当サイトでも昨年のゆうばり映画祭以降、様々な形で紹介して来た韓国ナンバー1ラブ・ストーリー『猟奇的な彼女』、現在大好評ロードショー公開中である。ゆうばり映画祭そして10月のクァク・ジェヨン監督、12月に来日した“キョヌ”ことチャ・テヒョンに続き、公開を目前にした1月22日に“彼女”ことチョン・ジヒョンが、プロモーション・キャンペーンとしては待望の初来日を果たした。
 現在韓国で監督がキャスティングしたいと熱望し、また観客動員でも女優としてナンバー1の人気を誇る彼女は、午前中に日本に到着するなり多くのマスコミから取材を受ける多忙ぶりだったが、午後に開催された記者会見にはそんな疲れは微塵も感じさせない爽やかな笑顔で会見場に登場。集まったマスコミ陣を魅了させずにはいられない、彼女の会見をレポートしよう。

$navy ☆『猟奇的な彼女』は、2003年1月25日よりシャンテシネ、シネマスクエアとうきゅう他にて全国順次ロードショー公開中!$












「コンニチハ、私はチョン・ジヒョンです。どうぞ宜しくお願いします。」日本語交じりで挨拶をした彼女は、現在新作であるサスペンス・ホラー『四人用の食卓』(原題)を撮り終えたばかり。その内容は、「辛い過去を抱えた女性の役で、ジョン・ウォンという男性に逢い次第に心を開いていきますが、結局は悲劇的な結末を迎えるという物語です。」とのことで、大ヒットした本作のイメージに固執することなく、様々な役柄を演じて行きたいとチャレンジングな横顔を見せた。

Q.原作のインターネット小説に関しては、映画化以前からご存知でしたか?
——勿論、キャスティングされる前から知っていました。韓国では若い世代に大人気のインターネット小説でした。私も目にしていましたし、楽しく読ませていただきました。その後で、映画化が決まり、キャスティングされてとても幸福に思いました。

Q.強烈なキャラクターを演じられましたが、役作りで苦労された点は?また、ゲロを吐くシーンなど抵抗はなかったですか?
——私自身は本作に出るまでは、韓国では大人しくどちらかと言うと静かな女優のイメージを持たれていました。シナリオをもらった時には、自分とは全く違うキャラクターだったので、プレッシャーも感じましたよ。吐くシーンもありましたし、実際には一度も殴ったことのない男性のことを、殴る場面が沢山ありましたからね。でもシナリオが兎に角気に入りましたので、出演を決めてからはプレッシャーは無くなりました。これは実話が元になってますので、原作者にあって話を聞いたりしているうちに、彼女というキャラクターは、私が信じて役になりきっても大丈夫だと決めてからは、自分との共通点を探したりして、苦労したというよりは楽しく撮影できましたね。

Q.今回のヒロインは、ジヒョンさんとどのような点が似ていますか?またジヒョンさん御自身は、キレたり酔っ払ったりするとどうなりますか?
——私はお酒が飲めないので、酔ってどうこうということは経験が無いです。演技のほうは、周りには酔っ払う知人もいますし、またこの作品はとてもコミカルな要素が多い作品ですから、そうしたものの一つだと捉えて演じました。共通点としましては、今回はほとんど実年齢と近い役柄で、感じ方とか学生という立場などが似てましたから、演技をする上ではひじょうに助かりました。これまで自分と違う職業や立場のキャラを演じる時には、役柄になりきるまで時間がかかることもあったのですが、この彼女と言う役柄は接点が沢山ありましたね。それからキレたということですが、彼女というのは最近の若い世代の女性ですから、時々ですけどそんなこともありますね(笑)。

