2002年も映画界をリードするのは韓国か!?相変わらず人気者のコリアンムービーから、今度は愛の痛みを描いた傑作が登場。ヨ・ドギュン監督の「寵愛」はセックスシーンを現代舞踊家が指導し、肉体の愛を極限まで表現した話題作である。「あんなにベッドシーンが多いとは思わなかった」とは長身痩躯にシャイな笑顔が微笑ましいオ・ジホの談。映画初出演にして、大役を手にした彼はイ・ジョンジェらに続くスターとして韓国でも注目株である。2泊3日のスケジュールで来日したオ・ジホに撮影裏話を尋ねてみた。(写真撮影:中野昭次)

※「寵愛」は3月中旬、シネ・ラ・セットにてロードショー!!




——セックスシーンに振付師がついたとか。実際はどのような段取りだったんですか。
オ・ジホ ああいう取り組みは韓国映画史上でも初めてだったそうなんですよ。リハーサルは1ヶ月くらい掛けたんですけど、その間は毎日、振付け師の方に指導を受けました。指の動き、足の動き、そこに溢れる愛や痛みをちょっとした動きで表現しなければならなかったので、随分、具体的に教えてもらいましたよ。

——普段の生活にも役立った?
オ・ジホ 彼女ができた時に使えればいいなって(笑)。でも、実際は日常では中々使えないかもですね。美しい女性を見た時に、花の蕾を愛でるようにオーバーな表現ができればいいんですけど、なかなか出来ませんね。

——これが映画初主演ですよね。プレッシャーはなかったんですか。
オ・ジホ 確かに難しい役だとは思いましたね。あれほどベッドシーンが多いとは思わなかったですし(笑)。でも、誰にも相談しなかったですね。出ようって一人で決めました。映画が完成して、その選択は正しかったなと思ってますよ。

——撮影はほぼ順撮りだったとかで…。
オ・ジホ 最初に読んだものからシナリオも変わりませんでした。ただ、詳しい描写はなかったんですよ。ベッドシーンもただ“男女、ここで愛し合う”とかって書かれていただけで…(笑)。


——好きな女性に振りまわされる寡黙な作家。ご自身と共通点はありますか。
オ・ジホ この人物はですね、ヨ・ギュンドン監督に似ているところがあるんですよ。だから、監督との対話を通して密かに分析したりしましたね。実年齢は30代後半と僕より一回りも上で、監督にいわせるとその位の男性は抑えた愛を知っているんだって(笑)。僕とは…うーん、最初は気持ちを理解するのは簡単なことじゃ、なかったですね。

——似たような恋愛体験は?
オ・ジホ 高校2年の時、もう、好きで好きで仕方のない女性がいましたね(笑)。ものすごく執着してました(笑)。

——その彼女とは?
オ・ジホ 98年に別れました(笑)。

——そうですか(笑)。下世話ついでにお聞きしますけど、相手役のイ・ジヒョンさんですね、あんなキレイな人と密着したシーンを演じてると、なんだか恋に落ちてしまいそうな…。
オ・ジホ ……(笑)。そうですね、オーディションで初めて彼女を見た時、肌が白くて、背が高くて、あれほど可愛い女性に会った事はないと思いました。まぁ、演技といえどそうですね…。正直なところ、撮影の中盤くらいにはそういう感情も芽生えてしまいました(笑)。
 でも、撮影が終わるとうーん、やっぱり演技だったんだなって。もともと僕は背の高い女性は好みじゃないんですよ(笑)。


——室内でのシーンが多いですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
オ・ジホ 劇中に出てくる主人公の部屋なんですけど、実はとても広かったんですよ。30人、40人が軽く入れてしまうような、ね。ただ、気分転換するような余裕はなかったんです。海辺のシーンの前に2日間、休みが取れただけで後はずっと撮影してました。その休みも僕はといえば家で爆睡してましたよ(笑)。
   
——さて、「寵愛」後のご活躍は?
オ・ジホ この6ヶ月間ほど活動を休止していたんですよ。これから、幾つかTVドラマのシナリオを読み込んで行くというところ。

——日本のTVドラマに出演、なんてことは?
オ・ジホ (マネージャーに向かい、“どうですか?いいのかな”と聞き)、ええ、チャンスがあれば、是非、出たいです。

執筆者

寺島まりこ

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