99年にオリジナル・ビデオとして発売されると、その最恐ぶりが瞬く間に口コミで広がった『呪怨』と『呪怨2』。どこにでもありそうな建売住宅で展開される、禍禍しき出来事のつるべ打ちに、和製ホラーの頂点を極めたと言っても過言ではないこの作品が、ビデオ版の監督もつとめた清水崇監督の手で、劇場用完全新作ホラーにパワー・アップして戻ってきた。さらに本作は、『ザ・リング』や『フィアー・ドット・コム』など、日本の心霊ホラーの影響下に生まれた作品が、世界各国で話題となっている中、元祖の凄みを見せ付けるべく、早くも全世界10カ国での公開が決定しているのだ。
 9月に行われたマスコミへのお披露目に続き、去る12月16日には一般の映画ファンを対象にした本作の完成披露試写会が行われた。当日は、立ち見のお客さんで、劇場通路が埋め尽くされる大盛況の中、清水崇監督をはじめ本作中で気も狂わんばかりの恐怖を味わった4女優が勢揃いし、舞台挨拶を行った。さらにフォト・セッション時には、あの白い少年の姿も!

$navy ☆『呪怨』は、2003年1月25日(土)よりテアトル新宿にてロードショー公開!$














清水崇監督以下、舞台に登場した女優さん方。挨拶でも、皆さんのっけから、「怖い、怖い」を連発。あんまり言われると、逆に嘘っぽく感じてしまう人もいるかも知れないけれど、今回ばかりは御用心。なめて臨むと、とんでもない思いをするに違いない、特にビデオ版を未体験の方はヤバイぞ。それでは、ゲストの皆さんのコメントを紹介しよう。

清水崇監督——皆さんご覧になる前ですので、あまり言えないのですが、悲鳴が上がってくれたら、家に帰ってトイレやお風呂にいけなくなってくれたら嬉しいナと思っています。

この映画の物語は、勿論清水監督のオリジナル・ストーリー。完全なフィクションなのだけれど…

清水——実際にあった話しを取材して本にしている著者の方と仲がいいので、そこから話をいただいて、使っている部分も数箇所あります。

そう、嘘のようだが出来事としては、実際に体験した方のいるエピソードがいくつも混ざっているのだ。特にあのエレベーターとか…。因みに、監督の言っている本とは『新耳袋』(木原浩勝/中山市朗:著・メディアファクトリー)のこと。
続いて、恐怖に顔を歪ませる綺麗どころの皆さん。奥菜恵は、老人介護のボランティアで訪れたその家で、ただならぬ恐怖を体験することになる仁科理佳役。

奥菜恵——この映画は本当に怖いです。多分夜も眠れないだろうし、お風呂に入る時も何をする時も、きっと怖いと思いますので楽しんでください。

また、この手の作品ではよく噂されることだが、奇妙なこともあったとか…

奥菜——撮影前には日活のスタジオで御祓いをしました。撮影中には、あまり大きな声では言えないんですけど、チョコチョコあったようです。

言葉を濁す彼女は、なんでも幽体離脱を体験したとか!?なお、これから作品を観られる方は、劇中の彼女の表情には特に注目するように。
伊東美咲は、その家に暮らしていた母親の様子を見に行ってから、奇妙な現象に悩まされる徳永仁美を演じている。

伊東美咲——私自身も呪怨と言う呪いに巻き込まれてしまうのですが、中学生の頃以来くらいに恐怖を味わいました。見てください。

人に在らざるものの恐怖に怯える役は、今回が始めてという伊藤。演じる上でどうだったのだろう?

伊東——私はすごい怖がりなので、素の自分が怖がっているのと、役の自分が怖がっているのが重なって、恐怖感が出せたなと思うのですけど、現場にいて監督の顔が怖かったですね(笑)。教えてくれる表情が怖くて、リアルな恐怖感が出せたのではないかと思いますけど。

そして、遠山いづみ役の上原美佐と千春役の市川由衣は、共に本作が映画デビュー作となる。

上原美佐——私はこの作品で、映画デビューをすることになりました。映画をずっとやりたいと思っていたので、夢がかなって嬉しいです。皆さん、どうぞ楽しんでいってください。

市川由衣——私は怖い映画が凄く苦手で、初めて観た時に泣いてしまいました。それくらい怖いです。見てください。

勿論ホラーも初挑戦だ。

上原——恐怖が例えば1〜10まであるとして、それを段階ごとに出していくのが難しかったです。ビデオ版の『呪怨』は見させて頂いてましたので、作品のタッチを頭の中にいれて撮影に臨みましたね。

市川——撮影中はあまり自分が映画に出ている感じはしなかったんですけど、スクリーンで見て感動しました。清水監督ははじめてあったときは、怖い人なのかと思ったのですが、全然そんなことなく優しく教えていただきました。

女優陣からたびたび「怖い人?」的な発言が出てきた清水監督だが、ご覧のとおり悪戯っぽい表情を覗かせる温厚な方。ただ、今回の作品の撮影中には、作品の恐怖感を損ねないように、現場であまり和気藹々としすぎないようにするようにしたとか。演出のみならず、そんな場の空気にまで気を配った賜物が、劇場版『呪怨』なのだ。

清水——何処で何が出てくるかわからないというつもりで作ったので、どちらかと言えばストーリーを追いかけるよりも、お化け屋敷のようなアトラクション・ムービーがあってもいいと思って作ったので、怖いだけを楽しんでいただければと思います。

執筆者

宮田晴夫

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