Q.男女の立場が逆転しているのがとても新鮮でしたが、この作品の影響で韓国の恋愛事情が変わったようなことはありますか?
——そうですね、私は普段は仕事もありますひ、この作品が若い人たちの恋愛感にどのような影響を与えたか、気づかずにいたのですが、マスコミ報道等によれば、この映画が出た後で、女性が主人公になったりとか、それが活発な女性であったりする作品が増えている傾向にあるようです。そういう意味では、一つの文化を先取りしたような気持ちがありますし、自負心を持っています。いずれにしましても、この作品がきっかけとなって、男女の立場や恋愛観が変わってきたのは確かなようです。













Q.演じられていて、一番すっきりされたのはどこでしょうか?
——全体的に気分がいい作品になったと思いますが、特に女性の立場から男性を振り回す場面は、すっきりと爽快な気分で演じることができました。それは、韓国の皆さんの反応も同じだったようで、特にあげるとするとキョヌを殴るシーンとか、「言うこと聞かないと、ブッ殺すよ」と脅迫めいた言い方をするシーンは、自分でも演じていて、役になりきったのではと錯覚するほど楽しくすっきりとした気分で演じられました。

Q.この役を演じるにあたって、ファンの方の反応はいかがでしたか?
——この作品は、韓国で本当に多くの方に観ていただきまして、私が演じた彼女そのものがいいですねという意見が多かったんです。それはひじょうに嬉しい反面で、ただこれだけで満足していてはいけないなという気持ちを持っています。今回はこのような役で好感を持ってもらえたのですが、常に違った面を演じでいきたいという気持ちが強いです。それで次の作品も、スリラーという違うジャンルを選んだんです。

Q.実際にはキョヌのようなタイプの男性はいかがですか?
——キョヌもひじょうに可愛いですし、優しくて言うこともきいてくれるので、とてもいい男性だと思いますね。最近の韓国の女の子に好きなタイプを聞きますと「キョヌのような男性が欲しい」という言い方が返ってくることが多いですし、私も嫌いではありませんが、個人的には私をリードしてくれるような強く、自分の主張を持った男性が好きですね。

Q.一番気に入っている台詞はどこでしょうか?
——最初にシナリオを読んだ時には気づかなかったのですが、映画が出来で観てくれた観客が一緒に涙を流してくれたシーンがあるんです。それは山頂で私がキョヌに向かって叫ぶシーンなのですが、あのシーンで観客が一緒に涙を流しているのを見た時に、自分も観客と一体に馴れたのだという気がしました。あのシーンの台詞が好きですね。

Q.ジヒョンさんが好きな日本映画がありましたらお聞かせください。
——日本映画はとても好きな作品が多いのですが、最近観た作品では北野武監督の『菊次郎の夏』ですね。『HANABI』も感銘深く見ましたし、『LOVE LETTER』も好きな作品の1本です。北野武さんは、俳優としてもとても好きです。

Q.素顔のチャ・テヒョンさんに関して、印象をお聞かせください。
——チャ・テヒョンさんは実際の姿も面白く、ユーモアがあって可愛い方です。以前ドラマでも共演したことがありますし、所属事務所も同じですので、会う機会も多いのですが本当に愉快な方ですよ。映画の撮影現場は、普通女優が華と呼ばれるものなんですが、この作品の現場だけは反対だったようで、彼が来ると皆喜んでいました。普段からユーモアがあって、周りの人を楽しませる才能を持った方だと思います。演技の面でも先天的な才能のある俳優だと思いますし、私とも今回演技について多くのことを話し合ったりしましたし、彼に助けてもらった部分も多かったですね。

質疑応答終了後には史上最強にキュートで凶暴な“彼女”に対し、史上最強の格闘家吉田秀彦が、劇中のキョヌと同じく一輪のバラを彼女に手渡した。「昨日ビデオで観た女優さんの隣にいるって緊張しますね」という吉田は、「題名は怖い映画かと思ったら、純愛の映画で最後に泣けてくるいい映画でした」と作品の感想を述べると、「いい映画をありがとうございました。世界に広がる女優になってください。」と応援メッセージを彼女に。そして、映画のポスターよろしく彼女が吉田を殴るポーズが再現された。

執筆者

宮田晴夫

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