クールに!淫靡に!そして血飛沫いっぱいに!クエンティン・タランティーノ&ロバート・ロドリゲスというハリウッドの若き寵児がガッチリとタッグを組んだバイオレンス・ホラーの快作『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の、2本の続編『フロム・ダスク・ティル・ドーン2』『フロム・ダスク・ティル・ドーン3』と、1作目のメイキング・フィルム『フル・ティルト・ブギ』が『フロム・ダスク・ティル・ドーン』サーガとして、銀座シネパトスにて28日よりロードショー公開が始まった。このシリーズの復活を祝して、公開前夜の27日にオールナイト・イベントが開催された。このイベントでは、この晩だけシリーズ1作目が特別上映され、サーガを一晩で一挙に楽しめたほか、上映前にシリーズを愛する豪華ゲストによるトーク・イベントも二本立てという充実ぶりで、ファンにはたまらない一夜となった。








オールナイト・イベントは、シリーズ全作の予告編を一挙に上映し気分を盛り上げてスタート。二本立てのトーク・イベントの最初のゲストは、『鮫肌男と桃尻娘』『PARTY7』などの怪演ぶりが印象深い我修院達也さんだ。まずは進行役の映画文筆家鷲巣義明さんが、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』シリーズの成立背景や内容に関して軽くおさらい。シリーズの特殊メイクに強い印象を持ったという我修院さんは、「タランティーノが使ってくれるんだったら、なんだってやりますよ。でも、本当はヴァンパイア役をやってみたいですね。」。そういえば、我修院さんの演じた『鮫肌〜』の山田君の笑い方って『魔人ドラキュラ』のレインフィールドの笑い方を多分に連想させるものだったけど、ご本人自身がかなりの吸血鬼好きであることが、お話のそこここに感じられた。

ところで、我修院さんが演じられた『鮫肌〜』の山田君と『PARTY7』の若頭は、実はイトコ同士で通信販売の殺し屋をやっていたという裏設定があったのだそうだ。このあたりの設定も、なにやらタランティーノ作品の世界観に通じるものが感じられると思ったら、「シリーズ三作目は、昔に戻って一人二役で出来ればいいなぁ」(我修院さん)と、こちらも『フロム・ダスク・ティル・ドーン3』同様サーガの王道に則った3本目を構想中とか。これは是非、実現を楽しみにしたい。

我修院さんは、いつも拳銃のライターを持ち歩いてるほどの大の銃マニア。この日も、その拳銃を使って、『鮫肌〜』劇中での山田君のガン捌きを再現して会場のファンを沸かせてくれた。犯罪アクションとホラーの要素が融合し、ガン・アクションが重要な要素を持つ『フロム・ダスク〜』のガン・アクションに関しても、我修院さんは「映像としては素晴らしいと思う」と賞賛しつつ「ただ、口径を違う銃を撃った時の衝撃の違いなどが気になる、それにクルーニーの片手撃ちはカッコイイけど、撃ってもその衝撃で当たらないでしょう」とさすがの鋭い意見も。

なお、我修院さんの今後の予定としては、宮崎駿監督から「『鮫肌〜』の山田の声でやってくれといわれた(笑)」という 『千と千尋の神隠し』の青蛙役のアフレコをはじめ、ご自身が原作を担当する映画の企画も進行中だとか。勿論、ガン・アクションもありということで『フロム・ダスク〜』サーガ同様にクールな作品になりそうだ。











トーク・イベントの第二部は、ゲッコーブラザースに対抗すべく日本映画界が送る最終兵器?三輪シスターズこと三輪ひとみさん、三輪明日美さんのお二人。引き続き登場の鷲巣さんも、「女優が育ちにくいと言われるジャンル系作品に、たびたび出演してくれる貴重な存在。しかも、お飾り的な女優としてではなく、キャラクターをうまく掴んで演じる能力を持っている」とベタ誉めだ。出演作品はそれぞれご自身で決めるという二人だが、ひとみさんの「『発狂する唇』はこれで終わるかなぁ(笑)と思いながら決断したのも思い出です」という言葉などには、役に対するチャレンジ精神が強く感じられた。

「1作目が好きで、詳しく知らないで2作目を観た時に、ずーっと観ていていつ出てくるんだ、(ジョージ・)クルーニーは!って。凄いショックでした(苦笑)。ロドリゲスの『デスペラード』が大好きなんで、3作目の雰囲気も好きです。」(明日美さん)、「1作目のお父さん(ハーヴェイ・カイテル)が面白かったですね。自分で演じてみるなら、やはり吸血鬼かな。あの館で蛇をまいて踊る、サルマ・ハエックには負けないみたいな(笑)」(ひとみさん)とそれぞれ『フロム・ダスク〜』シリーズに関して語る二人は、『呪怨』『ラブ&ポップ』『死びとの恋わずらい』と映画での競演作も多い。姉妹であっても似ていないから、役柄的には絡まないことが多いと話す二人の競演最新作は、6月公開予定で『いきすだま/生霊』が待機中だ。2部構成で1部がひとみさん、2部が明日美さんのパートになっているとのこと。

特殊なキャラを演じる機会が多いというひとみさんだが、そうした演技や役柄についてどのように考えているのだろう。「普通の映画にも呼んで欲しいですね。でも、自分で選ぶとやっぱり吸血鬼かも(笑)。演技をする上では、実際にはないことの方が楽しく、自分で作りやすいです。明日美のような現実の女子高生を演じる方が私には難しいです。」。一方の明日美さんは、「私も、現実じゃないキャラクターの方が演じて楽しいような気がしてきています。化け物キャラもやってみたいとは思いますが、オネーチャンの印象が強いからなぁ…」。トークを聞いていても、それぞれ全く別のキャラクターの持ち主の二人だがお互いにボケとツッコミのタイミングも絶妙で、実に姉妹の仲のよさが伝わってくる。そんな二人の今後の予定は、先にあげた『いきすだま/生霊』のほかにも、明日美さんは『死びとの恋わずらい』の共演者の皆さんと自分達の映画をプロデュースする予定とか。『東京マリーゴールド』ほか出演作品も続々公開予定。ひとみさんも、『血を吸う宇宙』やTVドラマ『故郷』(人間キャラだそうですが、記憶喪失でストーカーに付け回される探偵役とのこと)などが待機中。「できたら、『生霊2』で姉妹対決をして、私が勝つというのをやりたい(笑)」(明日美さん)など、それぞれ演じていきたいことを沢山持っている二人の今後は、これからも要チェックだろう。

『フロム・ダスク〜』サーガファンであるゲスト陣による、約1時間にわたるトーク・イベントは『フロム・ダスク〜』サーガの話題に留まらず、多彩な内容に及び会場のファンは大満足、トークの後はシリーズ3作品の連続上映で、興奮の一夜はふけていったのだ。

なお、『フロム・ダスク・ティル・ドーン2』『フロム・ダスク・ティル・ドーン2』『フル・ティルト・ブギ』は、現在銀座シネパトスにて一挙上映中(各回入替制)。なお、貴重な1作目のメイキング『フル・ティルト・ブギ』のみ5月5日までの限定レイト上映となっているため、ファンの方はお見逃し無く。

執筆者

宮田晴夫

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作品紹介(フロム・ダスク・ティル・ドーン2)
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