71年の放映開始から30年を迎えた“仮面ライダー”シリーズ。現在シリーズの決定版として『仮面ライダーアギト』が好評放映中だが、この作品の劇場版『仮面ライダーアギト PROJECT G4』が東映創立50周年記念作品として、現在快調に撮影が進行中である。この作品の撮影現場が、7月27日にマスコミに披露された。
 この日の撮影は、さいたまスーパーアリーナのロビー部分で行われ、誘拐された真魚を探すために、翔一(賀集利樹)が警視庁を訪れ、G3ユニットのリーダー小沢(藤田瞳子)、氷川(要潤)らと警視総監に会う場面だ。そして、今回の劇場版で警視総監を演じているのは誰あろう、仮面ライダー1号として大人気を博した藤岡弘さんなのだ。そう、初代ライダーとアギトの共演というシリーズ・ファンには、堪えられないシーンが展開される。しかも、その台詞はそんな藤岡氏=1号ライダーから、新仮面ライダー・アギトたちへの世代の引継ぎとエールがこもった、実に感動的なものになっている。この一連の場面を、数カットに分けて、そのそれぞれの場面後とにリハーサルが何度も繰り返され、本番となる。空調の効いたロビーは、キャストやスタッフの熱気により少し汗ばむくらいだった。







 撮影の合間にマスコミ陣の取材に応じてくれた藤岡弘さんは、久々の仮面ライダーの現場に関し「30年ぶりだから本当にドキドキするね。若い新しいスターが育っていくのを見ていて、自分の初期の頃を思い出したよ。今回は総監役だが「今の俺にできないことを、君達がやってくれ」って台詞は、同じ仮面ライダーが引き継がれていく感じで嬉しいですよ」と感想を語った。
 藤岡さんが仮面ライダー1号を演じてから、これまで映像作品として15作品、20人の仮面ライダーが登場し、まさに世代を超えたヒーローとして人気を博し続けている。その理由に関し「子供たちが心の中に求めているものと、一致した何かがあったんだろうね」と藤岡さんは語る。現在社会の中枢を担っているであろう世代の大人から、握手を求められることも多いそうだ。「自分は若く夢中だったけれど同時に、スタッフの皆さんと真剣に取り組んだ作品です。一番辛く苦しくもあったけど、思い出は大きいね。」。
 さて、今回の賀集利樹さんが演じる仮面ライダーアギトこと津上翔一は、茶髪にロンゲの現代風ヒーロー。「素敵で爽やかな好青年で、とてもいいね。仮面ライダーにぴったりのフェイスと雰囲気で楽しみだよ。茶髪とか風俗的な部分は、その時代ごとに色々あるから。僕らもすごいGパンを履いていたしいいんじゃないのかな。重要なのは気持ちだよ。子供たちのことを思って、真剣にやって欲しい。」と、その上辺ではなく、精神的な部分でヒーローに取り組むことを強調した。
 最後に今回の作品に関し、「皆さんを失望させないように、若い人と頑張っているところを見てもらえれば嬉しいです。うん、まだまだ仮面ライダーも現役でやれるかな(笑)。次に話しがあったら、考えてみますよ。こういう時代だからこそ、子供たちに夢のある映像、明るいニュースで世の中を明るくしてもらいたい。愛と正義を描く仮面ライダーは、子供たちの影響に一番いい」と語った藤岡さん。実際現場での立ち振る舞いを見るにつけ、冗談ではなく藤岡さんのヒーロー復活も見てみたいと感じさせるものだったが、まずはメッセージにあるように、愛と正義に満ちた作品としての劇場版の完成を楽しみにしようではないか。

 なお、劇場版『仮面ライダーアギト PROJECT G4』は、東映創立50周年記念作品として9月22日より全国東映邦画慶劇場にてロードショー公開される。なお、スーパー戦隊シリーズ25周年記念作品である劇場版『百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』も同時上映となる。

執筆者

宮田晴夫

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