幼い頃から友人同士だった二人の女性、ナタリーとルイーズ。お互い舞台女優を目指しながら、それぞれの想い故に接近し離反していくことを繰り返す二人の女性のドラマ『リハーサル』は、98年のフランス映画祭で上映された『ヌーベル・イヴ』を監督したカトリーヌ・コルシニ監督の最新作だ。前作に続き濃密な女性ドラマが展開するこの作品で、それぞれの立場を交換しつつ愛憎のドラマを演じる二人のヒロインには、エマニュエル・ベアールとパスカル・ブシエールが扮している。今回の上映にあたっては、カトリーヌ・コルシニ監督とエマニュエル・ベアールさん、そしてプロデューサーのカトリーヌ・コルシニさんとマルク・シリガスさんがゲストとして舞台に立った。





この作品の原題は“LA REPETITION”。邦題のように舞台稽古を意味するが、もう一つ繰り返しという意味もあり、そこから何度も繰り返される二人の関係というこの映画のタイトルにしたとコルシニ監督は答える。女性の葛藤を描くことが多いコルシニ監督だが、今回の作品の出発点は心理学的な本に書かれていた精神的なハブのミス・マッチ、相手が自分のことを好きだと思うが、実はそうではなかったという苦い思いだ。これに、監督自身も寄宿学校で生活していた頃に見受けたという、男同士・女同士の一生涯の友人、永遠の友情を誓ったものは年を経てからどうなっているかを知りたかったという思いとが合わさって、今回の作品に繋がったそうだ。「私は自分が観察してみて判ったのは、友情と愛はそれほど違わないんじゃないかということです。全体的にみて、愛・友情・憎しみは、同じものだと思ったんです。でも、ベアールさんはそう思わなかったみたいだけど(笑)」。
 「私は寄宿学校で過ごしたことはないから」と苦笑するベアールさんは、様ざまな役柄を演じてきているが、今回の舞台女優ナタリー役には御本人と重なる部分があったのだろうか?「私は女優を演じていますが、それはナタリーそのものですから、そう思って観てください。似ている部分、似ていない部分は皆さんでご想像ください」とのこと。なお、ベアールさんが出演作品を引き受けるポイントは、「やはり人間的な出会いが第一歩です。監督とあって話をし、もう一度その人と会いたいと思えるかどうかです。それから、役柄ですね」と、監督のその魅力や能力による部分とのこと。次回作は「今は多くは言えないけれど、女優の次は女中役です(笑)」ということで、一種のミステリー的な作品になるようだ。(宮田晴夫)

執筆者

宮田晴夫

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