ディズニー=ピクサーの最新作として、昨年11月に全米で封切られるとアニメーション映画史上最大のオープニング成績という大ヒットを記録、さらにアニメーション作品としては、今年より新設された長編アニメーション部門をはじめアカデミー賞最多ノミネートされるなど、作品的にも高い評価を受けている『モンスターズ・インク』が、先頃開催されたゆうばりファンタのオープニングを飾ったのに続き、いよいよ3月2日より全国ロードショー公開される。
 去る2月13日に、本作で長編映画監督デビューを飾ったピート・ドクターさんと、共同監督を務めたリー・アンクリッチさんが来日し、帝国ホテルにて記者会見が開催された。今回が初めての日本だという二人は、会見中も様々なジェスチャーを交えつつ、始終笑いを絶やさず和やかなムードで進み、また冒頭部分では本作では製作総指揮として若い二人をサポートしたジョン・ラセターさんがビデオ・メッセージで「この映画が世界中の子供達に笑いと喜びを与えることを願ってますし、かってブー(映画の可愛い主人公)だった大人の方も楽しんでいただけることを願っています。」と作品をアピールした。
 そして、質疑応答終了後には、大のディズニー&ピクサー社のファンだという女優の後藤理沙さんが、花束とバレンタイン・チョコを二人にプレゼント。「人としてあるべき姿を描いてる作品だと思います。キャラクターでは、マイク大好き!」と作品の感想を語った。

$navy ☆『モンスターズ・インク』は、2002年3月2日(土)より丸の内ピカデリー2他全国松竹・東急系にてロードショー公開!$








Q.ご挨拶をお願いします
ピート・ドクター監督——今日はたくさんいらしてくださいまして、ありがとうございます。僕もここに最新の映画『モンスターズ・インク』を持ってこれて大変嬉しく思っています。
リー・アンクリッチ共同監督——コニチハ、リー・アンクリチデス、ヨロシク。僕達の映画は、毎回日本で大ヒットしていて、今回初めてなんですが日本に来れて、また皆さんに映画を観てもらえて嬉しく思います。

Q.お二人が子供の頃に怖かった思いではなんでしょうか。また、今回のアカデミー賞ノミネートに関しての感想と自信の程を聞かせてください。
ピート監督——僕は子供の頃、クローゼットの中には絶対モンスターがいて、ちょっとでもドアが開いているとシャツや服が動き始めると思ってました。そうしたら、これは常識なんだけど布団の中にもぐりこめばモンスターは手出しはできない。だからもぐるんだけど、息が苦しくなってくる。だから、子供時代夜は大変でした。
アニメで5部門ノミネートというのは、これまでで最も多く大変誇りに思ってますし、ありがたいと思ってます。特に今年から、アニメ部門が設立されましたので期待をしてます。
リー共同監督——僕は、おもちゃが生きてるって確信してたんです。だから『トイ・ストーリー』みたいですけど、動き出したら僕を殺すって確信してたから怖かったですね。

Q.作品の中で日本の場面がいくつかありますが、思い入れとかがおありなのでしょうか?
ピート監督——勿論、日本には長いことずっと憧れてました。この映画の中には、色々な扉があって色々な世界に通じています。そうした様々な国を表現するにあたって、日本は是非いれたいと思ったんです。
リー共同監督——マイクがセリアを連れていくのがスシ・バーですが、誰のアイデアかは忘れましたが8本足の蛸が一生懸命寿司を握っているのは面白いだろうといれました。また、彼の名前にはストップ・モーション・アニメの巨匠レイ・ハリーハウゼンの名前を借りたんです。











Q.映画のモンスターの世界に、大人社会の風刺が見られますがどのくらい意識されたのでしょうか。また、大人と子供の世界を描くのはディズニー映画のよい伝統だと思いますが、そのあたりディズニーとはどのくらい話し合ったのですか?
ピート監督——僕たちが面白いなと思ったアイデアは、怖そうな怪物達が出勤するという部分です。一生懸命働く普通の生活をしてるんだけど、その仕事が子供達を怖がらせるってことなんです。僕達の世界と全く同じですが、人間とモンスターということだけが違う。これは見ていて面白いだろうと思ったんです。色々な会社が世の中にある中でのパロディでもあります。映画を作るときは、リサーチがとても楽しいんですが、今回は様々な工場に見学に行きましたよ。
リー共同監督——僕達が映画を作ることのゴールは、観客に楽しんで、感動してもらうことなんです。感動してもらうには、説得力がある世界、しかも大人も子供も共感できる世界を描かなくてはならないんです。そういった意味でも、仕事の現場とか社会風刺は大人が共感できる部分として加えたもので、同僚とのジョークとかがそうですね。これは『トイ・ストーリー』でも同じですが、あちらは仕事としておもちゃをしてるんです。ディズニーとは、本当にいい関係を持っていてアニメ部門の担当であるトム・シューマッカさんとは常に連絡を取りあっていますし、ディズニーからのガイダンスやフィードバックをいただいて製作をしています。基本的には、どちらもゴールは全く同じくより幅広い観客に観ていただくということですので、よい関係を保ってます。

