新世紀アクション・エンターテイメントとして、そして何より主役を演じたヴィン・ディーゼルの兄貴系ワイルドさに同居する軽やかなそのキャラクターが大注目の『トリプルX』。今秋の日本での拡大公開を目前に控えた9月9日、エクストリーム・ヒーロを快演したヴィン・ディーゼルが初来日を果たし、パークハイアット東京にて記者会見に臨んだ。
 黒のシャツ姿で会見場に登場したヴィンは、声優として参加した『アイアン・ジャイアント』でもお馴染み独特のダミ声で「アァハ、ヤットニホンニコレマシタ、ミナサンコニチハ、ヴィン・ディーゼルデス。凄いカメラだね。これまでの人生で見た全てを足したよりも多そうだよ」と、日本語を交えて挨拶。アクションは元より、色事もOK!という基本を押さえた上での新ヒーローを演じたヴィンに、そのセクシーさや女性の好みといった質問も多数寄せられたが、「そんなこと俺に聞くなよ」と凄みつつ照れを隠すシャイな一面も覗かせ、そんなところがまた、女性マスコミ陣の好感を集めていたようだ。
 会見の終りには、『ワイルド・スピード』のアクションからヴィンに大注目し、同じタトウをして試合に臨んでいると言う、格闘家の魔裟斗が応援に登場。自ら使用しているグローブと同じものをヴィンにプレゼントすると、戦う男同士の熱いツーショットを披露した。

$navy ☆『トリプルX』は、2002年 今秋 日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開!$






Q.次世代のアクションスターとして最も注目されていますが、御自分ではどう感じられてますか。また製作や監督も手掛けられているそうですが、これからもそうした方向もやっていきたいのでしょうか。
——子供の頃からずっと俳優になりたかったので、兎に角嬉しいね。20年かかって映画に出ることができたんだ。監督をしたり脚本を書いたりしてきたことが、自分にドアを開いてくれるきっかけになったんだ。それが95年にカンヌにも招待された『Multi-Facial』という短編で、それを観たスピルバーグ監督が『プライベート・ライアン』での役を新たに加えてくれて、ハリウッドに進出できたんだ。今回の作品では、エグゼクティブ・プロデューサーも務めたけれど、この後『ピッチ・ブラック』のキャラを再度演じる『Riddick』と、カルタゴのハンニバルを描いた作品の2作でもプロデュースをするよ。監督に戻ろうという気持ちもあるけれど、映画の撮影というものは1年くらいかかりっきりになってしまうし、今はこうした作品に出演し、なおかつプロデュースも兼ねているので、暫くは夢の中で生き、様々な監督から学びつつ俳優をやっていこうと思ってるんだ。

Q.ご自分でスタントをされて、一番チャレンジングな場面は何処でしょうか
——6ヶ月近くの撮影の前に、エクストリーム・スポーツの練習を10週間したんだ。例えばモトクロス・バイクには乗ったことが無かったけど、練習を重ねジャンプの場面も自分でやったしね。中には、一つのことに2週間くらいかけることもあったんだ。
映画の中でザンダーはNSAと対立関係になったけど、僕もスタジオとはちょっとした対立があったんだよ。それは彼らからすれば、僕自身にこんなスタントはして欲しくないというのがあり、でも僕としてはやりたかったからね。ロブ・コーエン監督は、やるということを決めておきながら、いざアクションをかけると後ろを向いちゃうんだよ(笑)。










Q.9.11以降、ヒーローというものの存在がぼやけがちになっていると思うのですが、今回ヒーローを演じるに当り心掛けたことや、監督からの指示などありましたら教えてください。
——その通り、ヒーローへの考え方は100%変わったよね。実はコーエン監督と最初に話をした時には、自分はあまりやる気がしなかったんだ。コンセプトが決まっていなくてね。僕の両親は、貿易センターにニ機目の飛行機が衝突する瞬間を家の窓から目撃していたんだ。彼らから話を聞いて「僕も今からそちらにいって働きたい」と言った時には、「お前ができることは、もっと別のことではないか」と言われ、僕は警察と消防署の基金を集める運動をしたんだ。このザンダーと言うキャラクターは、反抗的なニヒリストで政府には同調できず、ジェームズ・ボンドなど以前のヒーローとは一線を画している。いわばプロレタリア・ヒーローだと思うし、その方が若者にアピールするしリアルだと思ったんだ。言い換えれば、ディレッタント・ヒーロー、自分が別に世界を救う気もなければ、いいことをしようという気もないけど気がついたらなっていた。逆にいえば今の若者はこうしろ、ああしろと示してほしいと思ってないと思うんだ。9月11日以降、様々な立場の人々が皆何かがしたいという風に思っているわけだけど、そんな中で一つ共通してあるのが愛国心だと思うんだ。それがあれば、子供達にもアピールすると思ったんだ。

Q.共演されたアーシア・アルジェントさんがインタビューで、「彼とは共通点が会って気が合った」とコメントされてましたが、貴方からのアーシアの印象を教えてください。
——とても熱心で素晴らしい女優だね。それにキスが上手くて、とてもセクシーなんだ。僕にイタリア語を教えてくれたよ。

Q.アクション・シーンも凄かったですが、今話に出たアーシアさんとのキス・シーンがとてもエロチックで、そのあたりがシュワルツェネッガーやスタローンらによるアクション・ヒーローと違うと思うのですが、そうしたセックス・アピールという点で、ご自身はジェームス・ボンドに迫ったと思いますか?
——自分はやはり誰とも違うと思うし、そうした個性が自分をここまでにしてくれたと思っている。ぶっちゃけた話、新たな血統だよね。セックス・アピールかい?うーん、僕は自分が“プリティ・ボーイ”じゃないことは判っている。でも、そう言ってもらえて嬉しいよ。兎に角、この手の話は苦手で、自分が何を言ってるのか戸惑ってしまうのだけど、本当に心から皆さんに御礼をしたいと思う。僕にとってというより、アメリカの俳優にとって素晴らしい映画ファンが沢山いる日本で、こうした形で記者会見に出れると言うことは、一つの夢を実現できた証なので、嬉しい。ありがとう。トリプルエックスヲミテクダサイ!

執筆者

宮田晴夫

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