シネセゾン渋谷にて行われた、『レクイエム・フォー・ドリーム』の高校生限定試写会。ゲストとして「失恋レストラン」などで知られる清水健太郎氏が壇上に上がった。自身の過去の経験などから、ドラッグ中毒の恐怖を語ってくれた。この映画は内容の過激さから、一時【R18】指定の指示も出た。しかし、逆にあまりの衝撃的なラストと映画自体が孕むメッセージが、ドラッグの誘惑に対して強力な抑止力になるという事で、レイティングが下がるという異例の事態となった。結果、高校生観賞可能の【R15】指定となったという。公開は2001年7月7日より、シネセゾン渋谷ほか全国順次公開。








高校生限定試写という事で会場には来たのは若い観客ばかり。そんな中、清水健太郎氏が壇上に上がった。拍手が起こり始めると、
清水「拍手されるほどのもんじゃないです。大馬鹿野郎ですから」と低姿勢に頭を下げた。
映画を観ての感想を問われ、以下のように答えた。

清水「自分が忘れていた部分が頭を過ぎって、辛かったです。観ながら悩みました。最後まで観ていいのか。観ていて辛いシーンは女の子の所です。あれに近い経験をしたので。ほとんどが胃を締め付けられる思いで観ていました。非常にインパクトの強い映画なので、気を引き締めて観てください」

映画は孤独や現実逃避から、TV、ダイエット、ドラッグ等に依存し中毒になってゆく人々を鮮烈に描いたもの。そのことから、清水氏は自身の過去の体験を会場の若い観客に伝える。

清水「ドラッグ興味ありますか?自分は過去三回それで逮捕されました(会場から笑い声)。最初はサイコーだと思いました。実際いいもんであり、だからみんな手を出してしまうんでしょう。でも次第に、それが無いと生きていけなくなります。朝起きるのもイヤになります。友達がどんどん遠ざかります。ずっとやってると、辛くなります」

ここで清水氏、歯をむき出して見せます。

清水「歯、きれいでしょ。ほとんど入れ歯です。体中なんだか変です。直っているはずなのに。ドラッグをやるきっかけって簡単なもんです。1.みんなやってるから。2.一回だけだから。3.誰も見てないから。重要な3つなので、記憶に留めておいてください」

最後に若い観客に向け、「この映画の怖さを楽しんでほしい」と言って壇上を下りた清水氏。
現在のドラッグ対策について以下のように語ってくれました。

清水「使用者を捕まえるだけでなく、その後の事をもっと本気で考えてほしい。やめようとしている人に手助けをする気持ちを、みんなに持って欲しい。大人でも大変なのに、若い人は抑えが効かないでしょう。そういう事をもっと理解して欲しいと思います」

『π』で有名になったダーレン・アロノフスキー監督の衝撃作。恐怖の薬物中毒体験ムービー。公開は2001年7月7日、シネゼゾン渋谷ほか、全国順次公開です。

執筆者

永見 憲宏

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