『ガリンペイロ』総合記者会見
4月8日(月)東京・テアトル池袋

$BROWN 日本映画の新レーベル誕生!
映画界の“金鉱掘り”をスタート$

 日本映画の明日をになうユニークなレーベルが誕生した。その名も『ガリンペイロ』。スペイン語で“金鉱掘り”という意味である。制作・配給・興行・技術・映像学校が共同して新レーベルを作り、日本映画界を活性化させるとともに、若い才能を育てていこうというものである。








 映画を作ろうと企画しても“本当に劇場でかかるの?”と言われてしまって、キャスティングもままならない…。そんな現状を打破すべく、ガリンペイロでは企画段階から公開を決定。発表の場所はテアトル池袋である。テアトル池袋に行けば、映画だけでなく、監督や俳優やミュージシャンによるライブイベントも楽しめる(土日中心)。そんな“お祭り”感覚もガリンペイロの面白さだ。
 制作する映画のジャンルは三つ。アイドル・ミュージシャン・アニメーション関係だ。わかりやすくコアなファンがついているジャンルにしぼって勝負をかける方針だという。
 しかし、どんどん作ってどんどん見せるためには制作の低予算化が必要。そこでガリンペイロでは、劇場にデジタル・ライティング・プロセッサ(DLP)を導入。デジタル映像の先端技術を使って、低予算でよりクオリティの高い映像作りを目指す。
 4月8日、テアトル池袋で『ガリンペイロ』に参加する制作・配給・興行・技術・映像学校の各社が集まって記者会見が行われた。 ギャガ・コミュニケーションズの公野勉氏が“ガリンペイロとは何か”を説明。「こういうプロジェクトは世界的にも初めてんなんじゃないかと思います」と語る。
 そして、東京テアトルの榎本憲男氏による“ガリンペイロ”宣言。「我々が『ガリンペイロ』でやろうとしているのは映画のお祭り。最初は小さなバカ騒ぎかもしれないけれど、これからより連帯を強め、多くの人を巻き込んで、大きなうねりになって日本映画の中でひとつの大きな位置を占めること。これを目指しています」と語った。
 また、『BOM!』『ホ・ギ・ラ・ラ』『シックスエンジェルズ』など、ガリンペイロのスタートにあたって公開される映画の予告編も会見の途中途中で上映。ソニーのDLPによるデジタル上映で、その映像の鮮明な美しさを実証した。






 最後に、出演俳優や監督が登場。出演作やガリンペイロへの思いを語る。
 子供だけが暮らす謎の楽園が舞台の『ホ・ギ・ラ・ラ』に主演しているミュージシャン・DOGGY BAG(松尾光次・松尾雄一)。弟の光次さんは、子供たちのリーダーでホギララ語を話す役どころで「言葉を覚えるのが難しかったですね」と語る。弟の雄一さんは精霊役。「セリフがなくて、とりあえず無表情で立っていればいいと言われました。どんな気持ちで立っていたか?“無”ですね(笑)」。
 アイドルが女子高生役で多数登場するラブコメ『BOM!』に主演している初音映莉子さん。「『BOM!』のイベントでの見どころ。女の子がたくさん集まるので、すごく賑わうんじゃないかと思います。映画の中で着た衣装(女子高生の制服)を着て、出てくる予定です」とにっこり。
 沖縄を舞台にした人間ドラマ『月のあかり』に主演している笠原紳司さん。「(ガリンペイロについて)みなさんが映画をより楽しめる環境ができるのは、いいことだと思います。イベントも、直接お客さんとナマで触れ合うことができる。僕が出た『月のあかり』は、見る人によっていろんな感想を持ちえる受け取り自由な映画です。その感想を直接聞けるイベントは、僕としてもありがたいし、うれしいですね」
 同じく『月のあかり』の監督・倉持健一さん。「(ガリンペイロについて)偉そうにいうと、監督ってなかなかなれる職業じゃないですよね。その間口が広がったのは良いこと。いろんな意味で新しいことができて、新しい人たちが出てくるんじゃないかなと思います。すごくいいレーベルだと思いますよ。それにDLPでの上映も最上級の上映の仕方。劇場さんにもガリンペイロさんにも新人の監督たちにも、がんばっていい映画をいっぱい作ってもらいたいなあと思います」と語る。
 戦う美少女たちのアニメ『シックス・エンジェルズ』の声優・折笠富美子さん。「もともと『シックス・エンジェルズ』はインターネット配信から始まったアニメなんですね。一日一分という配信。それが全部凝縮されて、みんなが見ていた小さなパソコンの画面ではなくて、大きなスクリーンで見られるのは、すごくうれしいことだなと思います。企画・原案の秋元康さんには、アフレコではお会いしていないんですよ。(テアトル池袋での)イベントでお会いできたら、私もうれしいなあという感じです」と綺麗な声で語った。
 一時間を超えるちょっと長めの記者会見。ガリンペイロにかける人々の、決意とパワーが伝わってくるものだった。いろんな面で少々荒削りの感はあるが、そこにさえ“可能性”を感じさせる、魅力あるプロジェクトだ。
    取材・文/かきあげこ(書上久美)

#<ガリンペイロ宣言>
1、どんどん制作してどんどん上映。企画段階から上映を決定し、上映劇場を確保。安心して制作し、制作スキルの向上を目指す。
2、エンターテインメント映画を作る。芸術であるよりもお客さんを喜ばすのが第一。

3、ガリンペイロで上映する映画はペイしなければならない。よって低予算で撮り、コアなターゲット(アイドル・ミュージック・アニメ)が存在するジャンルを追求する。
4、毎週、イベントを行ない、より多くの集客を目指す。
5、若い才能の発掘を目指す。ガリンペイロのプロデューサーが映像学校に出向いて、教える。ノウハウを教えるのではなくアイディアを話し、それに向かって生徒にシナリオを書いてもらう。それが良ければ、制作してガリンペイロで上映。
6、デジタルプロジェクタを導入して、有意義な低コスト化をはかる。
7、ガリンペイロは現時点で、自らが未熟であることを自覚する。互いにフォローしあいながら成長しようとする集団。
8、ガリンペイロはさらに仲間を募集していく。

執筆者

かきあげこ(書上久美)