「チキン・ハート」主演:池内博之インターネット初会見! 『選択肢がありすぎるから悩むんですよね。(やりたいことを見つけるには)とにかくなんでもやってみることじゃないかなぁ』
「撮影中はちょっとつらかったですよ。何をしたらいいのかわからない、昔の自分を思い出しましたから」(池内博之)。やりたいコトがみつからなくて…、そんなダメダメ人生を送る男3人悲喜こもごも、清水浩監督「チキン・ハート」がやってくる!!さる7月10日、『女性による、女性だらけの試写会』でトークショーに出演した池内博之さんはこの日、初のインターネット媒体限定記者会見に臨んだ。池内さんの役どころは新人戦でアッパーくらった元ボクサー、昼はティッシュ配りで夜は酔っ払い相手の「殴られ屋」を稼業とする27歳。彼を取り巻く何をやっても燃えない男たちがゆるゆると(ほんの少しだけ)成長していく物語である。最も目力のある俳優、池内博之一問一答を一部中継する。
※「チキン・ハート」は8月3日、東京・大阪同時ロードショー!!
——柔道をやっていたそうですが、ボクシングは?
初めてです。撮影に入る1ヶ月前くらいから練習はしました。殴られ屋という設定上、よける訓練を中心にしていたんですが、クランクイン前に腰を痛めてしまって…。現場では整体師さんがついてテーピングをしてもらいつつ、撮影に入りました。
——岩野というキャラクターについて。池内さんと共通点はありますか。
いや、似てないですね。金銭の取り立てにいって、そこに住む女性とオセロをする場面があるんですよ。その人(演じるのは春木みさよさん)から「セックスしない?」って言われて、断っちゃうんですけど、なんであんなきれいな人の誘いを断っちゃうのかなぁーって(笑)。どうやら、岩野は昔の清水監督だったそうですけど…。
——忌野清志郎さん、松尾スズキさん、アラーキーと個性的な共演陣ですよね。
松尾さんはテストと本番で同じことはやらないんですよ。ガラリと変わってしまうから監督も笑ってたし、おかしくて僕も何度もNGを出してしまいました。清志郎さんは存在感のある人。いるだけでものすごいオーラなんですよ。荒木さんはパワーがすごい。俺より若いです。あのエネルギーがどこからくるのか謎でしたね。
そういう意味で楽しい現場だったんですけど、撮影以外は静かだったんですよ(笑)。クランクアップした後にもっと話しておけばよかったなって後悔したんですけど。最近になって映画のプロモーションだなんだと時々お会いするようになって、やっと話せるようになったのかな。電話番号も交換したばかりですしね。
——清水監督の演出はどんな感じでした?
テストを何度も繰り返すことはしなかったですね。新鮮さを大事にする人で、その時のハプニングも面白ければそのまま取り入れてしまう、そういう監督でした。
スパーリングのシーンで、ボディに入ってそのまま倒れちゃったことがあるんですよ。台本はそこまでだったんですけど僕の仕事としては「カット!」がかかるまで演技を続けなくちゃならない。で、その後の場面もちゃんと使ってくれたんで嬉しかったですね。
——監督から何かアドバイスを受けましたか。
監督自身、この岩野みたいにすごく冷めてた時期があったそうで、当時の話なんかもいろいろ聞いて参考にしましたね。ただ、僕としても「やりたいコトがみつからなくて」って気持ちは、かつてあったからわかるんですよ。専門学校に通っていた頃、モデルの仕事は始めてたんですけどまさにそういう状態で。周りは地元に帰ったり、就職したりでなんだか取り残されていくみたいな感じがして…。当時のことを思い出すから、岩野を演じるのはちょっとつらかったりもしたんですけどね(笑)。
——どうやってそこから抜け出したんですか。
音楽でしたね。スマッシング・パンプキンズの「マヨネーズ」って曲があるんですよ。「急ぐ必要はないんだよ、お前はお前でいればいい」って感じの歌詞で。ちょうどそれを聴いた前後にオレゴンに旅行に行って、自由に生きてる女性と知り合ったりして。すごく影響を受けた時期だったんですね。
——「やりたいコトがみつからなくて…」、誰かにこう相談を持ちかけられたならら、どう答えます?
そうですねー、取りあえず何かやってみようよって言いますかね。何かやってみてそれがダメだったら別のことをやればいいんだし。「やりたいコトがみつからない」っていうのは、逆に選択肢が一杯あるからこそ、そうなっちゃうんじゃないかと。急ぐ必要はないですけど、とにかくポジティブにやってみようよってことですかね。
執筆者
寺島まりこ