昨年の『東京ゴミ女』『不貞の季節』など、意欲的な邦画を連発する廣木隆一監督の最新作、『美脚迷路』が公開された。刑事の加藤は幼なじみの竹内、七緒子との10年ぶりの再会をきっかけに、“フェティッシュ”と彼らのトラウマが織り成す、男と女と青春の影が交錯する世界へと入っていく様を描いたミステリアスな作品だ。
 初日を迎えた8月25日の夜、新宿ジョイシネマには廣木隆一監督をはじめ、迫英雄さん、ひふみかおりさん、渡辺真起子さん、LUCKY LEGSのMEGUMIさん・SATSUKIさんそして野村祐人さんらが来場して舞台挨拶が行われた。







 舞台挨拶の進行役は、映画評論家の塩田時敏さん。最近は俳優として顔を見せることが多い塩田さん、これまでも廣木隆一監督作品に度々出演されてきたが、『美脚迷路』にも舞台となる秘密クラブ“MAZE”のフェチな脚もとへ客役で出演もしているのだ。そんな塩田さんの紹介で、ゲストの方々が舞台に登場した。
 「足に限らず色々な所のフェチです(笑)」という廣木監督、本作のフェチ?な見所は「今日のゲストではメンバーの内二人だけですが、LUCKY LEGSという足の綺麗な女性がいっぱいでてきます。それと、迫さんと大浦君、真起子さんの関係性のほろ苦いちょっと青春終わったかなって感じ、そしてひふみさんの歌と色々盛り沢山なので、観ていただけると嬉しい」と、挨拶。多面的な楽しみが出来る作品に仕上がったようだ。
 「作品として、本当に綺麗でカッコイイ作品になってると思います。二度・三度……と繰り返し楽しめますので、次に来る時には今日一緒に来た人以外の人をお誘い合わせの上で宜しくお願いします(笑)」とは刑事の加藤役を演じた迫英雄さん。本作が初の主演作となる。舞台挨拶では早くも、多くの花束が渡されたが、御本人は脛がのぞく短めのジーンズラフな姿で、「美脚をを強調してみました。でも映画の中には出てきませんから」と客席を笑わせる。「監督から僕は何も言わないからと言われてたのですが、本当に何も言ってくれずに「はい、もう1回行こう」って。一生懸命頑張って、無事に終わりよかったと思います」と廣木演出をふりかえった。
 歌手志望のじゅん役は、ひふみかおりさん。本職は歌手ということで、本編中で御本人の持ち歌“SWEET DAYS”を披露している。「私にはお得な役でした、CD買ってね」と笑顔で話したひふみさん、実年齢よりちょっとお若い設定だが、美脚にボンテージ姿も披露している。「役の設定が19と言うことで、喜んでやらせていただきました。19に見えればいいなと思っています」。なおひふみさんは、来年公開予定の廣木監督の次回作『理髪店主のかなしみ』にも再び出演、そちらでもボンテージ姿を披露しているそうだ。





 物語のキーとなる七緒子をミステリアスな存在感で演じたのは渡辺真紀子さん。同日公開となった行定勲監督の『贅沢な骨』にも出演している。「何だか年甲斐もなくボンテージなんか着てしまったのですが、廣木組だからサービスでもしてみようかな…と(笑)。話しはちょっと複雑ですが、盛り沢山ですのでお楽しみください」と挨拶した渡辺さん、ボンテージ・ファッションに関しては、廣木組以外だったら「着ない、着ない」と即答。廣木監督への信頼が感じられた。
 “美脚”が重要な要素になる本作中で、美脚を披露している女性ユニットがLUCKY LEGSだ。その美脚には、なんと一人当たり1億円の保険がかけられているという、究極の美脚揃い。この日の舞台挨拶では、メンバー中二人が舞台に立ち「女の子がいっぱい出てきますから判りづらいかもしれないですが、是非観つけてください」(MEGUMIさん)、「キック・ボクサー役で撮影の1ヶ月前から指導を受けましたが、あんな痛い思いをしたのは生まれて初めてです」(SATUKIさん)と挨拶。8月22日にCDデビューをしたばかりということだが、早くも熱狂的なファンにより声援が送られていた。
 狂言回してきな役割をおうエリート刑事伏木で出演した野村祐人さんは、『800 TWO LAPRUNNERS』以来8年ぶりの廣木組出演だ。「8年ぶりですが、相変わらずの廣木さんでよかった。迫さんも言ってましたが、僕が『800 TWO LAPRUNNERS』の時はもっと苦労しましたからね(笑)。今回は、すごく楽しんでできたしいいんじゃないんですかね」と、さながら故郷に戻ったかのような居心地のよさを感じさせる挨拶であった。

 なお、『美脚迷路』は新宿ジョイシネマにて、日曜日を除く連日21時より1回、レイト・ロードショー中だ。また、9月1日の上映前には廣木監督をはじめ出演者が出席し、よりフェティッシュなトーク・ショーも開催予定とのこと。そちらも、お楽しみに。

執筆者

宮田晴夫

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