今月28日の公開を控え、前売り券の販売は2万4千枚以上と期待度が高まる「PLANET OF THE APES/猿の惑星」。17日にはティム・バートン監督御一行の世界初記者会見が帝国ホテルで行われた。会場には監督のほか、ティム・ロス、エステラ・ウォーケン、そしてケリー・ヒロユキ・タガワが猿の特殊メイクで登場。海外マスコミも殺到し、フィルム調達ぎりぎりでプレスの殆どが未見という状態なのに質問は絶えず。猿の惑星に行ったらどうする?の質問にティム・バートンは以下のチャーミングな返答を。「バナナ農園を作って大金持ちになるよ!」。







——「PLANET OF THE APES/猿の惑星」の話が来た時、率直に言ってどう思いましたか。
ティム・バートン 「May Be」って答えたよ。クラシック作品をリメイクしちゃいけないってのが僕の持論。「猿の惑星」はあの時代の空気にとても合った作品だったしね。けれど、猿と人間の立場が逆転するという設定は気になるものではあった。結局、「リメイクじゃなくて、あなたのオリジナルを作ればいい」と言われ、引き受けることにしたんだよ。
ティム・ロス 僕はね、作品がどうこうというより、なんといってもティム・バートンと仕事をしたかった。それがこの映画に参加した一番の理由だね。
エステラ・ウォーレン オーディションを受けてみないかと誘われた時、実は女優になって2週間しか経ってなかったのよ。現場に行くとマーク・ウォルバーグにヘレナ・ボナム=カーター、ティム・ロス、ティム・バートン監督と総々たるメンバーでしょ。私こんなすごいところで何をしてるのかしらって思ったわ(笑)。
ケリー・ヒロユキ・タガワ 「猿の惑星」が作られた68年、僕は高校を卒業したばかりだった。ロバート・ケネディが暗殺されたり、社会的に変革の波があったのもちょうど同じ頃。猿と人間の葛藤というテーマには惹かれてやまなかったんだ。

——ラストは何パターンも撮ったと聞きましたが。
ティム・バートン 僕もそれを何かで読んだよ(笑)。でも実際にはベーシックなパターンをひとつ撮っただけ。細部を変えてみたりはしたけどね。いっそのこと、ミュージカルパターンでも撮ってみるべきだったかな(笑)。

——猿を演じる役者はどういう基準で選びましたか。
ティム・バートン マスクをつけても邪悪な性質がにじみ出るような人(笑)。メイクに負けない演技が出来ることが絶対条件だったよ。例えばタガワさんからはゴリラに似た性質を感じた。重みがあって物静かな印象っていうのかな。

——ぶ厚いメイクを施して猿を演じるのってどんな気分でしたか。
ティム・ロス メイクはね、確かに大変だったよ(笑)。気分が悪くなることもあったし。でもね、今回の役ほど開放感を感じたことはなかった。自分の顔が見えないんだから(笑)。子供の頃にインディアンごっこをよくやったけど、ごっこ遊びの延長のような気分だったよ。
ケリー・ヒロユキ・タガワ 僕は東京で生まれ、南部アメリカで育ちました。人生において、常に仮面をつけてるような感じでね。だから、猿の仮面にもすんなり溶け込めたのかな。違うのはこの仮面がとても怖い顔してるってだけのこと(笑)。





——人間役のエステラさんは猿だらけの現場を見てどう思いました?
エステラ・ウォーレン 最初はびっくりしたけど、慣れてしまった後は素顔を見てびっくり(笑)。休憩中は猿が煙草を吸っていたり、なんだか妙だけど楽しかったわ。
本当のこと言うと——報復を恐れて今まで誰にも言わなかったんだけど(笑)——猿じゃなくて良かったなぁーって(笑)。でも、これだけの俳優さんたちが4時間もの猿メイクをし、それでも出たいと思うのはティム・バートン監督だからこそ。さすがだと思ったわ。
ティム・バートン そうは言うけど僕は現場がほんとに恐ろしかったよ。猿たちが僕を殺気だった目つきで見るんだよ。誰でも4時間のメイクに耐えなきゃならないってことになったら、監督を殺したくなるだろうよ(笑)。

——現実に猿の惑星に紛れ込んだらどうしますか?
ティム・ロス 僕はきっと食糧にされちゃうよ(笑)。
エステラ・ウォーレン 自分で言うのも変なんだけど、演じた役と同じようにするかしら。猿と平等であろうと私は闘う。こんなこと言うと強い女性と思われちゃうかしら(笑)。
ケリー・ヒロユキ・タガワ 場違いな感じは僕が常に感じてきたこと。だから結構適応しちゃんじゃないかな(笑)。
ティム・バートン 僕はそうだな、バナナ農園を作って大金持ちになるよ!!

執筆者

寺島まりこ