73年に起きた金大中・元韓国大統領候補拉致事件を、骨太でスリリングなエンターテイメント作品として映画化し、ベルリン映画祭など海外での上映でも大きな反響を呼んだ話題作『KT』が、5月3日盛況の中全国ロードショー公開初日を迎えた。新宿のシネマスクエアとうきゅうでは、初回上映後、阪本順治監督をはじめ佐藤浩市さん、筒井道隆さん、原田芳雄さんら出演者陣が来場し舞台挨拶を行い、またKCIAの一等書記官を演じたキム・ガプスさんからのメッセージも紹介された。

$navy ☆『KT』は、新宿シネマスクエアとうきゅう、銀座シネ・ラセット、 渋谷シネ・アミューズ、シネセゾン渋谷、他全国拡大ロードショー公開中!$







「この映画を企画したとき、何故このテーマなのか皆に聞かれましたが、今日、ここで皆さんの顔をみて作ってよかったと思いました。ありがとうございました。」という阪本監督の挨拶に続き、まずはゲストそれぞれが初日を迎えての心境と観客への御礼の言葉を述べ、続いて作品に関しての質問に答えてくれた。

阪本監督に、一番大変だったこと、印象的だったことは?
阪本順治監督——撮影がクランクインすれば、いつも大変。今回は撮影中に、尾行されたり、変ないたずら電話がかかってきたりで、根性きめてった。それぐらいの映画を撮ったと思う。公開が終わるまでは胃が痛い。
日韓の俳優がいたから、言葉の問題等のリスクがある中撮影したので自分自身変わったと思う。

佐藤さんに、主役をやられた感想と、阪本監督に一言お願いします
佐藤浩市——阪本劇団と周りに言われつつ別に気負いはなかった。いろいろと禁じ手が多くて、険悪な雰囲気になったこともあったが、無事撮影をおわれてよかった。(人が)やらないことをやる監督なので、今回はこう来たか、と思った。
日本を代表する監督になってよかったです。

筒井さんに、撮影現場はいかがでしたか?また、皆さんと共演された感想は?
筒井道隆さん——現場は緊張感がありましたね。ただ実は、皆さんと一緒のシーンがあまりないので、さびしかったです。格闘シーンは練習しましたよ。

原田さんに、ベルリン、ソウルに行かれたそうですが、反応はいかがでした?
原田芳雄さん——ベルリンは大きな映画祭なので、観客と直には話せなかった。いっしょに客席で見たときの客の反応は日本とは変わらないと思う。ただキャパが3000〜4000なので、反応に時差が。日本人と韓国人がごっちゃになっているようだった。
ソウルでも同様に客に直に接しているわけではない。事件に関しては真相究明委員会が今もまだ存続しているので、身近なことと認識されている。ソウルも今日が初日なのでこれから反応がでてくると思う。神川としてはそのへんをまとめて(原稿を)書かないと…

最後に監督から一言お願いいたします
阪本順治監督——2時間18分ありがとうございます。ぜひこの映画の宣伝をお願いします。さいごに4月に亡くなられた原作者の中薗英助さんのご冥福をお祈りいたします。今日はありがとうございました。

執筆者

宮田晴夫

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