4月のカンヌでプロモーション映像が上映され、話題になったという2001年10月放映予定のTVアニメ『Hellsing』。その製作発表会が先頃恵比寿で行われた。当日は作品同様に妖しい雰囲気演出が披露された。なかなか趣きのある発表会であった。この作品は知る人ぞ知る、月刊ヤングキング・アワーズ連載中のコミックが原作。不死身の吸血鬼が銃器を扱って闘いを繰り広げる姿は、他では見られない異彩を放っており、大変魅了される。この作品のアニメーション製作は、『青の六号』などで知られ、その高いクオリティに定評のある、GONZO・デジメーション。どこまで原作世界が再現されるのか、今から期待に胸が高鳴る。








恵比寿の妖しい地下一階で行われた、TVアニメ『Hellsing』の製作発表会。少年画報社・月刊ヤングキング・アワーズにて大人気連載中の平野耕太原作コミックのアニメ化である。不死身の吸血鬼・アーカードが繰り広げる壮絶なバトル、ベタを多用した独特の画面構成などが読者を魅了し、多くのファンを今なお生み出している。また、TV放映に先駆け、先ごろ4月のカンヌでこの『Hellsing』のプロモーションが公開され、大変話題になったという。作品の世界観を再現したのか、制作発表会場もおどろおどろしい雰囲気に。スモークが焚かれ、暗いブルーの照明が場の空気を盛り上げていた。
まず壇上に上がったのが少年画報社・筆谷編集長、GONZOデジメーション・ホールディングの石川社長、パイオニアLDCの熊沢製作部長の3人。それぞれ今作品に掛ける熱意を語って頂いた。そんな中、集まった報道人から「作品の性質上、ヨーロッパでの展開などは難しいのでは?」と質問があり、GDHの石川社長が次のように答えていた。
石川「マンガではOKでも、アニメでは一部、政治的、宗教的な部分で引っ掛かる所はやはりあります。もちろんその点も気を付けていますので問題ないと思います。それにこの作品はゴールデンタイムに流すような映像ではないので、そういう意味では思う存分やってみたいと考えています。まぁ、映画で言えば『ドーベルマン』のような感じのものなので、マニアの方々には高く評価して頂けると思っております」
続いてカンヌでも流された、プロモーション映像の上映。ほとんど原作のマンガそのものといったもので、TVで放映できるのだろうか?と要らぬ心配までしてしまった。それほど迫力があり、美しい映像であった。放映時の期待が高まる。
続いて壇上に上がったに上がったのが、メーカープロデューサー上田耕行、製作プロデューサー村濱章司、蒲田保則監督、キャラクターデザインの村田俊治、撮影監督の武山篤、音楽の石井妥師、総監督の飯田馬之介の7人であった。
上田「今まであまり原作ものはやったことがなかったんですが、この作品は久々に面白いと感じたものです。つい最近決まったことですが、フジテレビさんのCXの深夜で枠が決定しました」
村濱「オカルト的テイストを持ちながら、どこか怪獣映画的な面白さがある作品だと思っております。がんばって素晴らしいものにしたいと思っています」








浦田監督「原作の面白さというのが、不死身の吸血鬼なのに銃器を持つという点が変わってるな、と感じました。現在、徹夜で作業してがんばっています。」
村田「今までに無い面白いものになりそうな気がしますので、楽しみにしていて貰いたいと思います」
武山「デジタル、デジタルと言われていますが、それをあまり全面に出さずにしていきたいと思います」
石井「アニメは世界的に通用すると言われていますが、音楽はまだ認められてないところもあるので、この作品を機にその辺をなんとかしてみたいと思います。『闘い』というか、『大いなる遊戯』みたいな感じが出せればいいんですが」
飯田「深夜とはいえ地上波での放映なので、それと原作との兼ね合いを、楽しく考えているところです。原作の持つ、『時代に対する気分』の感覚を上手く出せればと思います。あまりテーマを全面に出さずに」アーカード役の中田譲治
最後に壇上に上がったのが原作者の平野耕太、アーカード役の中田譲治、セラス役の折笠富美子の3人。
中田「この仕事を始める前に思っていたんです。誰にも言ってなかったんですが、吸血鬼役をやりたかったと。それでこのお話を聞かされ、喜んだんですが、あまりにぶっとんだ作品なので驚きました。カッコイイ、アーカードを演じられればと思います」
折笠「この世界観をどう伝えられればいいのか、不安ですけど、楽しみでもあります」
平野「ヤングキング・アワーズという雑誌がかなり自由度の高いところなので、好きにやらせてもらっています。ちょっとやり過ぎかもしれませんが。ずっとオタクで過ごしてきたので、アニメになること自体、信じられないことです。純粋に楽しみにしています」
2001年10月の放映に向けて、スタッフの皆さんがんばっているようです。アニメに興味のある人にも無い人にも、要注目の作品になることでしょう。全13話のホラーアクションアニメ。今から非常に楽しみです。

執筆者

永見 憲宏