映画史上最強のクールヒロインが日本刀で悪を斬りまくるスタイリッシュ・バイオレンス・アクション!!
 カンヌ国際映画祭の最高賞、パルム・ドールに輝いた『パルプ・フィクション』から9年。
 その斬新かつスタイリッシュな映像と、全く予想のつかない展開で世界中の映画ファンから称賛を浴びたクエンティン・タランティーノが、更なる進化を遂げて復活する。彼が最新作『キル・ビル』で挑むのは、映画史上最強のクール・ヒロインが日本刀で敵に立ち向かう、壮絶な復讐の物語。
 話題の最新作、クエンティン・タランティーノ監督にインタビュー。

(インタビュー:猿渡由紀)




Q:「キル・ビル」の構想は、何年も前からあったとうかがっています。どんないきさつがあったのですか?

A:最初に構想を思いついたのは、「パルプ・フィクション」を撮っていた時。いつものように、撮影が終わってスタッフと飲みに行こうと、一度家に帰って着替えていたら、突然、頭の中に、「復讐に燃える女殺人鬼」というアイデアが浮かんだ。待ち合わせのバーに着いてすぐ、ユマ・サーマンに「君の次の役を思いついたよ!」と、このアイデアを説明すると、彼女は「クールだわ」と、とても喜んだ。その後、彼女もどんどん
自分が演じる役について意見を出してきたよ。このキャラクターが最初に殺される時、ウエディングドレスを着ていることにしたら、と提案したのもユマなんだ。

Q:今回の「ボリューム1」の、主な舞台は日本です。美術監督には種田陽平氏を雇われましたが、日本という背景を描くことに、どんなふうに気を使われたのでしょうか?

A:日本を適当に描いてきたハリウッド映画はたくさんあるけど、僕は絶対それはやりたくなかった。だから、美術監督と衣装デザイナーは、一番気を使って選んだんだ。種田氏は、僕がこれまで出会った中で、最高のアーティストと言える。細かいところまで、さりげないこだわりがあるんだ。彼が作ったセットは、毎日現場で目にするが、いざカメラを回し始めて、俳優に焦点を当てた時に、その背後にあるとても小さなデコレーションに気がつくことがある。主張しすぎないそれらの小さな「何か」が、映像にユニークさをもたらしてくれるんだ。感服したよ。




Q:今回の映画も、バイオレンスがかなりあります。映画のバイオレンスを批判する人も多いですが、あなたの言い分は?

A:僕にとって、バイオレンスはシネマという娯楽の一部。シネマという世界の中で、フィルムメーカーが思いきりやりたいことをやれる、そのひとつがバイオレンスなんだ。文学、絵画、舞台、他のどのフォーマットでもできない。映画だから可能なことなんだ。

Q:バイオレンスが理由で、「キル・ビル」も、欧米では私たちが見るのとは違うバージョンが公開されるそうですね。

A:日本人は、マンガやTVを通して、バイオレンスを娯楽としてとらえることに慣れている。だからいちいち目をつりあげず、笑って見られる余裕がある。だから、僕は日本向けに、特別にこのバージョンを作った。こんなことが出来て、僕はフィルムメーカーとしてすごくラッキーだと思うよ。

2003年10月25日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて拡大ロードショー!

執筆者

Yasuhiro Togawa

関連記事&リンク

作品紹介