高橋巌監督、東儀秀樹主演&音楽プロデュースの映画『インフィニティ∞波の上の甲虫』。その先行プレミアムレイトショーが、11月24日(土)に新宿シネマ・カリテで行われた。

今回は、この映画が初監督作品になる高橋巌監督と、主演の東儀秀樹を招いた舞台挨拶の質疑応答の模様を、Q&A形式で紹介する。




■舞台挨拶 コメント
−−今の気持ちを聞かせてください。
高橋巌(監督)
皆さんに僕の撮った作品を見ていただくことが今まであまりなかったので、ドキドキしています。どういう反応が返ってくるのかとても楽しみな反面、不安もありますね。ぜひゆっくりとした気持ちで、作品を見ていただきたいと思います。

−−東儀秀樹さんを主役に選んだ理由は?
高橋
この物語の主人公「高橋」が持っているキャラクターのビジュアル的なところを、高橋さんの中に見出したんです。そこで、ぜひやっていただきたくて話を持ちかけました。

−−音楽も、東儀秀樹さんがプロデュースされていますね。
高橋
そうですね。プロデュースもそうですし、作曲と演奏、録音までやっていただきました。とてもすばらしい音楽で、この映画のために作られたものとしてはベストなものだと思います。

−−撮影時のエピソードは?
高橋
(撮影場所のボラカイ島は)なかなか簡単には行けないところです。飛行機で近隣の島に行ってさらにフィリピンの国内線に乗り換えて、それで船に乗るという。とても行きにくい場所なんですけど、そこの風景があまりにも美しくて、(映画を)撮るのをやめようかと思ったくらいです(笑)、もったいなくて。

東儀秀樹(高橋 役)
行くのが大変な分、美しさがそのまま残っていました。夜になると、浜辺で夜光虫が煙のように光って消えたりとか、裏山には螢の大群が浮遊していたりとか…今の日本では絶対体験できないような「空気」を十分に楽しむことができました。


−−初めて演技に挑戦された感想は?
東儀秀樹(高橋 役)
昔から演技をしてみたいと思っていましたし、演技をする「未知数な自分」を感じてみたいということがあり、映画にでることは、すごい大事なことでした。しかも主演でそれができるということは、とてもいい場を与えてもらえたなと思います。

やってみて、「もっと上手く演じてみたい」という向上心が沸いてきて、すごくいい経験だったと思いますし、これをきっかけに、また映画の「いちパーツ」として何か仕事ができれば、楽しいだろうと思いますね。

−−演技以外に感じたことはありますか?
東儀
とにかくカメラワークや監督の指示、大道具・小道具の成り立ち方…とにかく、作る側を見るのは、どれを取っても興味深かったです。僕は、音楽が本業で、ほかにも絵も描きますし写真を撮るのも好きですけど、今回「役者」をやってみて、その好きなものを全部自分でコントロールすると、もしかしたら「監督業」がものすごい遠い将来の「夢」になるんじゃないかと思えるくらい、新鮮な体験でした。

−−音楽はどういうイメージで作られましたか?
東儀
音楽は、最初、依頼されていなかったんです。美しいボラカイ島で、けだるい太陽の熱、幻想的な風景を感じながら、漠然と役だけに打込んでいました。主人公の「高橋」が住んでいるというコテージと、「東儀秀樹」が住んでいるものが同じだったので、いろいろとリンクして考えることができ、自分が高橋なのか、東儀秀樹なのかわからなくなる…わからなくして自分で楽しんでいた部分もありましたが、そんな中で空気を感じながら「自分だったら、こういう音楽を作る」と、遊びとして空想していました。

そんな風に、音楽のアイデアが湧いていたので、ロケの途中で音楽の依頼をされたときは二つ返事でOKをしました。音楽の部分で本領を発揮できてうれしかったです。

−−ロケ地には、何か楽器を持っていったのですか?
東儀
ギターを持っていきました(笑)。海外に行くときはいつも篳篥(ひちりき)を持っていって、現地の人とコミュニケーションを取るのに役立てているんですけど、今回はあまり篳篥の出番はなくて、ギターを夜な夜な弾いて遊んでリラックスしていました。

もう一人の「タカハシ」…「高橋」が書く小説の主人公を原田喧太くんが演じていて、彼もギターを持ってきていて、一緒に浜辺でギターのセッションをして遊ぶことができたのは、とてもいい「ゆとり」を僕に与えてくれました。




−−今後のご予定などお聞かせください
高橋
東京写真美術館で、12月22日にまた東儀さんとクリスマスイベントの形で何かやる予定になっています。ぜひお越しください。

東儀
この映画とは少し離れますが、ピアノやシンセサイザーと篳篥をコラボレートした音楽から発展して、弦楽四重奏のオーケストラと一緒に音楽活動をすることにも力を入れています。12月にパリで弦楽四重奏と演奏公演を行う予定があります。

−−最後に、この映画の見どころを教えてください
東儀
信じられないほど美しい景色のところで、優れたスタッフが最新のカメラを使って撮った映画です。監督は、僕が観察するに、少年のような純粋さを持った方だと思います。その純粋なまなざしで、カメラを通して美しい景色を捉えたんだと思います。

そして、お話の不思議さ…もしかしたら難解さかもしれませんが、その不思議さの中に想像力をたくましくして足を踏み入れてみると、「夢の世界」に入っていけると思います。難解な作品ですが、ひとたび解るといろいろなことが見えてくると思います。

そして神経質なキャラクターの「高橋」が最後に、やっと微笑むところがあり、それは、僕自身が取り終えてホッとした気持ちとだぶったところがあります。映画を見て、安らかな気持ちになっていただけたらうれしいですね。

高橋
2時間弱のこの映画で、南の島へみなさんをお連れできればいいなと思います。映画を見て「もっと見たい」と思われた方がいらっしゃいましたら、12月1日から、劇場とインターネットの「wowow.com」で発売される、『ボラカイ島への招待』というこのDVDパンフレットを見てください。

東儀
『ボラカイ島への招待』DVDの中に、僕がボラカイ島で音楽の構想を練ったときの譜面が、ブックレットとして入っています。監督に現地で持っていかれて、気がついたらこういう形になっていました(笑)。五線紙の譜面を一般の方に見せることはめったにないので、ぜひご覧になってください。

なお、この映画『インフィニティ∞波の上の甲虫』は、12月1日(土)より、東京都写真美術館、新宿シネマ・カリテ、川崎チネチッタで公開。この日、東京都写真美術館では、監督、出演者をゲストに招いた初日舞台挨拶も行われる。

執筆者

TAISUKE SAITOU

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