97年の『鬼畜大宴会』で衝撃的なデビューを飾った熊切和嘉監督の新作、『空の穴』が9月29日に初日を迎えた。北海道の大地を舞台に、前作とはうってかわって、男女の恋愛をリリカル描いた本作は、第30回ロッテルダム国際映画祭で国際批評家連盟賞スペシャルメンションを受賞するなど、内外の映画祭でも注目を集めている。
初日の初回及び第2回上映前に、渋谷・ユーロスペースでは熊切監督をはじめ寺島進さん、菊地百合子さんら出演者の方々、音楽を担当した松本章さんら総勢7名のゲストが来場し舞台挨拶が行われ、また二度目の舞台挨拶終了後にはサイン回も開催され、ゲストと映画ファンとの交流が行われた。ゲストの方々は全員、映画の絵柄のTシャツを着用(劇場で一般にも発売されている)で登場し、チーム・ワークのよさが伺われる。ここでは、朝早くからの上映であったにも関わらず、定員の150%増しの観客が入場し、劇場通路も立ち見の観客で埋め尽くされ、若い映画ファンの熱気溢れる中で開催された舞台挨拶でのコメントを紹介しよう。










熊切和嘉監督——皆さん、今日は本当にどうもありがとうございます。僕は高校の時から自主製作で映画を撮っていまして、今回初めてプロの役者さん、プロのスタッフと前作『鬼畜大宴会』のスタッフとの混成チームで映画を撮ったのですが、とても楽しく映画を撮ることができました。緊張してます(笑)。楽しんで観てください。宜しくお願いします。

寺島進さん(市夫役)——この名作に関わって、自分は二つ癖が出来ました。朝天気予報を見る癖と、同じく朝星座占いを見る癖で、今朝星座占いを見た時に最悪の12位が映画の中の僕が演じる市夫君の乙女座で11位が自分自身の蠍座と、ワースト1・2になってしまい参ったな…と思ったんですが、天気予報で今日は秋晴れのいい日だということで、そんな中初日を迎えて嬉しいです。こんなに、多くの方々に来ていただけてワーストも吹っ飛びました。恋愛をモチーフにした映画ですが、見終わってから青空のようにオープンに恋愛事でも何でもディスカッションして、いい酒でも呑んでくれたら嬉しいです。

菊地百合子さん(妙子役)——去年撮った作品で、私には生涯忘れられない作品になりました。監督によって、すごくいい人、スタッフと出会い色々と勉強になりました。とてもいい映画で、二度三度来ていただける映画だと思っています。

外波山文明さん(旭役)——普段は舞台の方が中心で、映画はたまに変な役で出たりしてますが、今回はいい映画です。市夫の親父をやってまして、女房に逃げられ競馬に現を抜かし朝から酒を飲んでいるどうしようもない親父なんですが、空に憧れちょっとロマンチックなところがあるという男で、そんな男二人暮しのところに(妙子)が飛びこんでくる話しですが、そんな男同士の空気感が出せればと思って演じました。特別大きなドラマが起きる映画じゃありませんが、爽やかな感じが残ればいいと思ってます。

権藤俊輔さん(山崎役)——本当にいい映画に出演させていただきまして、撮影は本当に楽しくて話せばいろいろ尽きないんですけど、兎に角この映画の世界にドップリつかって、何度も足を運んでください。

澤田俊輔さん(登役)——スタッフの方々の後押しで、素晴らしい役者の方々とこの壇上に上がれることをすごく嬉しく思っています。今日はありがとうございました。

松本章さん(音楽担当・赤犬のリーダー)——前作とは違いとても繊細な…あまり僕は日常では繊細じゃないんですけど、僕も市夫と同じ乙女座でロマンチックなので、一夏の思い出とか色々思い出してください。とてもいい恋愛映画です。

なお、『空の穴』は渋谷・ユーロスペースにて絶賛ロードショー公開中。また、10月28日の大分、11月10日の名古屋、12月7日の関西、12月23日の仙台の各“ぴあフィルムフェスティバル”にて、熊切監督がゲスト参加しての上映が予定されているのをはじめ、各地のイベント・映画祭で上映予定。また、東京以外の地域の一般劇場でも、大阪、名古屋、札幌ほか全国各地にて、順次公開予定だ。

執筆者

宮田晴夫

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