アクション俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダムが一人二役に挑んだSFアクション『レプリカント』が、いよいよ2月よりロードショー公開となる。実は彼は、これまでにも一人二役を二度経験しており、「ヴァン・ダムの二役なんて珍しくないよ!」なんて声も聞こえてきそうだが、今回の二役は一味違う。双子の兄弟とかのありがちなものではなくて、なんとクローン人間なのだ。しかも、片や女性を無残に殺害し、行く手の邪魔だと思えば老人だろうが病人だろうが容赦なくぶちのめす残忍無比なサイコキラー、もう一方はその細胞から作られたばかりの、純粋無垢な存在ということで、まさに正邪対極の二人のヴァン・ダムが死闘を演じてくれるのだ。
 去る1月22日、本作のキャンペーンとして主演のジャン=クロード・ヴァン・ダムさんが9年ぶり、6度目の来日をはたし、ホテル・オークラにて記者会見が行われた。また質疑の後には集まった報道陣の前で、切れのいい後ろ回し蹴りを披露、そのスピードと決めのポーズは、現役トップのアクション俳優らしい切れ味があり、場内を唸らせた。

$darkred ☆『レプリカント』は、2002年2月23日よりシネマメディアージュ他にて 全国ロードショー公開!$










Q.今回初めての悪役を演じた感想を教えてください。
——前に悪役をやったこともあるけど、本当に悪い役となると初めてだ。心理的に攻撃的な役でね。

Q.アクション・スターとしての地位に満足をされていますか。それとも、他のジャンルにも挑戦されたいと思いますか?
——アクション俳優としての自分の立場には満足していてて、他のジャンルというのはあまり考えてない。これから少し時間をかけて、他のジャンルに出演することも考えていきたいが、今の所はアクション映画に出ることを楽しんでいるところだ。

Q.今回は、一人二役という難しい役柄ですが、演じてみての感想は?
——優秀な監督がついていてくれ助けてくれたおかげで、善悪という極端な描写を演じるための集中力を維持することが出来、凄く難しかったという気はしない。むしろ、役者として大きなチャレンジだったと思う。監督のおかげで、それぞれの役の内面的な分析をして、キャラクターを広げていくことができたので、俳優としていい経験だったよ。

Q.作品の見所と、製作中のエピソードなどがありましたらお願いします。
——キャラクターが成長していくプロセスが見所だろう。ギャロットは、子供の頃に母親に苛められて心に傷を負った過去があり、そのことの復讐心から悪事を重ねていく。一方、レプリカントの方は、子供のような無垢な存在で、そんな彼が大きなコンピューターのように、感情など様々なものを毎日吸収して行く。ゆっくりだが、そんな風に成長する両者が見所だ。セットでは、毎日二役を演じるためにひっきりなしにトレーラーに入っては衣装を代えなくてはならなかった。周囲からは、まるでヴァン・ダムが二人いるみたいだってね。自分にとっては、レプリカントを演じる方が楽だったのだが、悪い役を演じてる時には、レプリカントがバカに見えてしまったりで、兄弟にごめんと謝るような気持ちだったよ。スタッフからは、双子がいるのかいとか言われたりして。

Q.最近、ハリウッドのアクション映画はCG全盛で、俳優はスタジオのブルースクリーンの前で演じなければならないことが多いと思いますが、そういうCGに頼りがちな傾向をどう思いますか?
——基本的にCGはいいと思う。コマ割で爆発シーンなども入れ込めるし、そういう意味でも経済的だ。そういう意味では未来的な映画の作り方だと思うし、ショー・ビジネスに革新的なものを与えてくれるものであると思う。










Q.もし、実際に自分のクローンがいたらどうしますか。また、10年以上もアクション・スターのトップにいらっしゃいますが、その秘訣はなんでしょうか。
——私のクローンがいたら、代わりに仕事をしてもらって、家族と過ごすようにするよ(笑)。真面目に答えれば、クローンを作るなら完璧なものを作ってもらいたい。そして完璧なクローンに、現在の人々が出来ない地球の未来を救うということの解決の糸口を見つけて貰いたい。二つ目の質問だが、トップのアクションスターと言われましたが、私がトップであるかどうか自分ではわからない。そうあろうとは思っているが。そのために、今は未だ41歳だが、若くして身体を鍛え始めたということがあると思う。兎に角トレーニングを積み重ね、完璧を目指していますし、体を休めることもあるが、常に肉体的にいい状態でいる努力を重ねるということだと思いますよ。

Q.ヴァン・ダムさんは、香港から監督に進出された監督と都合3人5作品で組まれてますが、3人とも進出第1作でヴァン・ダムさんと組まれていますが、これはいかなる理由によるものなのでしょうか?
——私は常に、アクション映画で新しいものを作りたいと探していた。特に香港のアクション映画を見た場合、非常によく出来ている、それも限られた予算の中でできていることに目をつけていた。ですから、特別な何かを作りたいという願いと、製作会社の効率よく予算を使いたいという観点から、香港のジョン・ウー監督に目をつけ、私自身が香港に飛び『ハード・ターゲット』という映画を作ろうと企画を持っていったのだが、その時からきっと上手くいくといくと思っていたよ。そういう意味では、香港の監督さんの力を強く信じているし、また何か新しいものを与えてくれる新しい才能、監督がいないかと世界中に目を光らせていることは良いことだと思っている。

Q.今作でも素晴らしい肉体美を披露されてますが、普段トレーニングや食生活などで気を使われている点を教えてください。
——今は撮影の合間なのであまりトレーニングはしてないけれど、通常撮影の2・3ヶ月前から準備をはじめる。特に栄養には気をつけ、野菜中心で繊維や炭水化物を取るようにして、バターや油分は取らないようにする。週二回くらい魚は食べるが、肉は全く食べず野菜中心の食事だ。トレーニングは毎日、2・3時間位やる。心肺機能を高めるバイクから初めて、それからストレッチで柔軟を行い、ウェイトリフティングは重いものではなく筋肉の早い動きができるように鍛えた後、最後にスパーリングでトレーニングを終えます。

執筆者

宮田晴夫

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