超高層ビル、二基のエレベーターが突然停止し、人々が閉じ込められたら…といっても所謂エレベーター極限パニックとは一味も二味も違うシュールでポップなアクション・ムービー!?『ショコキ!』が遂に完成した。この作品は、お笑い演劇集団として今や人気沸騰中のジョビジョバのリーダーであるマギーが初監督・脚本を担当、片方のエレベーターに乗りあわせた6人の普通の人たちを曲のある俳優陣が固め、もう片方はマギーをはじめジョビジョバのメンバー6人が本人として乗り合わせていたという人をくった設定の快作だ。
 この作品の完成を記念し、7月1日に文京シビックホール大ホールにて“VIPセレモニーLimited2000 世界で初の上映会”と銘うった完成披露試写イベントが開催された。4月17日に発売されたイベントの前売チケットは、なんと発売開始20分でソールド・アウトするなど、前評判からもう爆発的な人気!当日は作品上映の他、出演者によるトーク・ショーやジョビ・ジョバによるコントなど盛だくさんの内容で、会場には爆笑と拍手が絶えることなく沸きつづける熱狂の3時間となった。
 イベントの終演後、その興奮もさめやらぬゲストの方々が、マスコミに対して今回の作品について語ってくれた感想などをレポートしよう。








この作品で監督としてデビューしたマギーさんだが、本作は本来監督する予定だった方が病気で倒れてしまったという、偶然から初監督を担当することになった。中一の時に「将来なりたいものはお笑いタレントか映画監督」と書いた程の映画好きであるマギーさんは、「そんな自分の幸運に、驚いている間に撮り終えたような感じです」と撮影を振りかえる。また、このミョーでいかした作品のアイデアは、事前に温めていたというより脚本を書く過程で思いついた様々なことを、結んでいったら1本の作品になったのだそうだ。因みに、この作品の自己採点は「脚本で100点だろうと思い、撮影して100点だと感じ(笑)、編集してみて本当にこれは100点。そして今日、お客さんに観ていただいてやっぱり100点だとひじょうに満足しています(笑)」と嬉しそうに話しながら、「でも、撮ってみて初めて判った課題はいくつもあります」と、完成作に傲ことなくしっかりと自作を分析されている様子がうかがえた。
 少女マンガの“目がキラキラ”風?ヒロインを演じているのは純名里沙さん。台本を一読してこの作品には絶対に出たいと思ったそうだ。「マギーさんを筆頭に、出演者の皆さんからいいものを作るぞというパワーが溢れる楽しい現場でした」と現場に関して語る純名さん、監督のマギーさんに関しても「すごく私たちの立場にたってくれて、こう演りたいということはとりあえず演らせてくれて、一緒に役を作っていってくれました」と、全幅の信頼を寄せている。撮影中からいいものが出来ているという手応えを感じていたとは、ピザ配達人に扮した河相我聞さん。4年ぶりの劇場作品となる今作が自分にとって映画の代表作になったと語った。正体不明の若者役を演じた深水元基さんは、この作品が劇場用作品デビュー作。最初の映画が大ファンであるジョビジョバのマギーさん作品だったことの喜びを、ストレートに表明していて微笑ましい。
 疲れた中年男を演じたモト冬樹さんも、「何人かで一つのことをするのが好きなタイプなんで、一体感のある現場で楽しかった」と現場の雰囲気と監督を絶賛する。そう、途中でタイトルの『ショコキ!』の意味に関しての質問が監督に寄せられたのだが、その答えはクイズ・キャンペーンが行なわれるということなので、ここには書かない。ただ、モトさんがタイトルの意味だと思っていたことが、爆笑ものであったということだけは書いておこう。








 暗い男を演じているのは、様々な作品で強い存在感をみせている本田博太郎さん。「日本映画の中ではこれまでなかったタイプの作品で、単なる密室劇ではない。マギーさんにより新しい分野が開拓されたと思う」と、この映画の先鋭性を力強く語る。それ故に「次回作では、全くがらりと違う新境地を開拓して欲しい」と監督への期待も高い。なお、この作品のセットでの撮影は僅か12日間で行なわれたそうで、最終日は翌朝までの長丁場になるなどハードな部分もあったが、短い日数でもいかに充実した作品に仕上がっているか、そのあたりもしっかりと観て欲しいそうだ。
 その初監督の手腕に出演者の絶賛ばかりのマギー監督だが、ジョビジョバのメンバーたちはどう思ったのか?「皆さんが監督として素晴らしいといってくれて、嬉しい反面僕らには最低のリーダーなんですけど(笑)。映画を観ると、現場で罵声を浴びせられた辛い日々を思い出します(木下明水さん)、「皆さんが誉めすぎるのでけなすところを見つけたいのですが、見つからないのが残念です。次回作では失敗してください(笑)」(石倉力さん)、「面白いので是非観てください」(坂田聡さん)、「2000人近くに初めて観ていただいた反応で、ひじょうに気をよくしています。次の作品にも是非出してくださいと、強くプッシュします。あっ、言い忘れましたが、リーダーとしては最低です(笑)」(六角慎司さん)、「今日、舞台でリーダーに蹴られたお尻がヒリヒリしています。今日の会場を観て、きっと映画は大成功するのではないかと思いました。そうすれば、僕らもマギーにくっついて美味いものが食べられる日が…いつ来るのやら(笑)」(長谷川朝晴さん)と、それぞれから忌憚の無い内部告発(笑)…じゃなくて気心の知れた者どうしのボケと突っ込みに、マギー監督も思わず苦笑。会見の方も出演者そしてメンバーの一体感が感じられ、笑いの絶えない和やかなものだった。
 さて、最後にマギー監督の次回作の構想に関してをお伝えして、レポートを終えよう。マギーさんは締切ギリギリまで考えないタイプなのだそうだが、既に構想は沢山あるという。それをズバリ!

 「今度は何処に閉じ込めようかな?(爆笑)」

 なお、『ショコキ』は今秋より渋谷シネ・アミューズほか全国順次ロードショー公開予定だ。

執筆者

宮田晴夫

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