「『オースティンパワーズ』も007がなければ生まれなかったからね」(リー・タマホリ監督)。 「007 ダイアナザーデイ」 のリー・タマホリ監督、ボンドガールのハル・ベリー、ロザムンド・パイクが一月下旬に来日、新宿パークハイアットで行われた会見で監督は上記のようにコメントした。両手に花といった風情で「2人の女優は僕の秘密兵器なんだよ」とも。一方のハル・ベリーはアカデミー賞受賞後の第一作とあって、周囲の反応は賛否両論だったというものの、「今度のボンドガールはセクシーなだけじゃない。ボンドと対等に闘えるの」と役への惚れこみを語った。本作が本格的な映画デビューとなるロザムンドは「まさか自分が東京にくることになるなんて!!」と感激さめやらぬ感想を洩らした。

※2003年春、丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー!!











ーー今回の悪役は北朝鮮出身で独特の美学を持っていますね。
リー・タマホリ ボンド映画はいろんな国を舞台にしてきたから、北朝鮮が出てくるのは時間の問題だった。シナリオが書かれたのは2年半前なんだけど、14ヶ月間ボンドを閉じ込めそうな国といったら北朝鮮とミャンマーくらいしかない。もちろん、今回の悪役は北朝鮮なのではなく西洋で教育を受けてきた個人が悪役なのだけど。

 ーーアカデミー賞を受賞したボンドガールといえばハル・ベリーさん、あなたしかいませんがその感想は?
ハル・ベリー ファンタスティックの一言ですね。それも同じ年に!!ただ、アカデミー賞を頂いた時はこの役をやることは決まっていました。「アカデミーを取ったのにボンドガールなんてやるべきじゃない」と言った人もいましたけど(笑)、この役はセクシーなだけじゃなく、とても強いの。ボンドと渡りあえるほどにね。そういうところにも魅力を感じました。

 ーーもうひとりのボンドガール、ロザムンド・パイクさん、オファーの瞬間の感想を。
ロザムンド・パイク 信じられないくらい素晴らしい(笑)。最初のミーティングでは私がやるとは思わずに行っていたんですけど、シナリオを読んだ時、もしかしたらできるかも、ってふと浮かんだの。ボンドガールは私の陣性を180度変えました。あの頃はまさか1年後に東京にいるとは思いもしませんでしたから。

 ーーアクションシーンも多いですが撮影はたいへんだったのでは?
ハル・ベリー 劇中で飛行機に飛び乗るシーンがありますが、ブロスナンは軽々とやってのけたの。私は彼より10歳も下だし、だから大丈夫ってやってみたんだけど夜に始まって結局、日が明けてしまったの。結局スタントをお願いしたわ(笑)。
タマホリ もちろん、できないよ。私が飛行機の速度をどんどんあげていってたんだから(笑)。

 ーー007はパロディも多く作られてますが本家の作り手としてどう思いますか。
リー・タマホリ 「オースティン・パワーズ」も「ミッション・インポッシブル」も「トリプルX」も007がなければ生まれなかったかもしれない。でも、ボンドがいまだに地位を保ちつづけていられるのはああした映画のおかげなんだ。実際僕も「〜パワーズ」が大好きだしね。ああいう映画はこれまでと同じことをやってしまうとパロディになるといういい教訓にもなる。

執筆者

寺島まりこ

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