昨年の夏封切られた香港では『パール・ハーバー』の2倍という週間興行成績で初登場第1位となり、公開50日にして6000万HKドルを突破し香港歴代興収第1位の座に踊り出て社会現象を巻き起こした究極のサッカー映画『少林サッカー』が、ワールドカップ開催直前の5月、日本でも全国ロードショー公開される。
 中国拳法とサッカーという二つの要素を融合させ、最新CGI技術によるまさに観たことの無い超人プレイの数々が、笑いと熱いドラマを盛り上げる本作は、早い時期から香港映画フリークに限らぬ映画ファンから注目を集め、2月に開催されたゆうばりファンタスティック映画祭でも熱狂的な反響を呼んだ話題作だ。
 GWの公開に先駆け、本作で監督・脚本・主演を兼ねその多才ぶりをワールド・ワイドに披露したチャウ・シンチーが来日。3月19日に、ウェスティンホテル東京にて来日記者会見が行われた。当日は、シンチーさんの大ファンでサッカー好きという俳優の梨花さんがゲストとして登場。雑誌のグラビアで梨花さんのことをご存知だったというシンチーさんから、「私と同じくらいの足の細さだから、キック力もありそう。パート2に出ない?」とのお誘いの言葉も!

$navy ☆『少林サッカー』は、2002年5月より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー公開!$









Q.先日、第8回香港電影電影評論学会奨 最優秀映画賞を受賞されましたね。ご感想をお願いします。
——受賞できてとても嬉しい。スタッフの努力のおかげだね。製作には2年かかり、言葉に出来ないほど大変だったけどその苦労が報われた感じで興奮も一入だね。

Q.ヴィジュアル・エフェクトが実に素晴らしく、特に一つのショットの中で俳優からCGにうつり変わる場面ではその入れ替わりがわからない程です。香港の映画はシナリオを作らないで撮るという話しをよく耳にしますが、この作品では綿密なストーリーボードを作るなどされたのでしょうか?
——シナリオは予め書いた。しかし、撮影現場でいいアイデアが浮かべば随時修正を入れるという感じだったね。

Q.共同監督のリー・リクチーさんとは、どのような役割分担をされていたのですか?また、『少林サッカー2』はどのような状況でしょうか?
——私は監督・脚本・出演を兼ねているので、彼には実際に現場で指揮を執ってもらったんだ。
パート2に関してはアイデアはもう頭の中で出来上がっているけど、今はこのようにプロモーションが忙しくなってしまってね。これから脚本として、形にしていこうと思っているよ。

Q.チャウ・シンチーさんの映画には、変な顔の人が沢山出てきたりと観ているだけでも楽しいのですが、キャスティングはどうでしょうか?
——どこにでもいる顔じゃないので、確かに集めるのは大変だよ。でもそれで、一層私のカッコよさが引き立つわけだからね(笑)。

Q.撮影の2年間で特に苦労された点はなんでしょう?また様々な技が出てきますが、ご本人が一番気に入っている技はどれでしょうか?
——この作品はこれまでにない斬新な作品だったので、試行錯誤を繰り返しやっと撮れたという感じだね。だから2年かかったといっても、それはむしろ早く出来た方じゃないかな。私達の手法は伝統的なワイヤー・ワークとGCIをミックスさせるという自分としても初の試みだったので、様々な人の力を借りて出来たんだ。
私自身が一番好きな技は、後ろに回転しながらシュートする技が気に入っているね。

Q.毎回共演されているン・マンタさんに関してお聞かせください。
——彼は私が作品を撮る時に欠くことのできない素晴らしい俳優だ。彼と始めて遭ったのは香港のTV局の廊下でだったが、わずか3行の台詞を長い時間をかけてずっと読んでいたんだ。「短い台詞の中に、自分のユニークさを出すために研究しなくてはならない」って。すごく啓発されたよ。








Q.今回香港ではなく中国本土を舞台にしたのは何故でしょう?また貴方がコメディを撮る上で心がけていることがあれば教えてください。
——中国人だから中国を舞台にした作品を撮るのは必然的なことだね。
コメディは面白くなければコメディじゃない。だからその為に常に新しいギャグを取り入れるよう、努力しているよ。

Q.ミラマックス配給の全米公開版を観てどのように感じましたか?
——全米公開版が短くなったものであること自体は、私は理解できる。アメリカの人たちからは私やスタッフ・キャスト達に関して馴染みが薄いからね。ただ、自分がこのことに関して最も印象的だったのは、私が鍛えた身体を見せるために服を脱ぐ、自分でも気に入っている場面があったんだけど、そこは真っ先にカットされたね(笑)。私は納得がいかず理由を尋ねたところ、痩せ過ぎてカッコが悪いという返事が返ってきたんだ(苦笑)。マッチョ体系を好むアメリカの人たちと、引き締まった精悍な体系を好むアジア人と、好むところが違うわけだね。だからその地域ごとの事情にあわせて、編集を行うことには理解をしているよ。
(なお、日本公開版はミラマックス版では無い)

Q.国民的人気スポーツであるサッカーと少林拳という二つの題材を一つにした理由はなんでしょう?
——サッカーは世界的な人気スポーツだし、中国のカンフーも世界的に有名だよね。だからこの二つの要素をミックスすれば、必ず成功すると思ったんだ。マーケティングも行ったけど、皆ひじょうに興味を持ってくれたよ。ただ発想はいいのだけれど、どうすれば両者をバランスよく融合させていくかは難しかったが、結果的には非常に上手くいったと思うよ。

Q.本作で香港興行収入の記録を奪回されましたが、今後どのような方向で映画を撮られるお考えでしょうか?
——映画人として、長く広い目で物事を考えなくてはならないと思っている。アメリカにしろ中国にしろ日本にしろ、広範な人達が私の作品を楽しんでくれればと思っているし、そのためには常に目新しいテーマに取り組んで行くことを目標に、作品を作っていきたいと思っています。

執筆者

宮田晴夫

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