Q.パステル調の色彩が美しかったですが、どういう効果を狙ったのでしょうか。また、自然界の描写にリアリティやムードを持たせるために苦労された点はありますか
ピート監督——アートディレクションの一番の役割は、無意識の内に観客にその場面の感情を伝えることだと考えています。照明と音楽などで、楽しい場面、緊迫した場面などを感じ取るわけです。色彩もそうです。今回我々のスタッフの中に、ドミニク・ルイというフランス人で素晴らしいパステル調の絵を書く者がいて、彼の書いた絵をガイドとしてコンピューターのアーティストに渡し映像を作っていったんです。月の光とかの自然の描写も、シーンの感情を表すのに重要なものになりますので、盛り込んで作っていきました。

Q.この作品を通して、現在の子供達、大人達に何を一番伝えたかったのでしょうか
ピート監督——今回の作品の中で感情的な面で感動を与えるのは、やはりサリーとブーの関係だと思います。この映画の最大のファンは、子供の親が多いですね。考えてみたところ、僕自身子供がいます。この映画を作る少し前に子供が生まれたのですが、それまでは仕事一辺倒でいかに素晴らしいアニメを作るかということばかり考えてました。そんな暮らしの中に子供が生まれ、それまでの暮らしがひっくり返ってしまったんです。サリーもそうです。ブーが来てどう扱っていいか判らない。だけどそこに友情が生まれるわけです。そしてもう一つ、キャラクターの多くはもんすたーです。そこには必然的に恐怖も描かなくてはならないのですが、この映画のもう一つのメッセージは恐怖をいかに乗り越えるかということです。その一つのツールとして、笑いがあるんです。
リー共同監督——笑いによって恐怖を乗り越えるという考え方は、現代の人間は様々な面で恐怖心を持って生きていかなければなりません。だけど、恐怖というのは乗り越えることが出来るものであり、恐怖によって自分が縛られることはないんだということを伝えたかったんです。










Q.お二方それぞれの役割を教えてください。また、ジョン・ラセッターさんからはどのような助言がありましたか
ピート監督——この映画の企画は『トイ・ストーリー』が終わった頃にスタートしました。ジョンは次回作として『バグス・ライフ』にかかるということで、こうした作品は製作に4・5年かかることもあり、一緒にかかってしまうと効率が悪いので、同時進行として僕はこの作品をやることにしました。製作にはジョンと同じやり方をとりました。まずコンセプトを考え、キャラクター・ディベロップメント、キャラクター・デザインあらゆることを僕が統括してきました。ですから声優たちの監督や照明、モデリングやシェーディングにも携わりました。この作品には450名ほどのスタッフが携わっていますが、それぞれの役割分担は細かく隣の人が何をやっているかはわからない状態なんです。ですから、450のパズルのピースを組み合わせていくのが監督としての僕の役割なんです。
リー共同監督——ピートはこのとおり大変才能豊かな男ですが、一人の人間としてできることには限りがあります。そこを補佐するのが僕の役割で、バットマンを助けるロビンのようなものだと思っています。僕はピクサーに入ってきたとき、アニメの経験は全く無く実写の映画に携わってきていました。ですから、僕が貢献できる部分は実写で培ってきた編集、シーンのデザイン、作品のペース配分、テンポ、そういったものを担当してます。このようにアニメ畑のものと実写畑のものが上手く組み合わさって、アニメを超えたリアルな作品を作っているのです。ジョンの役割ですが、彼は僕たちにとって素晴らしい師匠です。彼は初めてのCGアニメを撮った監督であり、常に僕たちを指導してくれてます。彼が犯した過ちや功績から様々なことを学ばせてもらっておりますし、監督はしてませんが現場で様々なアドバイスをくれました。

Q.本編の前に『フォー・ザ・バード』という短編アニメが上映されますが、どのように製作してるのでしょうか。
リー共同監督——『フォー・ザ・バード』は『トイ・ストーリー』のアート・ディレクターを務めたラルフ・エッグルトンが監督しました。昔はこうした短編が長編の前によく上映されてましたよね。ジョン・ラセッターもこうした短編で修行を積んで来ましたし、ピクサーでは短編を長編の前に上映するということを伝統と考え守っていきたいという気持ちが強いわけです。ジョンが作っていた短編も台詞がありませんでしたし、往々に我々は面白いジョークとか台詞にたよりがちなのですが、ちょっと時間をかけて考えれば台詞が無くとも充分に人々が楽しめる作品を目指して作っています。今回皆さんに気に行っていただければ嬉しいですし、とても誇りに思います。

執筆者

宮田晴夫

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