渋谷の秋の風物詩として、内外の映画ファンをはじめ幅広い人々に親しまれている東京国際映画祭も、いよいよ今年で14回。9月25日に新橋第一ホテルにて今年度の概要に関しての記者会見が、東京国際映画祭ゼネラル・プロデューサー川内通康氏、同じく事務局長の堀江利之氏の出席で開催され、今後の映画祭運営に向けての抱負や今年もヴァラエティに富んだ様々な企画の内容が発表された。
 今年の4月にゼネラル・プロデューサーに就任した川内氏は、「パリ国際映連による分類で、長編映画の上映とコンペティション部門に対応したAカテゴリーの11映画祭の一つに認知されるまでに成長してきた東京国際映画祭だが、15回を迎える来年から10年をかけ革新運動を続け、2012年には世界で最も注目を集める映画祭であるようにしたい」と、映画祭のさらなる発展に向けての抱負を力強く語った。
 なお懸念される、米国で発生した同発テロの影響だが、上映作品の大半は日本に到着済みで字幕等の作業中とのことで、上映が出来なくなる可能性はまず無さそう。発表された来日ゲスト等に関しても、不測の事態が起こらない限りは変更はないとのことだ。









第14回東京国際映画祭
開催期間:平成13年10月27日(土)〜11月4日
開催場所:東京渋谷地区

●コンペティション部門…長編映画3本目までの監督作品を対象に、世界の若い才能を発掘することを目的としたコンペティションで14作品が上映される。なお日本映画は応募11作品の中から2作品がエントリーされ、いずれも「海外に向けても自信を持って薦められる作品」(川内氏)とのことで、その結果が期待される。上映後に行われる監督・出演者などによるティーチ・インも楽しみだ。
<エントリー作品>
『ワンダー・ボーイ』2001年 英語 監督:ステファニー・サイコルト
『春の日は過ぎゆく』2001年 韓国語 監督:ホ・ジノ
『ゴール・クラブ』2001年 タイ語 監督:ライウシリゴン・ギッティーゴーン
『週末の出来事』2001年 中国語 監督:チャン・ミン
『アナム』2001年 ドイツ語、トルコ語 監督:ブケット・アラクシュ
『化粧師—KEWAISHI』 2001年 日本語 監督:田中光敏
『ヒューマンネイチュア』 2000年 英語 監督:ミシェル・ゴンドリ
『月の光の下に』 2001年 ペルシャ語 監督:レザ・ミル=キャリミ
『スローガン』 2001年 アルバニア語 監督:ジェルジ・ジュヴァニ
『殺し屋の掟』 2001年 英語 監督:ポール・サロッシー
『羊のうた』 2001年 日本語 監督:花堂純次
『反抗』 2000年 ドイツ語 監督:ジモン・エピー
『オー』 2001年 英語 監督:ティム・ブレイク・ネルソン
『The Chimp(原題)』 キルギス語 監督:アクタン・アヴディカリコフ
 会場:オーチャード・ホール、渋谷ジョイシネマ

●特別招待作品…オープニングの『シュレック』からクロージングの『アトランティス/失われた王国』まで内外の話題の新作17本を上映
 会場:オーチャード・ホール、シアターコクーン

●シネマプリズム…アジア地域の秀作15本をピック・アップして紹介。なお、今年はレトロスペクティブ企画として、押井守監督の劇場用アニメ・実写作品から未公開短編まで12作品の特別上映も併せて開催される。
 会場:渋東シネタワー3、シアターコクーン、ル・シネマ1、2








●ニッポン・シネマ・クラシック…“すみれよ永遠に〜スクリーンに咲いたタカラジェンヌたち”と題し、宝塚歌劇団で名を馳せ、後に銀幕で多くの人々を魅了した女優達の作品7本を上映。当日は、八千草薫さんらゲストの登場も予定されている。
 会場:シアターコクーン、ルシネマ1

●ニッポン・シネマ・ナウ…ワールドプレミア3作品を含む、8本の新しい日本映画を紹介する。
 会場:渋谷ジョイシネマ、ル・シネマ1,2

●特別上映…第14回東京国際映画祭コンペティション部門の国際審査委員長として来日されるノーマン・ジェイソン監督の業績をたたえ、75年に監督したSF映画『ローラーボール』が、また第1回東京国際映画祭で“ヤングシネマ85”大賞を受賞、惜しくも今年の9月9日に急逝した相米慎二監督の追悼として83年監督作品『魚影の群れ』が、それぞれ特別上映される。
 会場:渋東シネタワー3

この他にも自主企画として「企画マーケット」、「パネル・ディスカッション…“日本映画をどうする?”を統一テーマに、“興行の現場から見た日本映画”“韓国の映画産業振興製作”“ヨーロッパの映画製作者養成プログラム”のテーマで開催予定」「国際映像シンポジウム」などが開催される予定だ。また、映画祭協賛企画としても

●東京国際ファンタスティック映画祭2001 32本 会場:渋谷パンティオン
●東京国際女性映画祭 15本 会場:東京ウィメンズ・プラザ
●ウォルト・ディズニー生誕100年記念 ディズニー映画祭 10本
         会場:シアターコクーン、東京アイマックス・シアター
●コリアン・シネマ・ウィーク…駐日韓国大使館韓国文化院と韓国映画振興委員会の主催で、日本で配給の決まっていない韓国映画の最新作6本が上映される
 会場:東京国際フォーラム映像ホール

などが開催される。協賛企画への参加作品を含めると、第14回東京国際映画祭の参加作品は、世界24の国・地域から140作品になる。なお、作品やスケジュールの詳細等に関しては下記でリンクしている公式サイトを参照されたい。映画祭の前売券は、一部協賛企画を除き10月6日から発売される予定だ。

執筆者

宮田晴夫

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