ガラス瓶工場の夜勤で一緒になったフレッドから、親しげな態度といじめという相反する仕打ちを受けるピエール。この複雑でありながら、誰でも思い当たるところのあるであろう人間関係を描いた作品『ナイトシフト』を監督したのは、前作『ジュリエットの年』が第3回フランス映画祭横浜95で上映されたフィリップ・ル・ゲイ。対立する二人のキャラクターは、ジェラルド・ラロッシュとマルク・バルベが好演している。上映会場には、監督と主演の二人がゲストとして登場。ティーチ・インは一人のご婦人の「映画祭には、初日から通っていますが、この作品が一番よかったです」という、ストレートな賛辞からスタートした。




本当に、感動しました。実際にピエールのように、いいお父さんっていらっしゃるのかしらってくらいです。

フィリップ・ル・ゲイ監督「私自身模範的な父親ですよ(笑)」

こういった映画に音楽をつけるのは、とても難しかったのではないかと思いますが、ところどころで流れる哀愁を帯びたバイオリンが美しかったです。音楽を担当されたヤン・ティエルセンという方のようですが

フィリップ・ル・ゲイ監督「はい、彼はブルターニュ出身で実力がある作曲家で、他の映画でもサントラを担当しています。この映画の中で音楽のある部分は10分くらいなんだけど、それが作品に暖かさを与えてくれていました。」

フレッドは人間的に非常に矛盾に観てていますが、人間というものも実際に矛盾に満ちていますよね。ただ、役として演じるに当たってマルクさんは、この役をどのように理解しましたか。

マルク・バルベさん「私はキャラクターを演じる時に、複雑に考える方ではないんだ。彼の善の面と悪の面は、一人の人間が同時に持つ全く別の人物だよね。この作品に関しては、多様な状況を書きこんだ脚本がよくできていたので、無理無く演じられたんだ。」

お二人は、実生活でもいじめたり、いじめられたりといったことはありましたか?

ジェラルド・ラロッシュさん「私は今回が最初で最後にしたいね。ピエールとは違うよ(笑)」
マルク・バルベさん「私達二人は、今回監督から執拗にいじめられたんだ(笑)。おかげで深い関係ができたよ。」

お二人は、それぞれが演じられた役の中に、ご自身と同じ部分を見つけられたのでしょうか

ジェラルド・ラロッシュさん「私はピエールよりフレッドに似ているけど、人は複雑なものです。ピエール、フレッドそれぞれの部分が混じっていると思いますよ。」
マルク・バルベさん「私も両面を持っています。映画の中の二人も、それぞれ似通ったところを持っているというのが、監督の語りたかった部分だと思うよ。」

監督がこの作品を撮るきっかけはなんだったのでしょうか

フィリップ・ル・ゲイ監督「直接のきっかけは、中高校生の5年間を過ごした寄宿舎での生活ですね。男同士80人くらいの生活は、工場とよくにていました。」
(宮田晴夫)

執筆者

宮田晴夫

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