターシーンが多かったんですよ。何回か朝焼け見ました(笑)。一度、台風が来て撮れずに日が明けちゃって。撮り直したシーンもありました。

 ーー大変だったシーンは?
杉浦  龍太郎は「一視同仁」という言葉に思い入れがあるんですが、その場面で僕のアップを撮ったんです。カメラがすごいスピードで寄ってくるシーンなんですけどピントがなかなか合わなくて、テイク17くらいまで撮りましたねぇ。
 それと辺見えみりちゃんと日中、川原で会うシーンですね。あの時、えみりちゃんが川をほんまに渡ってるんですけど1カメなんでいろんな角度から撮って、かなり時間が掛かった。同じシーンで僕、おにぎりを食べるんですけど台本には「しゃべりながら三口で食べる」ってあって。でも、三口でなんか食えねぇよって(笑)。あれ、ほとんど丸呑みしてますからね。5、6個連続で食べて途中で「うまいなぁ」って言えなくなった(笑)。

 ーー辺見さんとは初共演?
杉浦 初めてです。2人とも芋焼酎が好きでそれで仲良くなった(笑)。えみりちゃんの役はもろ大和撫子ですよ。今の時代はいないんじゃないですか。

 ーー昨年は本作、舞台、そして音楽と活動の幅を広げました。2004年はどんな年にしたいですか?
杉浦  昨年学んだのはやらず嫌いはダメだってことです。舞台にしても最初はできへんと思ってた。セリフも長いし、劇場も大きいし、同じことを毎日やるっていうのはね。もともと人前に出るのが苦手だったんですよ。芸能界に入りたいと思ったこともなかったですしね。テレビドラマと違って舞台はナマじゃないですか。でも、役者をやっていく以上は舞台の経験が必要だと思って「やります」って言ったんですけど…これがよかった。みんなで何かを作り上げてやり遂げた後がたまんない。
 「零 ゼロ」にしても髪を切るのに最初は抵抗があったけれど自分にとっていい経験になったと思いますし。最初に「えっ?」と思うものもやってみないとわかんない。失敗してもいいから今年もいろんなことに挑戦したいですね。

執筆者

寺島万里子

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