フルCG作品自体は既に珍しくない昨今だが、初めて全編をフォトリアリスティックで精緻な3DCGで描いた壮大なアドベンチャー・ファンタジー『ファイナルファンタジー』がついに完成した。本作は、世界的にも熱狂的なファンを持つゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズを、ゲームシリーズを手掛けた坂口博信監督自身が監督し、東京・ホノルル・ハリウッドという太平洋を挟んだトライアングルを結び、22ヶ国からなる160人のスタッフが結集した次世代エンタテインメント。全米では、7月11日より公開され、日本人が製作・監督に携わったアメリカ映画中、歴代最大の公開規模、最高のオープニング成績を記録し、日本でもこの秋より全国拡大公開が予定されている。
 8月7日、本作の完成披露試写会が日劇東宝にて開催された。当日の会場は、多くの立ち見が出る盛況ぶりで、新たなる映像作品への期待の高さが感じられた。また上映に先立って、坂口博信監督が豚愛挨拶を行なった。






 先だって開催されたロカルノ映画祭でのオープニング上映に続いて舞台に立ったという坂口博信監督は、「ロカルノでは1万人くらいの映画ファンの前で緊張したんですが、今日は日本で知った顔も多くまた別の緊張をしています。」と挨拶、ロカルノ映画祭での上映時のエピソードなどを披露された。
 なんでもロカルノでは屋外で上映が行なわれるのだが、上映前後はもの凄い雷雨に見舞われあわや上映中しかとも思われたが、上映開始直前にピタッとやんで無事上映されたそうだ。「迷信くさいと思われるかも知れませんが、私は、母親を幼い頃に無くしまして、母親が自分のそばに来る時には必ず嵐になると信じているので、そういう意味では、初めて今回の映画を観に来てくれたのかと思いました」。作品に直接母親のことを描いたわけではないが、映画のラストでヒロイン、アキの横顔に一瞬浮かぶ希望の色、そこには自分の母親への思いもこめられていると語った坂口監督、『ファイナルファンタジー』は、最先端の映像を駆使した作品ではあるが、そうした“心”を描いた作品に仕上がったようだ。
 最後に坂口監督は「この映画には、300人から400人くらいのスタッフが関わっています。決して自分ひとりでは出来なかったですし、また逆に自分自身が思い描いた以上のことをスタッフが命がけで魂をこめてつくった作品です。1作目ですし、未熟な部分もあると思うが、そういった魂を込めた部分を感じていただけたらと思います」と語り、舞台挨拶を終えた。

 なお、『ファイナルファンタジー』は今秋、日本劇場ほか全国東宝洋画系劇場にて、拡大ロードショー公開される。

執筆者

宮田晴夫

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